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【インタビュー】日本一後楽園ホールに通いつめる男が語るボクシング、キックボクシング界の変遷と現状

2018/01/13 18:48

年間130回〜140回にも及ぶ格闘技の現地観戦を続けるというサーバル氏へインタビューを行った。80年代から後楽園ホールでの現地観戦を続けてきたサーバルが見てきた、ボクシングとキックボクシング界の実情とは?

今回は普段のインタビューとは趣向を少し変え、「立ち技格闘技の現地観戦数が日本一ではないか」との評判のサーバル(※ネット上のハンドルネーム)氏にインタビューを行った。

サーバルは大学生の頃より格闘技にのめりこみ、格闘技観戦を行うようになると、好きが高じてそのまま格闘技の試合にも出場するようになる。キックボクシングではプロの試合を行い、ボクシングでは現在も『ザ・おやじファイト』に出場している。

また特筆すべきは、年間で130回〜140回にもおよぶ現地観戦を現在も続けており、立ち技格闘技の現地観戦数では日本一だと自称する。「格闘技は宗教に近い」と語るほど格闘技にのめりこんでいるサーバルへ、現地観戦のエピソードを中心に話を伺ってみた。

(ボクシングの試合を行うサーバル)

年間130回〜140回の観戦を続ける

ーーサーバルさんは日本一現場で立ち技格闘技を観戦しているかも知れないと自称していますが、実際にどれくらいのイベントを観戦しているのですか?

サーバル だいたいで言うと年間で130から140興行くらいだと思います。

ーー130回!どのような競技を観戦するのですか?

サーバル 立ち技が専門ですので、ボクシングとキックボクシングですね。割合は3:2でキックの方が多いです。MMAはほとんど見ませんが、知り合いの選手が出る時だけ見に行く感じです。

ーー観戦する会場は?

サーバル 後楽園ホール、ディファ有明、新宿FACEの3つのローテーションですね。

ーー年間130回だと単純計算で3日に1回くらいですよね。

サーバル そうですね。まぁ、日曜に午前の興行と午後の興行でハシゴする場合も良くあります。そんなこんなで、月に12回近くは見に行っているという感じですね。

ちなみに、先週は週5回、今週は週4回行ってます。イベントが多い時は固まる感じですね。先週は私はアマの試合(おやじファイト)に出場していて、昼の興行に行けなかったのですが、なければ週6回になっていましたね。

たまに音楽のライブを見に行くこともあったりで週1、2回になる時もありますが、平均したら週3回くらいの感じかと思います。

ーー凄い数ですよね。

サーバル お恥ずかしながら(笑)。興行がない日はジムに行って練習したり、週1回くらいでタイ語を習いに行ったりもするので休みはないですね。

ーー観戦するためのチケット代も大金なのでは?

サーバル 私にとっての格闘技は宗教に近いと思っていますので、そこはお布施かなと(笑)。それに自分はたいして強くもないのですが、まだリングに上がりたい人間なので、プロの技を吸収したい目的もありますね。プロの技術を間近で見て、勉強しに行っている側面も大きいです。

ーー失礼ですがお仕事はされているのですよね?

サーバル はい、一応(笑)。フルタイムで働いてます。

ーーそうなるとかなり大変だと思うのですけど、一日の流れはどうなっているのですか?

サーバル 朝は満員電車を避けるためにも、5時半くらいに家を出て、職場には6時半に着く感じです。なんだかんだ職場にいますので、職場を出るのが19時から21時くらいの間。それで何もない日は、運動は嫌いなのですけど、頑張ってジムに行くって感じです。

ーーかなり長時間働いているのですね。

サーバル いえいえ、とろいだけです(笑)。ただ、平日に後楽園ホールなどで興行がある日は、とにかくすべての仕事をうっちゃって職場脱出します。タクシーも使って死に物狂いでホールに駆けつけるって感じですね。その代わり、次の日に苦しい時もありますが、それは仕方ないことですね(笑)。

ーータクシーまで使うのは凄いですね!正直なところ興行の始めの試合は新人の試合だったりで、見られなくてもいいって人が多いじゃないですか。客席も埋まってないですし。

サーバル それがTwitterで観戦記を書くようになってから、妙な使命感も芽生えたりしまして、「どうせなら最初から見よう」となったりしてます。どうしても間に合わない時もありますけどね。

