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間もなく始まる「ROAD TO KNOCK OUT」はKNOCK OUTを底上げする大会になるのか

2017/04/26 14:26

昨年12月に旗揚げされた「KNOCK OUT」ですが、来月には新たに「ROAD TO KNOCK OUT」が開催されます。これはKNOCK OUT本戦出場へとつながる系列大会となっており、K-1でいうKrushやKHAOSに当たるものです。

ROAD TO KNOCK OUTが間もなく開始

今からちょうど2週間後の5月10日(水)に、KNOCK OUTによる「ROAD TO KNOCK OUT」が行われます。

(毎回ROAD TO KNOCK OUTと書いても分かりづらいので、ここでは「ロード・トゥ」とカタカナの略語を勝手に使わせていただきます。)

これはKNOCK OUT本戦への出場につながる、言わば登竜門的なイベントで、K-1でいうKrushやKHAOSに当たるものです。UFCでいえばTUFよりもファイトナイトの方がイメージ的に近いのかもしれません。

実際に公式サイトを見ても「宮元啓介再びKNOCK OUTの舞台へ!」とPR文が付けられているように、本戦につながる道(=ロード)としてのイベントになっています。

実験的意味合いが強い

公式サイトの「大会の見どころ」をチェックすると、ロード・トゥがどのような趣旨であるかは記載されています。

これまでKNOCK OUTに出場したが敗戦してしまった選手や今後有望な若手選手、実験的な試合もここで実施されることが決定。まさにここがKNOCK OUTへの道とつながる。

要約すると以下の3つの属性に当てはまる試合が組まれるとのことです。

  • KNOCK OUT本戦で敗れた選手
  • 今後有望な若手選手
  • 実験的な試合

これだけ明確にメッセージを提示してもらえると観戦者としてもテーマが分かりやすく、額面通り受け取ると、例えば「茂木俊介 vs 中尾満」の16才vs34才の試合は、有望な若手選手である茂木が本戦にたりうる選手化を査定する試合であると見ることができます。

また今ではメジャー団体のほとんどが女性選手の試合を本戦に組み込んでいますが、ロード・トゥでも女性枠を本戦に組み込むかを査定するかのように、「田嶋はる vs 小林愛三」の試合が実験的に組まれているのでしょう。

そして何より宮元啓介のように本戦で敗れた選手への試合機会を提供することで、選手の育成機会、ならびに選手層に厚みをもたせることが期待されます。

KNOCK OUTが抱える課題

KNOCK OUTはこれまで3大会が行われ、内容的にはK-1に続くメジャーキック団体になりうる可能性を感じさせていますが、ロード・トゥの趣旨からみて、一つの問題を抱えているように見えます。

それはKNOCK OUTは意図的に試合数を6~7試合ほどに絞っていることです。ちなみにこれは意図的に試合数を減らすことで、集中して観戦することを狙ったものであると代表の方が話しています。(→参考: ブシロードはキックをメジャーにするか? 『KNOCK OUT』の頭脳・花澤勇佑に聞く)

もちろんその意図はよく理解できる一方で、前座も用意していないので、「イベントの本流に加わっていない選手は試合をする機会を与えられない」というデメリットにもつながります。

UFCやベラトールともなれば、メインカードよりも前座のボリュームのほうが大きく、10試合以上組まれることもあります。一方でKNOCK OUTは前座を用意せず、本戦のみ6~7試合程度という構成であり、さらに興行数も(おそらく)年間6大会ほどなので、年間の試合数は約40試合しか組まれません。

そして、この中にライト級のトーナメントや、国際戦のみをこなす梅野源治の試合なども含まれるため、一度本流から反れてしまった選手はほとんどチャンスを得ることができないのです。

実際に、現在まで一度敗れた選手で本戦に出場できたのは町田光のみとなっており、見せ場を作りながらもドローあるいは敗れてしまった選手が今後本戦に加われるのかは不透明です。

複数階級を回すことができるのか

これにより思いつくデメリットとしては、複数階級の王座戦線を同時に回すことができないことです。

年間約40試合というキャップがあり、さらにKNOCK OUTではワンデートーナメントを行わないため、K-1のように目まぐるしくトップ戦線を移り変わらせることは難しく、おそらく2017年に動きがあるのはライト級戦線のみとなるでしょう。

