Queel
×
サイト内を検索する
  • キックボクシング
  • コラム

佐藤嘉洋が代表を務める「日本キックボクシング選手協会」がクラウドファンディングをスタート

2018/01/20 13:50

2017年にキックボクシング選手の権利を守る「日本キックボクシング選手協会」が発足した。発足から1年弱が経過したタイミングで一般社団法人化するべく、クラウドファンディングがスタートしている。選手協会とはどんな活動をするのか、クラウドファンディングを通じて何を実現するのか、佐藤嘉洋および顧問弁護士に取材を行った。

現役時代はK-1 WORLD MAXで華々しい活躍を収め、現在は立ち技格闘技イベント『名古屋Krush』の大会実行委員長として活動する佐藤嘉洋。

佐藤は肘ありルールのキックボクシングやムエタイ、そして肘無しのK-1と異なるルールに適応し、いずれも世界の最前線で戦ってきたことで、2000年代のキックボクシングを象徴する人物と言える。

そんな佐藤だが、2017年より「日本キックボクシング選手協会」を立ち上げ、選手の権利を守り、キックボクシングという競技の発展を目指すべく活動している。

そして活動から1年を迎える2018年3月に、選手協会を法人化し『一般社団法人キックボクシング選手協会』とするべく、その資金を募るために新たにクラウドファンディングを1月20日(土)に立ち上げた。(※クラウドファンディングとは、ある理念を持った起案者が、理念を叶えるべくインターネットを通じて、共感した人々から資金を募る手法のこと)

そもそもキックボクシング選手協会とはいかなる活動を行うものなのか、そして佐藤はなぜ選手協会が必要だと感じているのだろうか。

選手とジム・団体間のコミュニケーションを円滑に

選手協会の役割の一つは、選手とジム・団体間のコミュニケーションを円滑にすることだ。もっともこれは選手同士が団結して、ジムや団体に集団で意見を表明するのではなく、選手協会が間に入ってコミュニケーションの助けになることを狙っている。

佐藤「今までは団体から選手、ジムから選手への一方的なコミュニケーションが多かったんです。そこで少しでも選手の気持ちを団体やジムに知ってもらいたかった。そこができずに離れ離れになってしまうことがありましたが、一言コミュニケーションが取れさえすれば、未然に防ぐことができた可能性もあったのではないでしょうか。僕も業界が長いのでもったいないな、と思ったこともあります。そこで我々がクッション材になるのであればいいなと考えています。」

佐藤「僕が色々と首を突っ込んだことを書いていたからだと思うのですが、現役時代からFacebookなどから相談がよく来ていました。それで一つずつ対応したのですが、これは一人ではどうにもならないなと。それで選手協会を作ろうかとSNSで呼びかけたら賛同者が現れて、顧問弁護士の方も無償で相談に乗ってくれるようになりました。凄く助かってますね。」

もちろん選手協会は選手側からの一方的な権利要求をするのではなく、あくまでキックボクシングという競技の発展に寄与するために活動する。

佐藤「中には自分の団体に不利益なことをするのではないかと考えられることもありますが、それは全然考えていません。今まで一方的な立ち位置だったのを、選手側からも意見を発せるようにしたいんです。僕は社会組織として成り立たせるためにも、双方向のコミュニケーションが取れるようにしなければならないと思っています。」

佐藤「選手が何も言えない業界に親が入れたいと思わないですよね。凋落させたいとは全く思っていなくて、キックボクシングに取り組む人を増やして発展させたいだけなんです。」

また佐藤自身も『名古屋Krush』の大会実行委員長を務めているため、選手・主催者双方の立場を経験している。その経験を活かし、団体やジムとのコミュニケーションの手助けをしていく。

選手とジムの契約内容を明確にする

キックボクシングのプロ選手は、試合をするに当たってファイトマネーの取り分や、所属先を移籍する際の費用などに関して、所属ジムと契約を交わすことになる。

しかしキックボクシングでは契約に対する意識付けがまだ高くはなく、内容を精査せずに契約を結ぶことで、後に予期せぬトラブルが生じることもある。キックボクシングでは契約内容について、当事者同士の信頼関係によって成り立っている部分が多い。それゆえに関係がこじれるとトラブルになりがちだ。

そこで選手協会は契約の相談を受けつつ、選手にとっては望まぬ契約を結ばないよう、ジムにとっては契約書をイチから作成する手間を省き、双方へのメリットをもたらすよう契約のアドバイスもしている。佐藤と同席した顧問弁護士の水口は次のように話す。

水口「選手契約に関してはこれまで何件か相談を受け、応えてきました。今は選手は何を確認したら良いかをリストにして、選手協会のホームページにQ&Aの形式で掲載しています。実際に選手とジムの両者が納得する契約書を作成した前例もあり、選手から相談を受けたこともあれば、ジム側から『契約書を作って欲しい』と依頼もされています。」

(選手協会のウェブサイトには契約のQ&Aが掲載されている)

水口「契約書については単に認識がされておらず、問題意識を持ってもらうだけでも意味があるのではないかと考えています。これは選手だけのメリットではなく、例えば選手が大成した時にきちんと契約を決めておくことでジムのメリットにもなります。双方にとって、どういったメリットになるということを理解する機会にしてもらえればと思います。」

事例自体は少ないものの、既に選手とジム、双方が納得行く形での契約書を作成したことがあるという。その事例を元に新たなケースも対応していく予定だ。

佐藤「僕は根本的には選手の味方ですが、これはジム関係者にも不利益になることではありません。契約という約束をしっかり果たした上での義理と人情であって、契約のない義理と人情はただの独りよがりになってしまう。契約書を作るのが面倒だからという事情があるのかもしれませんが、うちには弁護士が作った雛形があるのでぜひ活用してもらえればと思います。」