ーー後それだけの興行を見るとなると、お金とかも大変ですよね。

これは先程も言いましたが、お布施として捧げています。でもそれ以外に、たとえば高い車や時計を買ったからといって、自分が幸せに感じるわけでもないのでいいのではないでしょうか。ペーパードライバーなので車は元々いらないですけど(笑)。

ーー情熱が凄いですね。まさに趣味も格闘技一本という感じが。

サーバル 映画も好きだったり、決して格闘技一本でもないですよ。ただ、映画はジムワークの後に見に行ったりしますが、最近は映画を見ながら寝ちゃうというのが悩みになってます。睡眠時間が足りてないのでしょうね。

ーー朝も早いですし、そこは大変ですよね。

サーバル だから、ちょっとしたスキマ時間に寝るという特技を活かして、何とか体力をもたしています。電車移動の10分間にぐっと寝ちゃったり出来るので。タイのジムで修行した時も、ゴキブリが走り回っていても熟睡しました(笑)。

ーー自分の生活をそこまで格闘技に捧げるのは真似出来ないですね。

サーバル 自分としては、無理にやっている訳ではないので、そこまで大ごととは思っていないですね。でも冷静に考えたら、私と同じ生活を1ヶ月続けたら、死んじゃう人はいるかも知れません(笑)。

ーーなぜそこまで格闘技観戦にのめり込むようになったのでしょうか?

サーバル きっかけは1988年に大学生になって、福島から関東に出てきた頃ですかね。元々は香港映画が好きでアクション映画の道に進みたかったのですけど、なかなか上手くいかず。その中でトレーニングとして始めた格闘技が、いつしか自分のメインになっていたということですね。同時に観戦も始まり今に至るという感じです。

(現在も時間を縫って格闘技のトレーニングを続けている)

ーー格闘技はキックボクシングから始めたのですよね。なぜキックボクシングだったのでしょう。

サーバル やはり昭和45年生まれですので、ブルース・リー、ジャッキー・チェンから始まり、漫画では「あしたのジョー」に憧れてました。それらの融合としては、蹴りがありバンテージを巻くキックボクシングとなりますね。それとは別に、プロレスは新日派でしたが、多感な高校生の時にUWFの思想にはまりました。これからは「蹴り」と「関節技」の時代だと。

ただし、佐山サトルがシューティングに離脱したり、徐々にUWFがどういうものなのかが分かって来た時に、自分の中で格闘技に対する「転向」が起きましたね。それ以来、申し訳ないのですが、プロレスは見なくなりました。

ーープロレスから格闘技への転換期で、サーバルさんもそこで格闘技に惹かれるようになったと。

サーバル そうですね。丁度その頃に全日本キックボクシング連盟の旗揚げがあり、日本武道館でドン・中矢・ニールセンvsロブ・カーマンという試合があったのですよ。人生初の格闘技観戦は、東京ドームこけら落としでのマイク・タイソンvsトニー・タッブスでしたが、自分でチケットを買って自主的に行ったのは全日本キックでした。それでこの時はニールセンがボコボコにやられて、そこでロブ・カーマンという本物を知ることにもなりました。

でもこの日、本当に心を鷲掴みにされたのは、実はサガットvsノックウィーの試合でした。初めて見るムエタイの試合に一目惚れしまして。ワイクーから試合中の音楽まで、何から何まで一発で好きになってしまった。そこからムエタイ志向の人間になりましたね。ちなみに、私がナイスミドルで弓引きのワイクーをするのは、サガットがいまだに私のアイドルだからです(笑)。

ーー格闘家の傾向として必ずしも試合を見ないじゃないですか。自分のトレーニングはするけど他の選手の試合には興味ない選手が多そうなのに珍しいですね。

サーバル そこは自分が本質的には格闘技オタクだからですかね。オタクが度を越して、結局は自分もやるというパターンです。ミイラ取りがミイラになったみたいな。プロになってもずっとファン目線で試合を見ていたので(笑)。

ーーその頃は観戦回数は少なかったのですか?

サーバル お金がなかったので今みたいには行ってないですね。でも、それなりには行ってました。特に90年から93年の間は後楽園ホールでアルバイトしていた関係で、あの時の全日本キック、MAキックの興行はパーフェクトに見てます。立嶋、前田憲作が上がって来た頃ですね。プラス、日本キック連盟のリングには、自分がプロとしてリングにも上がっていました(笑)。

ボクシングも辰吉や鬼塚が上がった主要な試合は、バイトをしながら見ていますね。他にも、大橋、渡久地、川島、吉野、上山、赤城、渡辺雄二…ボクシングの黄金時代を体感しましたね。

ーー格闘技はテレビでも放送されますが、現地観戦をするメリットというか魅力は?