KNOCK OUTはまだ階級を明確に定めておらず契約体重での試合が多いので、これからどの階級にフォーカスしていくのかを見定めようとしているのかもしれませんが、中長期的に見た場合、イベントの流動性を損なう可能性をはらんでいます。

また一つの階級に5人、10人と有力選手を抱えるよりも、複数階級に分散させた方が競争原理としては自然であり、ファンの多様なニーズにも応えることができるでしょう。

ロード・トゥがKNOCK OUTを底上げできるか

そして言うまでもなく、その問題を解決するファクターとなるのが、このロード・トゥでしょう。

大会の顔となっている宮元啓介は、KNOCK OUT旗揚げ戦で小笠原瑛作に敗れ、勝利した小笠原が今や軽量級の中心選手として据えられています。

他団体ならば宮元の復帰戦を本戦に組み込んでいるのかもしれませんが、試合数の都合からかそうすることはなく、ロード・トゥでの復帰戦となっているのは、この大会の意味合いを如実に表していると言えます。

Krushとの違い

しかしロード・トゥはまだ開催されていないということもあるにせよ、SNS上の反応を見る限り、それほど注目度は高まっていないように感じます。

K-1の登竜門であるKrushが単体の興行としても高い注目を集めているのは周知の通りですが、歴史的な経緯を見るとKrushが新生K-1の前身とも言えるもので、既存のファンを抱えている分、K-1の盛り上がりがKrushにも波及しやすい構造にあります。

新たに創設されたロード・トゥは、本戦のKNOCK OUTの世界観が構築しきっていない中、ロード・トゥは単体としても盛り上がりを見せるものになりうるのか、そしてそれが本戦にどのように波及するのかというのはKrushと比べると大分イメージしづらいものになっています。

ロード・トゥの訴求ポイントはどこにあるのか

KNOCK OUTがK-1よりもコアなファンからの支持を受けている団体であるのは間違いないでしょう。

旗揚げ戦の選手入場シーンでは、一般的な知名度が低いT-98(タクヤ)が、長島☆自演乙☆雄一郎よりも声援が大きくなっていたように、必ずしもメジャー団体を経験した選手がファンから支持されているわけではありません。

また、客観的なデータがあるわけではないのですが、AbemaTVと連動してティーネージャーのファンを一気に獲得している新生K-1と比べると、ファンの年齢層も高く、男性の比重が大きくなっているように見受けられます。

一般論で言えばこうしたセグメントの偏りは、選手個人のアイドル性・スター性で誘導しづらく、K-1・Krushで展開されるような人間模様をそのままKNOCK OUTに持ち込んでも効果は薄くなってしまいます。

もちろん、一方で競技そのものへの愛着から得たファンは離れにくいという表裏一体の性質はありますが、ロード・トゥでの訴求ポイントはKrushとは別の、何かユニークなものを用意しているのかもしれません。

既存のキックボクシングの課題を解決しようとしてきたKNOCK OUTが、ロード・トゥにどのような仕掛けを用意しているのか、それを確かめるのが個人的には大きな楽しみでもあります。

(※余談ですが、実はYouTube再生回数で見ると、KNOCK OUTのファン層からはあまり支持されていない自演乙の試合が最も伸びており、自演乙のネームバリューの高さが改めてわかるものとなっています)

(出典: KNOCK OUT公式YouTubeチャンネル)

初回大会は5月10日に

さてロード・トゥの初回大会は5月10日(水)に、渋谷TSUTAYA O-EASTで行われます。

渋谷TSUTAYA O-EASTというと聞き馴染みがない人も多いと思いますが、渋谷にあるライブハウスで約1300人の収容人数を持つとのことです。

この大会では、宮元啓介が本戦復帰をかけてシュートボクシング元王者の伏見と対戦。また16歳期待の新星である茂木の日本凱旋試合、KNOCK OUT初の女子ファイト「田嶋はるvs小林愛三」、そして那須川天心と石井宏樹によるスペシャルエキシビションも行われます。

KNOCK OUTに関心のある方は、ぜひロード・トゥの新しい世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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