2017年12月04日作成

元UFC・金原正徳が最後のキック挑戦。KNOCK OUT両国大会で不可思との異種格闘技戦に向けた直前インタビュー。

12月10日(日)両国国技館で開催される「KING OF KNOCK OUT 2017 両国」にて、RISEライト級王者の不可思と対戦する金原正徳。元UFCファイターという看板を背負い、MMAvsキックという異種格闘技戦を直前に控える金原にインタビューを行った。

昨年の12月に新たな立ち技メジャー団体を目指し旗揚げされたKNOCK OUTが、旗揚げから約1年というタイミングで両国国技館にて「KING OF KNOCK OUT 2017 両国」というイベントを開催する。

このイベントはKNOCK OUTでは過去最大となる10,000人が収容可能な大会場にて開催。これまでの大会で活躍した選手が一堂に会する総決算ともいえる大会となる。

メインでは8ヶ月に渡り争われてきたトーナメントの決勝戦が行われるほか、国内トップクラスのキックボクサー同士の注目カードが揃う中、ただ一つ毛色の違うカードが不可思vs金原正徳という異種格闘技戦だ。

金原といえば山本“KID”徳郁からダウンを奪い判定勝利を飾り、世界最大のメジャー団体であるUFCにも出場するなど、日本を代表するMMAファイターの一人として活躍してきた。

そして今年7月に金原は元日本王者の中尾満を相手にキックボクシングデビュー戦を行い、常に相手を翻弄し続けての完封勝利。その後、KNOCK OUTの主力選手である不可思との対戦を要求を行った。

その結果、キックボクシング挑戦2戦目というタイミングでトップファイターの不可思との異種格闘技戦が両国という大舞台で実現した。

今回はこの大一番を直前に控える中、MMAからキックボクシングへと挑戦する形となった金原にインタビューを行った。

キックでの最後の試合はただのワンマッチでは終わらせない

ーUFCから日本に戻ってきた金原選手には、国内のMMAプロモーションで戦うという選択肢もあったと思うんですが、なぜキックボクシングに参戦することになったんでしょうか?

その質問はよく聞かれるんですけど、一言で言えばチャレンジですよね。

僕の中ではUFCが最高の舞台でずっとそこを目指してやってきました。それでUFCに出場できなくなって、じゃあまたUFCを目指すかと言われれば年齢的にもそういう風にはならない。

じゃあ日本の団体に出て、誰々とやってベルトを目指すっていう気分にもならなくて。その中で引退という言葉もよぎったんですよね。

どっちにしても自分の中でUFCをリリースされたら辞めようって思いもありあしたし。まあ、そんな簡単に辞められないのは自分でもわかっていたんですが…

そんな中途半端なモチベーションでMMAの試合をするよりは、新しい舞台に挑戦しようと思って。

それでもともとキックボクシングには興味があって、いつか挑戦したいなと言う思いはずっとあったんですよ。それがこのタイミングなのかなって。

そんな時、選手のみんなで集まって次はどうしようかって話しをしていて、そこにKNOCK OUTの小野寺プロデューサーを知っているという方がいた。じゃあお願いしますみたいな感じで話が進んでいった感じですね。

ーキックボクシングに興味を持たれたのはどれくらいの時期だったんですか?

魔裟斗選手とかが活躍していた頃のK-1が好きで、テレビをよく見てたんですよね。その時からいつかやってみたいなって思っていました。

自分がどれくらい通用するんだろうなって。深くは考えていなかったんですけど、出てみたいなって気持ちで見てましたね。

ーそこから実際にキックボクシングに挑戦された訳なんですが、自信はあったんでしょうか?

自信がなきゃやらない。当たり前じゃないですか。その自信がどれくらい通用するのかを知りたかった。

MMAは色んな要素が求められる競技で、キックボクシングもストライキングとして求められるひとつで、自分はそこでも通用すると思っていたので。

ーデビュー戦は元日本王者の中尾選手との対戦となる訳ですが、ジャブで圧倒しての完封勝利で衝撃的でした。

向かい合ったときに中尾選手が凄く嫌がってたので、変に上手いこと戦おうとせずにいつも通り戦いましたね。

僕がやりやすかったというよりは、中尾選手がやり辛かったのかなっていうのが僕での中の試合のイメージでした。

ー中尾選手を困らせたのはMMA的な打撃だったんでしょうか?