サーバル 映画館で映画を見るのと同じ理由ですね。テレビで見ると集中力が薄まってしまうというのがあるのですよ。例えば早送りしちゃうとか、見ている間に用事があれば立ち上がってしまうとか。でもその場に拘束されると必然的に集中して見ることになりますよね。

後はその場の雰囲気を感じるのも大きいですかね。得られる情報量も会場の方が断然多いと思います。パンチのある・なしなど、生観戦とテレビでは印象の差があると思います。

ーー会場での体験はテレビよりも優るということですね。

サーバル 優るとは言い切れないですけどね。座る角度でKOシーンが見えないこともあるますし、巻き戻してもう一度見られない不便さもあります。ただ私は、大橋秀行が日本人ボクサーの世界挑戦21連敗を止めた試合がいまだに心に残っているのですが(1990年、vs崔漸煥)、あの試合後に観客みんなで万歳三唱したのはすごかったなぁ。ああいう試合を体験しちゃうと現地観戦は辞められなくなってしまいますね。

ーーサーバルさんとしてはもっとファンに会場に来て欲しいという気持ちは持たれているのですか?

サーバル それはもちろん来て欲しいですが、会場に来るのは不自由なことも多いので、「絶対来なければならない」とは言えないですよね。でも、音楽でも実際にライブ会場で聴くのと、後でライブビデオを見るのとでは、とても同じ体験とは言えないですよね。「たまにでいいので会場で見ると、感じることはまた違いますよ」とは言いたいですね。

ただ、どうしても格闘技興行では、その日の当たり外れが大きくて盛り上がらない興行もありますよね。自分は何百試合も見る内の興行の一つだから「そういう日もあるよな」で済みますが、普通の人はそうではないですよね。

自分の知り合いで、地元にボクシングの世界戦が来るということで、「よし、内山高志を応援するぞ」と試合を見たけれど、すぐにバッティングで終わってしまった(vs. マイケル・ファレナス)。

そしたら彼は「もう会場には行かない。テレビで見た方がいい」と言うので、それはそれで仕方ないなとも思います。さらに、あの試合はもちろん私も現場にいましたが、帰りのバスのピストン輸送が遅く、駅に着くまで戸外で相当に待たされましたからね。

私にはこういう苦労も観戦の思い出ですが、「こんななら二度と行きたくない」と思う気持ちも分かります。

ーー必ずしも面白い試合を見られる訳じゃないですもんね。

サーバル これが、温泉に行って景色だったりその雰囲気を楽しむのだったら、ある一定の満足は保証されていると思うのですよ。また、普通の人は趣味が広ければ、年に1回サッカーの大きい試合を見に行ったり、好きなアーティストのコンサートに行ったりする人もいる。

そういう生活をしている人にとっては、ボクシングを一生の内に1、2回見て「つまらない」と感じて来なくなるのも仕方ない面もあるかなと。私の場合はこれしかないから、見に行かない訳にはいかないのだけど…。だから「来てみるといいかもよ」とは言えるけど、「絶対来い」とは言えませんね。

ーーそれでは話が変わりますが、ボクシングとキックボクシングのどちらも観戦していて、2つの競技に興行としての違いは感じますか?

サーバル これはみんなが言うことですが、ボクシングのお客の方が年齢層は高くて落ち着いていますね。そしてキックの方は団体にもよりますがガラの悪い人が多いですね。あ、私は嫌いじゃないですよ、そういう味わいも(笑)。

ーーボクシングの方が一般の人には会場での観戦を勧めやすい?

サーバル う〜ん、でもボクシングはラウンド数が多くて1試合が長いですからね。そういう意味ではラウンド数が少なくて試合数の多いキックの方が、バラエティに富んでいて飽きにくいのかも知れません。

ーーお客さんはどちらが入っているのですか?

サーバル 正直言うと、1、2年前まではキックボクシングの方が相当に入っていました。団体に関係なく、そこそこは埋まる感じです。ボクシング興行の場合は、新人しか出ない興行があるのに対して、キック興行はトップ選手が1ヶ月半とか短い間隔で、バンバン試合をする強みがありますね。チケットを売る人達がメインにいれば、それだけで客が埋まるということもあります。

ただまた最近は、ボクシングが盛り返しつつある感じもしますかね。村田諒太がチャンピオンになったりして、そういう効果がこれから出て来るような気もします。

ーーイベントを見終わった後の満足度とか差はありますか?