選手、ジム関係者の匿名を守って相談窓口に

そして選手協会にはもう一つ大きな役割がある。それは選手に向けて、契約等に関する相談窓口とすることだ。

選手からすれば表立って相談することが難しい事情もあるが、選手協会は相談者の匿名性を遵守し、ひいては誰が加入しているかの情報を一切オープンにしないというスタンスで運営していく。

相談方法は至ってシンプルで、選手協会のホームページにある問い合わせフォームから相談内容を送信するだけだ。相談手数料が取られることもなければ、そもそも選手協会自体が収益を上げることを目的としていない。

佐藤「僕らが無償で選手たちの相談窓口になっているという形式です。なので交通費も時間に対する給与も、これまで1円も貰っていません。全部無償で動いていますが、元々お金儲けしようと思っていないので良いんですよ。」

全てはキックボクシングという競技の発展のためという動機であるが、佐藤の現役時代や引退後の行動を鑑みれば信頼に足ることは自ずと見えてくるはずだ。

キックボクシングを文化にする

選手協会とは直接関係はないが、キックボクシングは現在フィットネス領域でブームになっているという。佐藤はフィットネス専門のキックボクシングジムを経営する立場から現在の状況を次のように話す。

佐藤「今はフィットネスとしてのキックボクシングが凄く注目されていて、名古屋の高級ホテルの宣伝にも『当ホテルのジムはキックボクシングができます』と書かれているんですよ。ホテルがわざわざキックボクシングの名前を出すくらいに市民権を得てきているというか、ブームになってきています。

キックボクシングは一般のフィットネスジムでも行われていますが、それに我々のようなキックボクシングを専門にしているジムが技術で負けるわけがない。そしてこの流れをブームで終わらせずに、ちゃんとフィットネスの文化として根付かせたい。」

(佐藤が運営するフィットネス専門のキックボクシングジムのHPより)

まだまだキックボクシングの競技者人口が爆発的に増えているとは言えないが、キックボクシングの波は確実に訪れている。そして佐藤は、現役時代に世界の第一線で戦っていた身でありながら、現在は後進の選手を育てるのではなく、フィットネス専門のジムを開いているというのも象徴的な事例だ。

佐藤「文化として根付かせて、キックボクシングに取り組む人が増えれば間違いなく競技者人口も増えるはず。アマチュアに出たい人、プロになりたい人も間違いなく出て来るので、僕はやる側の人口を爆発的に増やしたい。」

佐藤「うちのジムはフィットネスですけど、全くキックボクシングのことを知らないで入ってくる人もたくさんいます。でもそこからキックを好きになって、チケット代を払って会場に来てくれる人も多い。もちろん自分の利益にもなっていますし、間違いなくキック業界の利益にもなっています」

クラウドファンディングの実施要項

ところで選手協会が法人化するにあたって、クラウドファンディングで資金を募っているのが、これは人件費ではなく法人の設立費用、ならびに支援者や選手自身に当事者意識を持ってもらうためのものだという。

支援を行う方法は2パターンあり、まずキックボクシングの競技者は3,000円、一般向けには3,000円または10,000円の募集が行われている。そして支援者には佐藤からのお礼メール、選手には個別のコメントが送られ、また10,000円の支援を行った者には、佐藤や顧問弁護士と懇親会に参加するリターンが送られる。

もっともこれはリターンを目当てとするというよりも、選手協会がより認知度を高め、これまでよりも多くの人と活動していくための前掛かりとしてのクラウドファンディングとなる。

もちろん選手が支援に参加したとしても、その名前がオープンになることは決してない。

佐藤「選手がキックボクシング協会に参加していることが公になると、現状ではひょっとしたら不利益を被ることもあるかもしれない。だからこそ匿名を守ることを考えています。」

選手協会は大々的に活動するものではなく、今後も縁の下の力持ちとして競技と寄り添っていく。一方で「今まで細々と活動してきたが、選手協会という窓口があることを選手に知ってもらいたい」として、今回クラウドファンディングのタイミングに合わせてクイールで発信することとなった。

佐藤をはじめ選手協会の理念に賛同し、支援を行いたい方は、こちらのリンクから今すぐクラウドファンディングに参加可能だ。また競技者やジム関係者の方で、契約等で相談したいことがあれば、選手協会のウェブサイト内の問い合わせフォームより相談依頼を送ることができる。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
クイールをフォローして
最新情報をチェック!
最新の格闘技ニュースをお届けします

この記事へのコメント()

Yu5vhm2x
大澤 辰郎
2018/01/20 18:06

広瀬すずちゃんもキックボクシングしてますからね。
週5でする時もあるって言ってましたよ!

Missing avatar
堅物くん
2018/01/20 18:58

キックボクシング協会はキック版の生活相談窓口みたいな印象を受ける。

今まではトラブルになった選手が嫌気をさして引退。若手の注目株が業界を去ってしまうということもあったけど、この協会が機能してそういうケースが少しでもなくなってくれればいいですね。

現在は担当弁護士と佐藤嘉洋がボランティアでやっているという形のようですが、ここからさらに発展した仕組みにはなって欲しい。

E9reywv2
段ボールが本体
2018/01/21 00:14

ある種の叩き台となって、ボクシングやMMAにも広がって欲しい。

Missing avatar
クイール最高
2018/01/22 11:37

佐藤すごいですね
考えて活動しているな

関連する記事