参戦が決まって試合まで時間がなかったので、無理やりキックボクシングをやろうと思わなかったし、今更キックボクサーにキックボクシングをやっても勝てるわけないじゃないですか。

でも打撃のスキルは今までに培ったものがあるので、その自分の中にある武器で勝負しようかなってのは思ってました。

特別にキックボクシングの練習をすることもなかったし、この試合用に何かを用意したということはなかったです。

ー実際にキックボクシングに挑戦してみて、MMAとは違うなと感じたことはありますか?

見た目もそうなんですけど一番大きいのはグローブですね。グローブが大きいか小さいか。

自分がMMAをやる時に一番大事にしていたのはタイミングとインパクトだけなんですよ。でもキックだとそれじゃあ倒れねえなっていうのは感じました。

やっぱ思いきり殴る力だったり、スピードも必要だし、考えさせられた部分は大きかったですね。

ーそこはグローブの大きさであったり厚さの問題なんでしょうか?

う〜ん、グローブの大きさというよりは、キックボクシングのグローブってどうしても面で当たっちゃうんですよね。

MMAでやる時は点で当てるイメージで打ってはいたんですけど、どうしてもキックのグローブだと面で当たるので力は分散してしまう。面で当たるか点で当たるかの違いですね。それは感じました。

ー事前に不可思選手にインタビューを行った際には、「MMAのトップファイターはキックボクサーの打撃を凌駕しているところもある」と言っていたんですが、金原選手的にはその部分はどう感じていますか?

みんなそうやって比べるんですけど競技そのものが違うんですよ。大まかにみればキックとパンチで同じなんですけど、そこにテイクダウンがあると距離も違うし戦い方も違うし、全くやっていることは違います。

MMAで打撃が強いからキックボクシングが強いかって言ったら違うし、逆もありきなんですよね。キックボクサーの人がMMAにきて打撃でKOされることも沢山あるし。

だから挑戦してみたいって気持ちだったんですよね。自分に打撃の自信があるだけだったらMMAの試合で全部打撃で勝負すればいい。

そうじゃなくてキックボクシングに挑戦したいからKNOCK OUTに出場している訳で。打撃に自信があるとかそういう括りじゃないんですよ。

ーキックボクシング挑戦2戦目となる今回の相手はトップファイターの不可思選手じゃないですか。この試合は金原選手が希望しての実現となりましたが、段階を踏まずにいきなりトップに挑む選択をした理由はどこにあるんでしょうか?

正直僕はK-1に出ていた選手しか知らなくて、初めてKNOCK OUTを見に行かせてもらった時に不可思選手のインパクトが一番あったんですよ。

それまでは不可思選手のことは知らなかったし、他の出場選手も誰も知らなかった。でも客観的に観客として試合を見て不可思選手のインパクトが一番あって、それでたまたま体重が一緒だった。ただそれだけですね。

強いやつとやりたいというのは格闘家としての僕の目標でもあったし。

でもいきなりやっても何もできないと思うから、前回元チャンピオンの中尾選手と対戦した。その試合をクリアできたので、次は不可思選手とやってみたいなと思ったのが経緯ですね。

ー中尾選手との試合で不可思選手ともやれるという手応えがあったということですね。

というよりはあと何試合もする気はないし、ぶっちゃけるとこの試合でキックボクシングの試合は最後にしようと思ってるんで。

なので2,3試合とか間にいれてちょこちょこやって、勝ったからチャンピオンとやらせろというよりは、せっかく両国が舞台というお祭り的な舞台で金原vs不可思っていうのはいいカードなんじゃないのかなって思って。だったらやりましょうって感じでしたね。

ーそんな不可思戦ですが、戦い方は中尾戦と同じくキックボクシングのセオリーにはないMMA的な戦いかたになるのでしょうか?

いや、今回はちゃんとキックボクシングを練習してます。前回の反省を自分なりに考えて、キックボクシングのジムに練習に行かして貰ってキックのチャンピオンの人とスパーリングもやらせて貰いました。

同じ大会にでる重森陽太くんとも練習させて貰ってますし、同じ日に別の会場で試合をするキックの日本王者の方とも試合をさせて頂いてます。他に出稽古にも行ってますし。

楽しいですよ。今まで知らなかった他の競技についてアドバイスを貰えるのは。

あとはトレーナーとも課題を出し合って一からより勝つためのスタイルを作ってきました。

ー前回の試合は完封勝利でしたが反省点もあったんですね。

反省点だらけですよ。結果を見て他の人は感じないんですけど、自分の中ではもうちょっと楽に戦えたり、もっと早めに倒せたりもっと上手くたやれたところも色々あったので。

ー今回の試合はMMAvsキックボクシングという構図になります。現在は客観的に見てMMAのほうが世界的に勢いがあり、その頂点で活躍してきた金原選手には競技的にMMAのほうが優れているといった自負などはあるのでしょうか?

