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勅使河原インタビュー。初防衛戦への意気込み、輪島会長との師弟関係、実母との再会【後編】

2018/02/03 19:54

本記事では勅使河原 弘晶(てしがわら ひろあき)のインタビュー後編を掲載する。

勅使河原は幼少期に義母から虐待を受け、やがて非行に走って少年院に入ると、少年院で手に取った輪島功一の本をキッカケにボクシングを始めることになる。

インタビューの前編ではその壮絶な生い立ちと、その攻撃的なファイトスタイルを支える、勅使河原自身にあるプロボクサーとしての理念に迫った。

後編では師匠である輪島功一会長とのエピソード、また「輪島スポーツジム」に初めてのベルトをもたらしたWBOアジア・パシフィックのタイトル戦、そして今後見据える世界戦までの展望についてインタビューを行った。

勅使河原は2月8日(木)に自身が保持するWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座の初防衛戦として、ジェイソン・カノイ(フィリピン)と対戦する。

(※インタビューの前編はこちら

初防衛戦への意気込み、輪島会長との師弟関係、そして実母との再会

ーーそこに付随すると思うんですが、勅使河原選手は入場も個性的ですよね。

これは赤穂戦で桃太郎の格好で入場したのが始まりです。赤穂選手が赤鬼と呼ばれていたので、じゃあ赤鬼退治をしようということで、桃太郎のBGMで猿と犬とキジをつれて入場して。

その入場が終わってからみんなに「次は何をやるの?」って言われるようになりました。そっからですね。

ーーボクシングの入場はシンプルなものが多い中で異色ですよね。

桃太郎の入場をしたときに自分的にも凄く面白かったんですよ。それで周りも求めてくるので。

みんな普通に入場してくるじゃないですか。その中で派手に入場してきたら「なんだこいつ」って思って僕の試合も見るんですよ。

後楽園ホールは身内の応援に来ている人が多くて、僕の試合なんか見ていない人も多いんですよ。そこで入場で「なんだこいつ腹立つな」でも思ってくれたら僕の試合も見るじゃないですか。

試合の序盤は確実に見てくれます。そこで僕が面白い試合をしていたら最後まで見てもらえると思うし、僕の名前も知って貰えるだろうし。

そこから応援してくれる人も増えるので全て良い方向につながるんですよ。

ーーその辺りは自身のセルフプロモーションという意味合いもあるんですね。勅使河原選手といえば試合前のトークも面白いですよね。「ぶっ飛ばす」というセリフが特に印象的です。

これは本当にぶっ飛ばそうと思っていますからね。極端な言い方ですが、ボクシングの試合で自分も相手も死んでもいいと思っているので、それは思ったことを本音で言っているだけです。

次の相手もボコボコにしてそのまま病院送りにしてやろうと思っています。リングの上ではお互いに死ぬのはしょうがないですからね。

ーー後楽園ホールでは会場全体から声援を送られているのが印象的ですが、この辺りはそういう意識の違いなんでしょうか。

どうなんですかね。まあ、僕は周りに恵まれていますね。環境といい、周りの人達といい全てで恵まれているので。

ーーキャリア序盤はバックボーンもあり冷ややかな目で見られることもあったという話も聞きますが、今はそれもなくなりましたよね。どこが転換期になったんでしょう。

その辺の感覚はわからないですね。まあ、今でも冷ややかな目で見てもらっても全然いいんですけど(笑)。見てさえ貰えればネットで悪口を書いてもらっても大丈夫です。

そこから僕の名前が広がるのでなんでもやってくれと。僕はみんなに応援して欲しいとは思っていないので。

僕が有名になればなるほどアンチも増えてくるだろうけど、その中でも僕を応援してくださる方がいるのなら嬉しいですね。アンチはアンチで僕に興味を持ってくれているということなので嬉しいです。

ーー話が飛んでしましますが、勅使河原選手はガードがかなり低いですよね。

僕はガードができないんですよ。

ーーえ!

輪島会長がガードすると怒るんですよ。「このアマチュアが!」って。なので僕はガードをしていると輪島会長が怒るのでやらないんですよ。

輪島会長は「避けろ」って言うんですよ。練習だとヘッドギアしているしグローブもデカいのでガードしたら効かないけど、試合だとガード越しでも効かされることがあるんですよ。

だからガードよりも避けろって。だから自分はガードよりも避けて避けてっていうディフェンスの意識の高さがありますね。

やればみんなできるので、才能云々じゃないと思っているので。

ーーガードなしであの戦いは難しいですよ。

いや、僕はデビュー当初からこの戦い方をしているので。「避けるの上手いね」って言われますが、みんなやっていたら同じことができるので。

長くやっていると身体の使い方もわかってきて運動神経もよくなりますし、努力だと思いますね。

ーー前回の試合は世界挑戦経験のある王者に勝利してWBOアジアのベルトを奪いました。これは初タイトルですたが嬉しかったのでは?

