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『RIZIN生みの親が語る、2017年末RIZIN 2DAYS』RIZIN実行委員長、榊原信行インタビュー。

2017/12/26 23:35

「年末をシーズンピークとする」というコンセプトのもと、RIZINは年末にサプライズを提供している。生みの親である榊原実行委員長はどのような考えでRIZINの大胆な施策を講じているのだろうか。

今年もまた年末RIZINの時期がやってきた。

2015年に旗揚げされて以来、3年連続で12月29日と31日の2日間にかけてビッグイベントを行うことになる。旗揚げ戦ではエメリヤーエンコ・ヒョードルの参戦、そして昨年には那須川天心のMMAデビュー戦と年末に大きな波を作ってきたのもRIZINの特徴だ。

そして今年は男女のダブルトーナメントに加えて、那須川が出場するキックボクシングトーナメントも加わり、トリプルトーナメントが開催される。さらに10月大会で成功を収めた生中継を大晦日にも行うなど、毎年RIZINは確かに変わり続けている。

これらの仕掛けがいかにして生み出されているのか、榊原信行RIZIN実行委員長にインタビューを行った。

なぜRIZINは年末にシーズンピークを作ろうとしているのか、また今年の年末大会をどのようなコンセプトで捉えているのか、RIZIN生みの親である榊原信行氏に伺っている。

年末に格闘技のシーズンピークを作る

ーーRIZINが提唱するシーズンピークとはどのようなものなのでしょうか?

要は格闘技界にはUFCを含めてシーズン制がないんですよ。一年間、同じことを繰り返している。それではスポーツって盛り上がらないんですよ。

日本のプロ野球にもオールスターがあったり、最終的には日本シリーズという山場があったりして、そこで日本一が決まる。

大リーグで言えばワールドシリーズがあって、バスケットボールではNBAファイナルがある。メジャースポーツの多くはシーズン制となっていて、その中でシーズンピークとシーズンハイが作られている。

これはなぜかと言うと、スポーツコンテンツをビジネスとして考えたときに盛り上げやすいシステムだからですよ。アメフトのNFLで言えば通常の試合とスーパーボウルがありますが、スーパーボウルの視聴率は通常の8倍から10倍になるんです。

NBAでも同じで、ファイナルになると5倍から6倍になる。そこでの盛り上がりがあるから、メジャー感や注目度が生まれ、ビジネスとして大きくすることができるんです。

(NFLのスーパーボウルは全米の視聴率が50%近くとなる世界最大のスポーツイベントだ。クレジット: David Reber (originally posted to Flickr as The Dome) [CC BY-SA 2.0], via ウィキメディア・コモンズ)

でもUFCを見ると、他のスポーツと比べてアベレージでは1回ごとのビジネススケールとしては遜色がないんですが、シーズンハイとかシーズンピークといった山場がないんですよ。

常に一定の熱の中でやっている。それならRIZINでは日本を舞台に、世界の格闘技のシーズンハイ、シーズンピークを作ろうというのが立ち上げの時から考えていたことです。

PRIDEの時代はGPの決勝と年末の男祭り、この2つのがシーズンのピークになっていました。RIZINでも同じように、とにかく1年の最後の日に世界チャンピオンが決まるというコンセプトの中で、1年の流れがそこで完結し、熱を生み出すことを意識していました。

ーー見ているファンも選手がどこを目指していて、何に価値があるのかがわかりやすいですよね。

ここで勝った選手が今年の年末にはどうなるんだろうというファンの期待感であったり、1年最後の日に大きな舞台に立ちたいと選手も意識するようになったり、この日の注目度は、見る方もやる方も、非常に大きいと思います。

大晦日に今年活躍した選手たちや、話題の選手たちがラインナップされる。そしてそこに出るのが一つのステータス。この部分は大事に磨いていきたいです。

ーーそしてRIZINと言えば旗揚げから3年連続の2DAYSですよね。これはどういった趣旨なんですか?

野球だったらシーズンの試合で3日間、ゴルフとかテニスでも週末に何日もあるじゃないですか。でも格闘技のイベントは、ほとんど1日だけで終わってしまうので、僕らはそれをファイトウィークというものにしていきたい。

RIZINのあるウィークエンドは格闘技三昧になればいいなと思っていて、例えば大会は最終のフィナーレで大晦日だけでもいいんです。その前の日にアマチュアの大会があったり、前夜祭みたいな感じで音楽イベントがあったり。

そして前々日には何か格闘技に関係したイベントがあってもいいと思うんですよ。それには東京ドームとかさいたまスーパーアリーナみたいな大きい会場でスケール感を出すことも必要ですよね。

あと誰もやっていない大きなフォーマットで言えば、一日間を空けて2DAYSにする。今年2017年でいえば真ん中の30日にPKCZ®による音楽のライブイベントがあります。

これも格闘技で使っているリングや花道といった環境を、そのまま活用して音楽イベントを開催するんですよ。

RIZINのサブタイトルは「Welcome to FIGHT RICK FESTIVAL!」なのですが、ファイトに寄ったのは29日と31日で、ロックに寄ったのは30日ってことですよね。

この一年間は皆さんも色々なことがあったと思いますが、年末のこの3日間はワクワク、ドキドキしながら格闘技にドップリと浸かってもらえるようなものにしたいと思っています。

総合格闘技というジャンルが生まれ、20年以上が経ち、様々なフォーマットが固まってしまっている。誰かがはみ出して新しいものを作っていかないと、新しい熱は生まれないですよね。

