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"世界一不遇な格闘家"ウスティノフはなぜK-1に出場できなかった?アレクサンダー・ウスティノフを総括する。

2018/01/06 20:54

勝てども勝てどもK-1への出場が叶わなかったウスティノフ。ボクシングでも紆余曲折を経て世界初挑戦を行うも、無念の判定負けで王座獲得はならなかった。強すぎるあまり干されているのではないかとも言われたが、実際には干されていたわけではないと証言を得た。

現在クイールでは「谷川貞治ロングインタビュー」を掲載しており、インタビューでは旧K-1の総振り返りを行っていることもあり、この流れのままアレクサンダー・ウスティノフの総括を行うことにした。

これまで何度かウスティノフの動向を報じてきたが、初めて耳にする方も多いと思うので、改めてウスティノフについて紹介したい。

アレクサンダー・ウスティノフ(41)はロシアの格闘家で、2メートル、130kgというスーパーヘビー級の肉体と堅実なテクニックを武器に、かつてキックボクシングの裏街道で連戦連勝を続けていた。K-1で実績を残した強豪からも連勝を収めており、K-1の本戦出場が望まれていたものの、とうとう叶わずにボクシングに転向している。

ボクシングでは世界タイトル挑戦者のクブラト・プレフに一度は敗れたものの、その他には連勝を続けており、昨年11月までに35戦34勝1敗という戦績を引っさげてWBA世界ヘビー級王座決定戦に出場した。念願の世界タイトルまであと1勝と迫ったが、マヌエル・チャーに敗れてチャンスを逃してしまったのが直近の出来事となる。

(昨年11月のマヌエル・チャーとの一戦。序盤はリードしていたが、中盤に失速し、ダウンを奪われての判定負けとなった。)

そんなウスティノフだが、キックボクシング時代には「もしK-1に参戦していればセーム・シュルトと2強だったのではないか」という話が一部で囁かれていた。(※ちなみにウスティノフを支持する熱狂的なファンが一部に存在したこともあり、K-1グランプリの人気投票枠では、圧倒的知名度の低さの割に8位に入ったこともあった)

それは実績を見てもあながち大袈裟ではなく、2005年から18連勝を収めたままボクシングに転向しているのだが、その対戦相手もK-1本戦で一定の実績を収めた選手が多く、内容面でも圧倒しての勝利が続いていた。さらにボクシングでも世界ランキングの上位を長年キープし、世界挑戦にこぎつけていることから、K-1トップファイターにも劣らない実績を残している。

当時のK-1グランプリではセーム・シュルト一強時代となっており、2005年・2006年・2007年・2009年と継続参戦した6年のうち4度の優勝を経験している。単なる空想上の話ではあるが、もしここにウスティノフが参戦していれば、決勝でウスティノフとシュルトが対戦するという構図になってもおかしくはなかっただろう。

もっともシュルトは試合が退屈だと言われ、「不人気王者」のレッテルを貼られてしまったが、ウスティノフはシュルトと同様にKO率が高いものの、爽快感のない試合が続いていたために同様の扱いを受けていたことは想像に難くないが…。

K-1から干されていたわけではなかった

前置きが長くなってしまったが、これまでウスティノフがK-1本戦に出場できなかったことについては様々な憶測が飛び交っていた。「強い上に地味だからK-1が呼びたがらなかったのではないか」、「プロモーターとK-1の仲が悪くて参戦できなかったのではないか」といった話が上がっていたものの、どれも憶測の域を出ないものだった。

そこで先日、当時のK-1プロデューサーだった谷川貞治氏にインタビューする機会があり、実際にウスティノフのK-1参戦事情について尋ねてみたのでその内容を紹介したい。

そもそも谷川氏がウスティノフを知らなかったのではという疑義があったものの、どうやら当時からしっかりとウスティノフのことを知っていたようだ。

その上で「K-1から干されていた説」について聞いてみると全くそんなことはなく、「せっかくだから出してみたかったですけどね(谷川)」と意外にも参戦させたかったとのことだ。これにより干されていた説は否定されたことになる。

ではなぜ参戦が叶わなかったのかというと、谷川氏曰く、現在のKOKやBushido HERO'S(※東欧のキックボクシング、MMA団体)の主催者がK-1欧州大会の現地プロモーターでもあり、その人物とウスティノフの仲が悪かったことで地区予選大会に出場できなかったそうだ。

憶測の中で様々な議論が巡っていた割にあっさりとした結論ではあるが、K-1とウスティノフの問題ではなく、現地プロモーターとの関係性からK-1予選に出場できなかったというのが現時点では最も真相に近いものとなる。

もしウスティノフがK-1に出場していれば…日本で目にしたK-1グランプリの光景も一変していたかもしれないが、それは想像上の出来事でしかない。

結果的にウスティノフはボクシングで不運を乗り越えて世界王座決定戦に出場したものの、アウェーの地でダウンを奪われての判定負けを喫してしまった。強固な地盤がない41才のウスティノフにとっては再び世界挑戦までこぎつけるのは至難であり、この試合がウスティノフにとってはキャリアの終着駅となっても致し方ない。

ウスティノフが再起することがあれば再び取り上げることもあるかもしれないが、一旦はこの記事を持って"世界一不遇な格闘家"ウスティノフの総括としたい。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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ブラザーt2
2018/01/06 21:10

K-1に出れなかったと言っても2003年、2004年はWGP開幕戦の出場枠がかかった予選トーナメント出てたんですよね(2004年のラスベガスTは地上波でウスティノフVSノルキヤの試合が映りましたし)
あの時もし予選で優勝してたらきっとプロモータートラブルも別の形になっていたのでしょうね。

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Hiro
2018/01/06 23:45

KOKの代表というとドナタス・シマナイティスの事か。でもウスティノフとチヌックジムの同門のイグナショフらが参戦してたのにウスさん一人だけ妨害するなんて本当に有り得るのか?
それにドナタスが共催してたのはフジテレビ放送が無い地区予選とかでしょスカンジナビアとかの。FINAL16開幕戦を懸けた本予選はオランダのIT'S SHOWTIMEやフランスのカラテ・ブシドーが共催なんだからドナタスは関係ないし、地区予選もフランスとかイタリアにはウスさんは出てた
本当にドナタスのせいか疑わしいな

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クイール公式
2018/01/06 23:52

コメントありがとうございます。こちらが真実という断定をするわけではありませんが、結局のところこれまで憶測だけが堂々巡りしていた状態でしたし、おそらくウスティノフ選手が今後同様のビッグマッチをする可能性は極めて少なく、今後話題に上がらないであろうことを鑑みると、一定の結論を出したかったというのが背景にあります。

もちろん疑義を挟む余地があるのは承知の上ですが、何卒ご理解の程よろしくおねがいします。

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匿名ユーザー
2018/01/07 00:16

FEGの方が立場が上なのだから東欧大会にてウスティノフ出場の指示を出せなかったものか。
東欧大会が無理だったとしても、他の地域の大会ならば出場できたはず。

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匿名ユーザー
2018/01/07 08:29

谷川さんはモンスター路線とかしてたし、ウスティノフもチャンスありそうだったのにねぇ。ストップ・ザ・シュルトとか言ってシュルト包囲網作に躍起になってたし、試合は地味でもインパクトあるキャラなら間違いなく出れてた。
でも彼に限らず欧州予選は実力者いっぱい出てた割りに冷遇されてたよね。ナオフォールとか日本でもみて見たかった(いつもいいところまで行くのに巨人に負けてた)。運がなかったのかなー。