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菊野克紀がテコンドー全日本選手権で準優勝を収めた大会の一部始終をレポート。

2018/01/21 20:12

巌流島のエースである菊野克紀がテコンドー全日本選手権に出場すると、決勝までコマを進め準優勝を収めた。惜しくも優勝を逃したことで東京五輪への出場は厳しくなったが、未経験ながら準優勝を飾ったことは快挙と言える。

沖縄拳法空手をベースにMMAを経て、巌流島のエースとして活躍する菊野克紀(36)。現在は巌流島と並行してテコンドーに挑戦しており、2020年の東京五輪への出場を目指している。

テコンドーは柔道などの競技と異なり、特定の組織に所属する必要がないオープン参加の形式を採用しており、それゆえ菊野は一般参加としてテコンドーの大会に出場している。昨年10月にテコンドー挑戦を発表してからテコンドーの練習をしているという菊野だが、練習期間は非常に短く、あくまで戦い方のベースは空手にある。

ほぼ未経験の状態で臨んだ10月29日の東日本大会ではルールや採点方法に戸惑い、何度か敗戦の危機に陥りながらも勝負強さを発揮してトーナメントを勝ち進み、なんと初挑戦にして東日本大会を優勝し、全日本選手権への出場を決めた。

そして1月21日(日)にテコンドー全日本選手権が開催され、菊野はここにエントリー。東日本大会には出場していなかった関東のトップ選手も加わり、猛者たちが集う全日本の舞台に足を踏み入れた。

ノーシードの菊野は3度勝利すれば優勝

菊野は-80kg級にエントリーしており、全日本選手権に出場したのは全5人だ。

しかし菊野はノーシード枠となっていたことから、他の選手よりも1度多く勝利する必要があり、優勝までに1日で3度勝利しなければならない。

トーナメントの優勝候補筆頭はエントリー表で一番下に位置する江畑秀範だ。この選手は身長197センチという規格外の体格と、多彩な足技を武器に絶対王者として君臨しており、菊野は勝ち進めば決勝で対戦することになる。

(赤が優勝候補の江畑。脅威のリーチを活かして試合を有利に運ぶのが特徴。)

ちなみに全日本選手権を優勝したからといって五輪に出場できるわけではない。五輪への出場枠は2つしかなく、全日本選手権では8階級あるが、五輪の階級は4階級に絞られる。全日本王者になって国際大会への出場権を勝ち取り、国際大会で世界ランクを上げ、さらに全日本王者同士の対戦に勝利することで2つの枠に入ることで五輪出場となる。

このように五輪への道は険しく果てしないが、何はともあれこの全日本選手権で優勝することが、五輪出場のための第一関門となる。菊野は歴戦の強豪を打ち破り、全日本王者となれるのか。

1回戦は場外を度々誘っての反則勝ち

1回戦から菊野の強みが存分に表れることになった。

対戦相手が多彩な蹴り技でポイントこそリードされるものの、菊野が抜群の圧力を発揮して、ボディーブローを軸に対戦相手を何度も場外へと追いやる。

テコンドーでは地面に手をついたり、場外に出ると反則になり、これを10回繰り返すと反則負けとなる。菊野の常軌を逸した圧力は、ちょっとやそっとの蹴りでは止めることができず、対戦相手は逃げるように蹴りを放ってもそのまま場外へと押し出されるばかり。

やがてポイントをリードしたまま、場外を繰り返したことで対戦相手の反則負けが宣告され、菊野は1回戦を突破する。全日本王者まであと2勝だ。

準決勝は僅差で競り勝つ

続いて行われた準決勝は僅差の接戦が繰り広げられた。

序盤は菊野が蹴りをもらってポイントをリードされるも、徐々にボディーへの突きを連打して相手を下がらせ、ミドルキックでポイントを挽回して逆転する。最終3Rに相手に逆転を許すも、残り40秒ほどでハイキックを決めて再び逆転に成功する。そのまま13-12と1ポイント差によって菊野が勝利を収めた。

まさに最後は菊野の執念が勝利を呼び込み、初出場にして決勝進出を果たした。

決勝は優勝候補の前に大差のポイント負け

決勝戦に向けてこの日一番の集中力を見せる菊野克紀だったが、一つアクシデントが起きる。それは進行表の通りであれば、18時30分頃に試合が行われるはずだったが、途中で変更があったのかあるいは試合順を間違えたのか、なかなか菊野の決勝戦が行われない。

既にアップを済ませていた菊野だが、肌寒い会場の中で30分以上も待機することになり、試合前に再びアップを行うことになっていた。ここはテコンドーでの試合経験不足ゆえに生じたトラブルだったのだろうか。もっともこれについては試合後の囲み会見で影響はなかったと話していた。

そして19時30分頃にようやく決勝戦が行われた。197センチという脅威の体格を誇る江畑と、170センチの菊野とでは頭一つ分ほどの体格差があり、並んだ時点で難しい試合であることを予感させた。

試合は江畑の体格を活かしたキレ味鋭い蹴り技が何度も菊野を捉えてポイントを重ねる。菊野は圧力を発揮するが、江畑は全く下がらずに距離を潰し、屈強なフィジカルを誇る菊野とぶつかっても押し負けない足腰を持っている。菊野はしゃにむに突きを繰り出すが江畑は的確に腕でブロックしてポイントを奪うことができず、1Rが終わった時点で2-15と大差をつけられる。

2Rには菊野が放った突きが反則となる首筋を捉えてしまい、江畑が倒れ込んで中断される場面も。

しかし絶対王者の江畑はこれにも動じずに再開後もポイントを重ねていき、2R終了時点のポイントは2-40ともはや挽回不能な点数をつけられる。

もはや菊野は倒すか反則勝ちを狙うかしか勝ち筋はないが、江畑はそれでも回転技を交えた危険な蹴りを放って容易に懐に入らせない。なんとか中に入ってもガードが固く一向にポイントを奪うことができない。菊野は強引に攻めた際に再び首筋に突きを放ってしまい中断されるが、再開後も展開は変わらずに試合が終了。

終わってみれば3-66という大差によって菊野が敗れてしまった。しかし菊野は最後まで決して諦めず、また江畑も菊野の圧力に屈しない好勝負となっている。

残念ながら菊野は全日本選手権を優勝し、東京五輪への道をこじあけることはできなかったが、テコンドー未経験の菊野が自身のスタイルを貫いて決勝まで進出したのは間違いなく賞賛に値する。道なき道を行く菊野の挑戦はこれからも続くだろう。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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kuros
2018/01/21 20:39

練習量の差もさることながら、江畑選手は体格がテコンドーに特化していますね。
この差を埋めるのは難しい。