既存の人が出来ないのなら、再チャレンジする僕達が過去に誰もやっていないことにチャレンジしないと、この産業に貢献できないだろうなっていう思いもありました。ですのでめっちゃくちゃ無理して頑張っています(笑)。

ーーやはり年末に2大会やるのは大変なんですね

大変ですよ(笑)。スタッフだって1日で終わったほうが全然楽じゃないですか。10試合以上の試合がある緊張感のあるイベントを二日間やるっていうのは、スタッフへの肉体的、精神的な負荷がかかるし。

さらに格闘技EXPOも三日間通してやりますから。まだまだ僕らはそこまで体力があるわけでもないですし、マンパワーも不足している中で、かなり無理してやっているというのが現状です。

ーー新しいことに挑戦する大変さはありますよね。あとRIZINと言えば地上波のゴールデンタイムに放送されますが、榊原代表としては地上波での放送は絶対に必要なものと考えているんでしょうか。

そうですね。2015年にRIZINを立ち上げる時に絶対に地上波のゴールデンタイムが必要だなと考えていました。2007年にPRIDEの放送をフジテレビが急遽取りやめて、そのまま放送を打ち切っってしまったことによるネガティブなイメージは、凄く大きいと思うんですよ。

いろいろな事情があったにせよ、既存の放送がなくなるっていうのは相当ショッキングなことだし、PRIDEを含めた格闘技界への国内の信用力は相当ダウンしてしまったんです。

そこで失ったものをRIZINで取り戻すことで、信用や求心力の回復にはテレビ放送が絶対に必要だと思ったんです。僕個人も含めて。

格闘技界はもとより、昨今は本当にコンプライアンスが問われています。僕らは今でも2007年に何かあったんじゃないかって言われますし、コンプライアンス的に大丈夫?とも言われます。もちろん、そこは常に最大限の注意を払い、徐々に信用を積み重ねてきていると思います。

でもかつてテレビ放送を休止した放送局が、再び放送することを決断する。当時問題があったものを、8年後に放送はしないでしょう。僕を含めて格闘技界にあるネガティブなイメージがあるとしたら、そこを払拭してくれる一丁目の一番地はフジテレビさんだと思っています。

他の局で復活しても意味がなくて、放送を中止したフジテレビが放送を再開する。これ以上の信用回復はないという思いから、RIZINの立ち上げにはフジテレビさんでの放送がマストだと思っていました。

ーーたしかにRIZINを放送をするのがフジテレビというのはインパクトが大きかったですね。

自らコンテンツを追いかけてくれる人たちは、格闘技をずっと求めてくれていますが、そうじゃない方のほうが大多数。情報がこれだけ溢れていると、格闘技以外にも気になることとかって一杯目に入ってくるじゃないですか。

だから勝手に飛び込んでくるような存在にならないと駄目ですよね。無料で誰でも見られる地上波って、ネットの時代になった現在でもその信用力と共に媒体としての宣伝力や求心力は圧倒的に大きいんですよ。

ただ、これは誤解のないように伝えておきますが、僕らは地上波のための番組として格闘技イベントを作っているという気持ちは全くないです。

地上波というのはプロモーションの場だから、そこで多くの選手達を輝かせてRIZINという新しいブランドを訴求させていく。地上波はその部分では絶対に無くてはならないものです。

ですが、このビジネスでお金を獲得するウインドウは地上波ではないと思いますね。たとえばPRIDEの頃で言えばスカパーさんのPPVでした。当時はそのインフラが優秀でしたから。でも今の時代はそういうスイートスポットがどこかなのは、正直まだ見つけられていないですね。

スポーツのダイナミズムはLIVEで、どっちが勝つんだろう?どうなるんだろう?って思いながら見ることです。これはサッカーでも野球でも同じです。0−0で引き分けになることを知っているサッカーの試合を、キックオフから90分見られる人はそうそういないと思う。それは相当なサッカー好きですよ。それでも集中してワクワクしながらは見られません。

それは格闘技でも同様です。例えば、先日の「那須川天心vs藤田大和」の試合を結果が判定だとわかってから見るのと、LIVEで見るのとでは、同じ試合でも受け手側のエキサイティング度合いが全然違う。

(10月の福岡大会での那須川vs藤田の試合は地上波生中継され、白熱した試合展開に最高視聴率を記録するなど大成功を収めた)

その視点を意識して、格闘技というスポーツコンテンツをきちんとビジネスとしてマネタイズできるウインドウが何なのかを見つけ出すことですよね。

ただ、昨今は瞬間にしてYoutubeに試合動画が上がり、それが何十万再生回数になってしまう。僕らからすれば受難の時代ですよ。過去にはそういうものがなかったので、決められたところに決められたアクセスをしなければ見られないという環境が作れました。

今は色んな人達がみんなカメラマンだから映像を撮ってどんどんアップしてしまう。「マクレガーvsメイウェザー」も、色んなところで動画が上がっていましたよね。

これをどうコントロールしていけばいいのか。それでも見たいという需要は世界的にあることは実証されているので、これからインフラが日進月歩で進化していくことに合わせて、僕らなりのコンテンツの戦略を立てていく必要があるのかなと思っています。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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匿名ユーザー
2017/12/26 21:47

これだけの内容が無料でウェブで公開されているというのが凄い。クイールはまさしく次世代のメディアだと思います。

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クイール最高
2017/12/26 22:32

既存の格闘技マガジンより、知りたい情報が気楽に読める。クイール最高です。youtubeやインスタグラムを効果的に使って読者を増やしたりマネタイズできるよう、それらの専用スタッフなどを募ればさらに拡大しそうな気がします。楽しみにしております。

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