サーバル 体験としての差はあまりないですけど、ボクシング興行は終わりが22時近くなることが多くて、それはやめて欲しいなっていつも思いますね。キック団体は今はどこも21時終了を目指して、相当に進行を気にしている。でもなぜかボクシングはそこが無頓着なのですよね(笑)。

後楽園ホールなんかは、ある時間を過ぎたら延長料金を取られると聞くのに、22時近くまでやっているのは何故なのだろうといつも思います。

ーー娯楽としては平日の22時近くまでイベントが続いてしまうと、翌日も仕事がある社会人にとっては辛いところですよね。

サーバル メインの10回戦が、21時過ぎから始まりますからね。JBCからは、タイムテーブルが公開されていますが、まずその通りに進んだ試しはないです(笑)。時々、早いKOが続いてセミ開始を待つ場合があります。それで20時くらいにセミが始まるのはいいのですが、そこから12回戦が2つとかあって判定になると、結局は22時近くになってしまうじゃないですか。

これはボクシングの避けられない宿命の部分はあるのだけど、エンターテインメントとしては課題だと思います。メインイベントが19時台に終わってしまうのはおかしいにしても、遅くても21時くらいにはイベントを終わらせる試合数に抑えるべきだと思いますけどね。

ーー22時終わりだと帰宅するのは23時とかになってしまう人も多いですよね。あと今日のボクシング興行を見ていて片方の選手を応援するのではなく、どちらも応援しているファンなども多く見られたのですが、ボクシングは競技のファンが多いのかなと感じました。

サーバル そうですね。ボクシングの方がキックボクシングよりは固定ファンがいますね。ボクシングマガジンやボクシングビートといった専門誌もありますし、選手のファンというよりも競技のファンがいる印象です。

最近やっとキックボクシングも、K-1やKNOCK OUTはテレビでもやっていますので、両選手のキャラクターを理解して、選手達の話をしながらメインまでの試合を楽しむというファンが出てきたのかなとは感じます。

ーーボクシングの方が歴史があるから固定ファンが多いってことになるのでしょうか。

サーバル ファイティング原田さんだったり輪島功一さんだったり、あの時代の熱を感じた人達がいまだに見続けていますよね。でも、キックボクシングはそういうファンは少ないですね。今や魔裟斗を知らない客層が増えている説もありますし。今はジュニアの時代ということもあって若い子達が会場にいて活性化はしています。でもその子達が20年後もサポーターとして競技を見続けてくれているかと言われれば、他に興味が移ってきれいさっぱり消えている流れもあるかも知れない。キックはそういう歴史を繰り返してきましたから。

後は若者とかはK-1やKNOCK OUTなどはテレビで触れる機会がありますが、それ以外の団体のキックを普通に生きていて見に行こうっていう流れはないと思います。そういう流れにつながるような専門雑誌もないですし。ネットには情報が沢山ありますが、その中から見つけるのは難しくなっていると思います。

これがボクシングとかですと、朝のめざましテレビとかで「村田が世界を獲りました」ってニュースになるからそこが強いですよね。たまたまそのニュースを見て、ボクシングにビビッと来る人間がいるかも知れない。キックボクシングだと「タイトルを獲りました」ってニュースになることなんてまずないじゃないですか。だから誰も存在を知らない。

今はテレビでも活躍しているキックボクサーもいますが、その選手達が「このタイトルを獲りました」と世間からリスペクトを得られるような、共通目標としてのタイトルがないのが現状なので。20年経った時に「世界チャンピオンの系譜」として村田諒太の存在は語り継がれるでしょうけども、キックボクシングはルールや団体が乱立して統一されていないので、同じように語ることが出来ない。そこが辛いなって。

(2017年10月に世界戦で勝利した村田諒太の試合は視聴率20%を越え、フジテレビの年間視聴率トップとなった)

ーー選手が世間から評価を得られず、競技者としてリスペクトされにくい現状は寂しいですよね。他に現地観戦を続けていて問題に感じることはありますか?

