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菊野克紀、テコンドー東京五輪出場への道。1月21日の全日本選手権を控え、インタビューを公開。

2018/01/17 18:32

武道家として、巌流島で活躍を続ける菊野克紀だが、同時にテコンドーでの東京五輪出場に向けた挑戦を敢行している。テコンドー未経験ながらぶち上げたこのプランだが、2017年10月の東日本地区大会では初出場にしていきなりの優勝。2018年1月には全日本選手権を控えている。

自身の代名詞でもある三日月蹴りなど、バックボーンである空手を武器にMMA、そして現在は巌流島のエースとして活躍する菊野克紀(36)。

2018年1月3日に行われた『巌流島 OUT ENEMY 2018 in MAIHAMA─謹賀新年、宿敵同士の果し合』では、メインイベントで小見川道大と対戦すると、1Rわずか57秒で左フック一閃により衝撃的なKO勝利を収めた。

巌流島のエース対決として宿敵の小見川を破ったが、まだ菊野の挑戦は終わっていない。それは昨年10月に突如として発表した、テコンドーで2020年の東京五輪を目指すというプランを実行すべく、1月21日(日)にテコンドーの全日本選手権を控えているからだ。

テコンドーは蹴りと突きが許された競技という点で空手と似ている部分もあるが、当然のことながらテコンドー特有の戦い方や採点基準があり、テコンドー経験のない菊野の挑戦は無謀なものと思われていた。

しかし10月29日に行われた東日本地区大会では、菊野が初めての大会にも関わらずいきなり優勝を収めたことで、2018年1月21日の全日本選手権への切符を掴んでいる。

「ひょっとすると菊野が東京五輪へ」という希望が沸く優勝劇だったが、実際に東京五輪へ出場するには数々の困難が待っているようだ。菊野が行うテコンドー挑戦、そして東京五輪への道についてインタビューで尋ねてみた。

果てしない五輪への道を駆け上る

ーー菊野選手は昨年から行っているテコンドー挑戦が話題となっていますが、まずは挑戦の経緯を教えてください。

菊野 昨年の6月に岡本依子さん(※シドニー五輪テコンドー銅メダリスト)に「テコンドー出えへん?」と言われたのがキッカケです。

ーーテコンドーではおそらく日本で最も知名度の高い岡本さんから直接声がかかったんですか。

菊野 そうですね。岡本さんは面白い方なので、「出えへん?」ってちょっとイカつい人だったら誰にでも誘いの声をかけていると思うんですけど(笑)。

ーーですが、まさか実際に挑戦する人がいるとは思ってなかったのではないでしょうか。

菊野 僕も最初は何を言ってるんだろうという感じだったんですけど、よくよくルールを聞けばこれはアリだよなって思ったんですよ。

何よりテコンドーは五輪種目で、次は東京五輪じゃないですか。五輪というだけでも凄いのに東京でってなるとこれは面白いし価値があるなと。

ーー東京五輪では空手も正式種目となりましたが。

菊野 ちゃんと調べてませんが空手には出られるシステムがないんじゃないですかね。例えば自分が仮にどれだけ強かったとしても柔道には組織のシステム的に出れないと思います。

出場するにはまずは組織に所属して、条件の元で目指さなければいけない。自分の経験した空手とのルールの違いもありますし、自分の今の環境では目指すことは難しいと感じています。

ですがテコンドーは出場に関してはオープンなんですよね。レスリングとかもそうですけど、他流を競技に入れるシステムがあるんです。そしてルール的にも可能性を感じたのが大きいですね。

ーー実際に競技を行ってみての感想はいかがでしょうか?

菊野 まず練習に行かせて頂いたのですが、テコンドーのスピードと多彩さ、フットワークの凄さ、間合い感覚の凄さ。そして相手の動きを誘ってカウンターを正確に合わせるという能力が凄く高いんですよ。

そこでこれはヤバいと感じました。こっちが近づいたら凄いスピードで蹴られたりとか、凄い駆け引きをやっているので。実際に自分は練習でKOされました。飛び後ろ回し蹴りで記憶を飛ばされましたね。

僕がふっと入った瞬間にスコーンと貰って。これまで海外の選手にはKOされたことがありますが、日本人相手には試合を含めて初めての経験でした。本当に強いなと感じましたね。

あと試合では電子防具というのを付けるんです。プロテクターやヘッドギアにセンサーが付いていて、それにかかとや足の甲あたりがセンサーに反応する電子ソックスが触れるとポイントになるという仕組みです。

なのでスネで蹴ってもポイントにならないんですよ。あとは前蹴りとかヒザで蹴ってもポイントにはならない。このセンサーをいかに反応させるかという競技なんですよ。

ーー菊野選手の代名詞と言える三日月蹴りも評価されないんですね。

菊野 三日月蹴りはやっても良いのですがポイントにはなりません。

そしてポイントにも付き方があって、ボディーのセンサーは蹴り込めばポイントとなりますが、顔面のセンサーは本当に触れるだけでポイントになります。なので初挑戦で出場した東日本選手権の1回戦ではビックリしました。

1回戦が始まって相手の蹴りを避けているのにポイントはどんどん取られていくんですよ。顔のセンサーが反応して10点以上先に取られてしまいました。

テコンドーという競技は間合いの駆け引きなどがあるので、ポイントが10ポイントいかない試合もあります。

それが開始10秒くらいでパパっと10ポイント以上取られたので。「うわ、これが現実かって。」もう無理かもなと頭をよぎりました(笑)。最初の何十秒かで心が折れそうになりましたね。

ーー菊野選手は初挑戦した東日本選手権で優勝しましたが、一回戦から追い込まれていたんですね。

菊野 1回戦は凄くドロドロの試合でした。最初にポイントを取られてからはとにかく攻めるしかないと思って、距離を詰めてボディーを攻めました。そうしたら相手の動きも鈍ってきて僕の蹴りも当たるようになりました。

それで最終的にはポイントで逆転でき、相手の反則の累計で僕の逆転勝利になりました。

ーー反則とはどういうことでしょう?