ないないない。KNOCK OUTに出るって言った時点で一番ぺーぺーですからね。格闘家としての年齢も経験も一番上かもしれないけど、キックボクシングに来たらただのデビュー2戦目のぺーぺーですよ。

その中でちょっと前にUFCに出ていた、国内団体のベルトを巻いていたっていうバックボーンでKNOCK OUTに出れたってだけで。

他のキックボクサーの人からすればふざけるなよってなるとは思いますよね。それも承知の上で、自分は不可思選手と覚悟を持って試合をすることを決めた。

ー今回はあくまでも挑戦者という立場なんですね。

キックボクシングに挑戦しに来ていますからね。KNOCK OUTにも不可思にも。常に自分は挑戦者でありたいし、現役でいる間は守りに入りたくない。そんなに長く現役はやらないし、キックはこの試合が最後という覚悟もありるので。

ー失礼な質問ですが、勝っても最後なんでしょうか。その後はMMAに復帰?

本当にわからないです。辞めるかもしれないし、またやりたくなるかもしれないし。

格闘家って情緒不安定なんですよ。試合前は不安だし、試合なんてしたくねえなって試合前は思うし、試合後はまたやりてえなって思うし。

実際今のところMMAはもういいやってキックボクシング界に来たにも関わらず、MMAをやりたくなる時もあるんですよ。

別れた彼女に違う相手ができたら、凄く良く見えるようになったとか。ニュアンス的には元サヤもいいなって感じですかね。前の女にも手を出してみたいなってそんなノリですかね(笑)

ー分かりやすい例えでありがとうございます(笑)。MMAとキックの二刀流も見たい気持ちもあるんですが。

それはないです。まあ、正直に言うと年末はMMAをやろうかなって思いもあったんですよ。そこに不可思戦の話が来て凄い悩んだ結果でキックを選んだんですよ。

2つやれるほど甘い世界じゃないと思っていますし、そんなにどちらもナメてはいないです。

まあ、とにかく今回の試合は挑戦ですよね。ぶっちゃけた話、不可思がどれくらい強いのか楽しみなんですよ。

勝ち負けはそんな気にしてないんですよ。もちろん勝ちにいくし、負けりゃ悔しいし。でもお客さんが喜んでくれて、ジムの会員さんや地元の仲間とかが楽しんでくれて。

そして自分が不可思というファイターと楽しんでやってみたいですね。勝てればもちろん嬉しいけど、そこにこだわりはないですね。

ー試合が直前に迫ってきていますが、どんな試合をしたいとかはありますか?今回は両国という舞台ですが。

会場に関してのこだわりはないです。両国でも試合したことありますし。もしこだわりがあるとしたらアップスペースが広いとか更衣室が広いとかくらいですね。

UFCでMGMで戦って、その次の試合がディファで、この前はクラブやってますし。UFCで戦ってきたから自分は大きい会場でやりたいとかそういうプライドはないです。

そこよりも誰とやることにこだわりを持ちたいです。

ー対戦相手の不可思選手は「絶対にKOしてやる」とコメントしていましたが。

KOしなきゃ駄目でしょ!勝たなきゃ駄目だと思うよ、俺に。

これからを担うキックボクシングの選手が、引退間近のMMA選手に判定勝ちでしたとかなったら駄目でしょ。

俺は他から見て美味しい相手だと思うんですよ。実績はあってもこれから上がっていく選手でもないし、要は落ち目の選手なんですよ。

でも若手の選手で俺とやりたいと言ってくれた人は誰もいないし、その中で不可思は噛み付いてきてくれるのでそこは選手として買ってます。

ただ俺は不可思の今まで培ってきたものを全部奪い去る気持ちでここまで来ましたから。簡単に負けるつもりもないし。

逆に向こうのほうがプレッシャーだと思いますよ。だって俺に負けたらやばいでしょ?