サーバル 一番は後楽園ホールの試合中の席移動ですかね。ボクシング、キックに関わらず、試合中に席が分からなかったりで通路をウロウロして視界を遮る人が後を絶ちません。

ーー格闘技は一瞬で試合が決着したりするので、視界を遮られるのはストレスになりますよね。

サーバル 後楽園ホールに来るのが初めての人は、南も北も分からないのでしょうがないですけどね。でも、興行の度によくもこれだけ初めて格闘技を見に来る人がいるのだなってことにはびっくりします。

後、その人達には法則があって、入口のある南側席中段から「どこかな?」と試合中に階段を上がって来て、まず私の視界を遮りますよね。そこで「邪魔だな」と思う人達は、十中八九席は見つけられず、その階段をまた降りて来て2度塞ぎます。これを私は、「邪魔な人、往復で視界を遮るの法則」と呼んでますね(笑)。

ーー座席が分かり辛いのですかね。

サーバル それもあるかも知れないですが、一番の問題はお客の意識の在り方ですよね。同じ人でもきっと映画館なら、上映中に人の前を通らないと思うのですよ。絶対イスの前で立ち止まったら「やばい」と思うはずです。でも格闘技だとそうはならない。なぜかと言うとその人達は知り合いの応援に来ているのであって、まさか今リング上で行われている興味のない試合を、真剣に見ている他人がこの世に存在するとは思っていないわけです。その「まさか」がつまり私なのですけど(笑)。それを常に感じます。

だから視界を邪魔する人達の知り合いがリングに上がって、その人が応援モードになった時、私が前に立って視界を遮ってやろうかなって思う時もあります。もちろん、そんなことをしたことはないですけどね(笑)。

KNOCK OUTやKrushは「試合中の席移動に注意して」とアナウンスしていますが、それがどういう意味なのかは実感はされていないと思います。私のように、すべての試合に興味を持って見ている人は数えるほどしかいないと思うので。

そして邪魔な人達はいずれ去って行き、また新たな選手の知り合いが私を邪魔するという再生産。だから教育は難しいと思いますね。実際に25年前に私が後楽園ホールでアルバイトをしていた時から、まったく変化がない現象なので(笑)。張り紙とかアナウンスで言っても届かない。

実際、選手や関係者でも分かっていない人がいるのだから。試合後に選手が挨拶で応援団のところに来て、お尻でリングを隠してるけど気付いていない。会長やトレーナーだって花道の前の方で立って試合を見ていて、後ろの人の視界を邪魔していて、係員が注意してる場面も見ます。それを一般の客に分かれと言う方が無理ですよね。諦めの境地ですよ(笑)。

ーーそこがサーバルさん的には一番不満に感じる問題だと。他に観戦していて気づくことはありますか?

サーバル つい最近まで、ボクシングはショーアップに無頓着だったのですけど、DANGANという新しいプロモーションが出来て、モニターを使ったり南席後方から選手を登場させたり、新しい流れも見られますね。でも全体的に言えることですが、ボクシング界は音が小さい(笑)。入場曲の音が小さすぎる。なぜかボクシングは昔からそうで、入場が盛り上がりに欠けます。

後はゴングの音をマイクでちゃんと拾わないから、今日も1Rの開始の合図が客席に聞こえなかった。キックの場合はどの団体でもマイクで拾っているのだけど、ボクシングの場合はラウンドの始まりと終わりが聞こえない時がわりにあります。ボクシング界は昔から音の問題がありますね。

キック界、格闘技界の音がバカでかくしすぎというのもありそうですが、選手も好きな曲を使っているわけですし、「もっと音を出してくれ」っていう選手は多い気はしますね。音量のツマミを上げればいいだけの問題なのに(笑)。

ーーこういう積み重ねだとは思うのですが、お客さんが入る興行と入らない興行で違いは感じますか?

サーバル そこは一概には言えないですね。ボクシングもキックも、選手が直接お客に売る手売りの文化ですから、必ずしもいいカードを組んだからお客さんが入るってことはありません。キックを見始めた90年代は、MAキックが一番いいカードを組んでいたと思いますが、客席がガラガラだったことが印象に残っています。

その点、団体が苦境に陥りながらも、そのつど全日本キックは客足を戻してきましたよね。Krushのプロデューサーは全日本キックからの流れにいますから、その伝統が引き継がれているのかも知れません。Krushなどは、メインに向けて盛り上がりを作ることに心を砕いていて最後までお客さんは残りますよね。