菊野 テコンドーでは床に手やヒザがついたりすると反則になるんですよ。あとは試合場は円形なんですが相手を押してもよくて、最終的にパンチか蹴りで相手を場外に出せば、出されたほうに反則が入るんです。

それらが10回で勝ちになるんですけど、僕にはそれが狙い目になってます。ポイント勝負になったら厳しいので、相手にプレッシャーをかけて倒したり、相手を場外に出していくという戦略で1回戦は僕の勝ちになりました。

その試合のポイントはお互いに50点前後のポイントがつくというテコンドーではあまりない試合展開でしたね。点数的にはホントにバスケットの試合かなって感じでした。

ーーしかし2回戦はKO勝利だったと聞いています。この試合は快勝だったんですか?

菊野 いえ、ある意味で2回戦が一番手こずりました。2回戦の相手は僕の1回戦を見て研究をしていたんですよね。

僕はパンチを武器にしていると判断したようで、距離を徹底的にゼロにするか離れる戦いをして僕のパンチが打てる距離にいなかったんですよ。

それでテンパっていたところもあったんですが、腹に意識をさせてからの上段回し蹴りが自然に出て倒せました。これは極真時代の経験が活きた形ですね。

ーーツイッターの速報を見ていて菊野選手は順調に勝ち進んでいるなと感じていたんですが、実はそうではなかったんですね。

菊野 全然でしたね。凄く際どかったです。ある意味では決勝戦が一番テコンドーっぽく落ち着いて戦えました。無茶をしない形で。

ーー次は1月21日の全日本選手権となりますが、これを優勝したらオリンピックまではどういった道筋になるのでしょう。

菊野 1月21日の全日本で優勝できれば強化選手になることができます。そして強化選手になれれば国際大会に出場できる。国際大会で結果を残せれば世界ランキングが上がる。

東京五輪での日本の出場枠は2枠しかないらしいんですよ。日本におけるテコンドーの階級は8つあるんですが、五輪では4つになるのでその時点で出場権の争いは激しくなりますよね。

さらに4階級ありますが、日本から出場できるのは2階級だけみたいです。だから4階級のチャンピオン同士の争いで勝ち残らなければいけない。

ーーそうだったんですね。全日本選手権を優勝すればもう五輪出場は間近なのかと勘違いしていました。東日本を優勝されたので全日本も本命なのかと。

菊野 五輪までの道はまだまだ果てしないです。それに東日本選手権には全日本のトップ選手は出場していないんですよ。

たしか前回の全日本選手権の3位までの選手は地域の選手権には出場しない。だから全日本は東日本と西日本の選手権で3位までの選手と、前年の全日本3位までの選手で争うことになります。

ーーでは全日本は東日本よりもレベルの高い争いになるんですね。

菊野 全然レベルが違うでしょうね。東日本選手権での優勝は本当に五輪までの階段の一段目を上がっただけの状態です。

ーーそれでも東日本選手権を優勝したときは衝撃でした。

菊野 まあ、伸びしろの部分では僕が一番あると思います。全日本でも前回の自分とは違うものを見せれると思うので可能性はあるかもしれません。

でも僕がテコンドーで試合をするほど、他の選手達も研究して対策が立てれると思うのでそれとの勝負ですね。僕の伸びしろと彼らの研究のどちらが上回るか。

テコンドー挑戦は自分にとっても大きなチャレンジなので、まずは1月21日の全日本選手権に集中して結果を残したいですね。

菊野克紀プロフィール

柔道や空手といった武道をバックボーンとし、23才の頃に高阪剛が主宰する『ALLIANCE-SQUARE』に入門し、総合格闘家として活動を始める。

総合格闘技では空手技である『三日月蹴り』を取り入れ、従来のセオリーにはない軌道となる三日月蹴りを武器にDEEPを舞台に勝ち星を重ね、2009年にはDEEPライト級王者に輝く。

その後、メジャー舞台であるDREAMにも参戦し、世界の強豪と互角の試合を繰り広げたことでも評価を高めた。2014年からはUFCにも参戦するなど、MMAファイターとして世界最高峰の舞台にも挑戦している。

現在では巌流島のエースとして活躍し、2018年1月3日には宿敵である小見川道大を1Rで返り討ちにした。そして1月21日にはテコンドーの全日本選手権を控えている。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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KO
2018/01/17 19:09

テコンドーの選手が他競技に出た時に足の甲で浅く蹴るのって、テコンドーだとそうしないと点数が入らないからだったんですね。

それはそうと菊野選手、テコンドーの全日本選手権でも優勝してほしいです。

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