ー異種格闘技戦はホームで戦うほうがよりプレッシャーを受けそうではありますね。

判定だったら「あの選手を倒せなかったんだ」ってなっちゃうし。不可思は俺をKOしなきゃ駄目でしょ。自分は倒される気ないけど。

俺が逆の立場だったら倒せなかったら俺の負けでいいよってくらいの感じですね。

ーそれでは不可思選手は倒しにくるとしたら金原選手はどのように迎え撃つ形になるのでしょう。

向こうが倒しに来たら倒し合いになるでしょうね。向こうが絶対に試合の流れはコントロールすると思うんですよ。

向こうが来るのか来ないのかで試合の展開が変わるので、そこは向こう次第ですよね。

ー先ほどお客さんやジムの会員、応援しに来てくれる仲間に楽しんで欲しいというコメントもありましたが、どんな試合を見せたいというのはありますか?

まあ、頑張っている姿は見せたいですよね。たぶん自分も35歳で周りもそれくらいの年齢が多いんですよ。所さんにしても40歳だし練習仲間もそれくらいが多い。

チームおじさんは頑張ってる姿を見てるだけで自分は励まされるし、その年代の選手が惰性でやってるんじゃなくて挑戦してるってところを見て欲しいですね。

ー最後に今回の試合はMMAファイターvsキックボクサーという構図になりますが、MMAファイターとして負けられないという気持ちはあるんでしょうか?

捉え方一つなんですけど、俺がMMAを背負ってキックボクサーと戦うという感情よりも、もっと大きいものにしたいって気持ちが強いです。

ただ一人のMMA選手がキックボクシングに挑戦して勝った負けたじゃなくて、自分で言うのもあれですけど実績のあるMMAファイターがKNOCK OUTという舞台でキックのトップ選手とやるという事実。

これが今後MMAファイターとキックボクサーにとってただの試合にはして欲しくないんですよね。これからMMA選手がキックボクシングに乗り込んでもいいし、逆にキックボクサーがMMAに乗り込むのもいい。

もっと言うならば自分と不可思がやって、俺が勝つか負けて、じゃあ2戦目はMMAで勝負しようよとか。金原vs不可思はMMAでもいいじゃんって、競技の垣根を超えた試合みたいなそういうのを最後は楽しみたいんだよね。

だから俺がこの舞台に出るのを選んだのも、自分の中で刺激が欲しいからだし。残りの競技人生をただ勝った負けたで終わりたくない。

実現できるかどうかは知ったことじゃないけど、これからにそういう選択肢があるという道は作るし。そうすれば格闘技ももっと面白くなると思うんだけどね。

ー選手の選択肢は増えますし、見ているファンにとっても刺激のある試合が増えていくかもしれないですね。

キックボクシングのファンは不可思に「金原なんかに絶対負けんなよ。」ってなると思うんですよ。それでMMAファンが「金原負けんなよ」とかになればお互いのファンで盛り上がれるし。

それで色々な刺激が増えれば格闘技のファンや選手も代謝していくと思うんですよね。

特にキックは選手が凄く代謝してるじゃないですか。それに比べてMMAのチャンピオン達はみんな30代とかなんですよ。これはファンの年齢層も同じで。

まあ、そもそもの競技が違うのでMMAファイターみんなにキックをやれとは思わないけど、自分が出ることによって違った目線で色々と考えられて、新しいファンや選手の獲得に繋げれればと思いますね。

ーそれが注目度の高い舞台でやれるということも魅力ですね。

そうですね。両国だしテレビでも放送されるビッグマッチだからやる意味があるなとは思います。

もし後楽園ホールで金原vs不可思っていうカードをやっても意味がないと思いますし、さっきも言いましたがこの試合をただの一試合にはさせたくないです。

やるべきことはやってきたし、試合内容にも自信がありますので楽しみにしておいてください。

金原正徳プロフィール

名前:金原正徳
生年月日:1982年11月18日
出身:東京都
身長:170cm

2003年にDEEPでプロデビューし、その後はZSTを主戦場とし実績を重ね、2009年にはMMAのメジャー団体だった戦極に参戦。

戦極では小見川道大、日沖発、マルロン・サンドロといった強豪選手と対戦。同団体のフェザー級タイトルも獲得した。

そして戦極でタイトルを獲得した年の大晦日にはTBSで地上波中継されたDynamite!に参戦し、山本“KID”徳郁からダウンを奪い判定勝利を飾った。

さらに2014年からは世界最大のMMA団体であるUFCにも参戦を果たしデビュー戦で勝利。2000年代後半から日本を代表するMMAファイターの一人として、MMAのメジャーシーンで戦い続けてきた。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新の格闘技ニュースをお届けします

関連する記事

コメント 0件