ーーチケット屋で買うというファンの方が少ないというのがどちらも現状ですよね。

サーバル そうですね。選手の手売りがほとんどで、チケット屋で動いている分はかなり少ない気がします。それでたまにあるのですが、南の横1列だけチケット屋で販売しているものなのか、その列だけお客が詰まって座っている場合があります。その前の1列が選手の手売り分で売れなかったものなのか、オレンジの椅子が綺麗に空いているみたいなこともありますね。私はその時、チケット屋で買っていたわけですが、同じ横並びの10人ほどの人達を見て、「この方々は、チケット屋から買った純粋なファンの人達なのだろうな」と思ったりして(笑)。

ーー確かに固まって空いている席をよく見ますね。

サーバル 面白かったのはコンビニのチケット販売機で、ディファ有明の興行チケットを買った時の話です。1回買ってから2週間後にもうひとり追加となって、「少し席は離れるけどしょうがないか」と思って買ったチケットを見たら、前に買ったチケットの隣だったという。つまりそのチケット屋では2枚しか売れなかったのだろうなって(笑)。

それくらいチケットはチケット屋から動いていない。そんな貴重なチケット屋から買ってくれるファンなのに、そういう人達が端っこに座っていて、真ん中の見やすいところは選手が売れなかったのか空いているって場面もありますね。まぁ興行が進めば関係者が座って席が埋まるのだけど(笑)。

ーーチケット屋で買う常連ファンにいい席が回ってこないというのも残念な話ですね。

サーバル 興行の形としては現状は手売りを前提に成り立っているから仕方ない部分はありますよね。自分がプロでやってきた時からそこも変わらない部分ですね。

ーーサーバルさんはあまり選手からは買われなさそうですが、いつもはどうチケットを入手されているのですか?

サーバル いや、そんなことはなくて、結構買っていますよ(笑)。というよりも、どうせ買うのだからできるだけ選手から買うようにしてます。ただ、多くは後楽園ホールの事務所で買いますかね。しょっちゅうホールに行っているから出来るというのもありますが、座席表を見ながらチケットを買えるので見やすい席を選べるのがいいですね。

ーー話は変わりますが、年間でそれだけの興行に行かれているサーバルさんが特に推しているプロモーションなんかはありますか?

サーバル キックボクシング界はどこも頑張っていると思うので横並びに楽しんでます。ただもったいないなと思うのは、3年くらい前からキックボクシングで興行が被るようになったことです。自分のようなオタクは被らなければ全部見に行くのですが、土日は興行が2つ、3つ被ることが普通になりましたよね。ボクシングはまず興行が被ることがない。

その辺がコミッションがあるボクシングと、団体が乱立しているキックボクシングの違いだとも思います。お互いに客を食い合いしてしまってますよ。

ーーそれではボクシングの興行でおすすめのイベントは?

サーバル ボクシング興行もあまり違いは感じないですね。ボクシングは良くも悪くも地盤が安定していて、上がり下がりがない印象です。演出もあまり凝らないあの感じが愛されているというのもあるのでしょう。

それでたまに山中や村田のようなスター選手が出てくる、業界の底力がありますね。良くも悪くもボクシング業界はあまり大きな変革を求めていないのかも知れないですね。

ーーただ一方で世間ではエンターテイメントが多様化して、メジャースポーツもファンサービスを率先して取り入れたりと、スポーツビジネスも進化しているので現状維持では先細りするかもしれません。

サーバル それは確かに。1990年代と比べるとボクシングなど、世間での地位は落ちているのは間違いないでしょうね。その頃からキックボクシングはもちろん、ボクシングでも国内王者クラスでは食べていけないと言われてきましたが、本当はこれをどうにかしたいですよね。野球やサッカーのようなメジャースポーツ以外では、純粋に競技だけで食べていける人が少ないのは分かるのですが。

まあ、私は試合を見て語ることしか出来ないので、これからも観戦者の立場で応援していくつもりですが、今後は会場への集客方法だったりネット放送だったり、新しい人がビジネスのモデルを作って上手く回してくれることを陰ながら期待しています。一番お願いしたいのは、団体として利益を上げつつ、それをどうにか選手にファイトマネーとして還元するシステムが出来るといいですね。

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クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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カルバン
2018/01/13 20:17

後楽園ホールでの観戦経験がある者として頷ける意見がたくさん。クイールさん独自のインタビューですね。

 7 l9awf
パーティでルシフに話しかけるには
2018/01/13 21:47

いまだに後楽園ホール行ったことない地方在住者なので、一度行ってみたい。

Missing avatar
匿名ユーザー
2018/01/13 23:54

いつもtwitterレビュー見てます。格闘技にかかせない人材。

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