何もないですね。今でもチャンピオンだと思ってないですし、ベルトもずっとジムに置いてます。

タイトルを獲ったことは周りが喜んでくれましたし、輪島会長に形あるものを渡せたというのは嬉しいですけど、それ以外で感じるものはないですね。

一戦一戦を人生かけてやってきているので、前回の試合もその一つにすぎないので。

もちろん世界のベルトを獲ったら嬉しいと思いますけどね。この前のタイトルを獲ったからということでそこまで金銭的に潤うわけではないですし。

ーーあくまでも通過点という試合だったんでしょうか?

通過点といえばそうでしょうね。一戦一戦勝っていかなければ世界に続かないと思います。チャンピオンになると言うのが僕の目標ですし、世界チャンピオンになってからも勝ち続けてお金を稼がなければいけませんし。

ただサウスポーに勝てたというのは嬉しかったですね。この試合までスパーリングでもサウスポーの選手とやったことがなかったんですよ。

ーースパーリングもですか!?

うちのジムは選手が少ないので。なのでサウスポーもいないんですよね。

だから経験がないからサウスポーはヤバいって試合前はずっと思っていたんですよ。その中で試合までの短期間でサウスポーに勝てたっていうのは嬉しかったですね。

ーーその試合に向けてはキックボクシングのジムにも行かれたんですよね?

そうですね。クロスポイントさんに行って小笠原瑛作選手とスパーしましたね。始めてのサウスポーの選手で勉強になりました。

初めてのことにチャレンジする2ヶ月間は楽しかったですね。サウスポーの対策をしているとボクシングを始めた頃のように成長しているといいますか、気づくことが多かったんですよ。

次はこれをしようとか、これをやったらこうなるとか色々なことを考えて。色々なことを吸収してボクシングってめっちゃおもしれえと思いながらやっていましたね。

ーー初のサウスポー相手でプレッシャーはなかったんですか?

プレッシャーはありましたね。今まで輪島ジムでタイトルを獲った選手もいないという過去があったので。

ジムとしてこれまで何度も挑戦しながらタイトルを奪えなくて、その中で初のサウスポー戦というのはプレッシャーでした。

もちろん勝つと思っていましたけど、これはやべえなとは思っていました。

ーーしかし世界ランカークラスの相手に倒して勝利したのは自信になったのでは?

そんなこともないですね。倒したといってもレフェリーストップなので。

僕はいつも綺麗に倒せないんですよね。理想は綺麗に倒したいんですけど、パンチ力はあるのに倒せない。タイミングなんでしょうね。

僕は殴りつけるだけなので(笑)。相手を痛めつけるじゃないですけど。

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ーー初タイトルについては輪島会長から何かやりとりがありましたか?

何か言われたっけな。でも防衛してからが本当のチャンピオンというふうには言われているので。みんなタイトルを獲るまではいくけど防衛するのが難しいんだって。

まあ、僕は防衛してもチャンピオンだとは思わないですけどね、これはアジアのベルトなので。僕の場合はチャンピオンは世界ですよ。

ーー初防衛戦のジェイソン・カノイも強敵ですよね。

戦績を見る限り強いですし、KO負けが一個もなく気持ちも強いんだろうし、パンチもあるいい選手なんだなっていうのは思います。

ーー丸太陽太選手とも対戦経験があって、負けはしましたが最後は逆転KO寸前まで追い詰めているのが印象的です。

最後は丸太選手が倒されそうになっていたとは聞いています。

まあ、そういう相手だからこそやりがいがありますよね。初めてのKO負けを味わわせてやろうって。日本をトラウマにしてやろうと思っていますね。

ーー初防衛戦ですが強敵が来たなという感じもします。

上に行ったらみんな強いですから。世界に行くには強いやつに勝たないと始まらないので。

もともと強い選手とやりたかったですからね。本音では日本人選手とやりたかったという思いはありますが。

ーー試合は残り2週間ほど(※インタビュー収録時)となりましたが、仕上がりや減量はどうですか?

最近になって上がってきましたね。減量は長い期間をかけてやるので順調です。僕は試合の2ヶ月前くらいから少しずつ始めるんですよ。

なので人から「減量してないでしょ」って思われるくらいに普通にご飯を食べています。今日もこれから餃子を食いにいきますから。

ーー今回の試合のテーマはどのようなものになるのでしょう?

勝つことが一番ですけど、その中で倒すことは常に狙っています。

ーー最終目標は世界ということですよね。当面のターゲットとしてはWBO世界王者のゾラニ・テテですか?

とりあえずはそうなりますかね。あまりテテを知らないんですけどね(笑)。話があればいつでも断る理由はないですけど、僕はまだそのレベルにはないと思っているので。

まあ先のことを考えていても足元をすくわれるので、僕は次の試合だけに全力投球してそれ以外は何も考えていないです。

あとはDANGANだったりダイヤモンドグローブだったり僕は周りの環境に恵まれているので。周りが僕の進むべきレールを敷いてくれているのでそこに乗っかって。

そこでやるべき仕事をやっていくだけです。そうすれば必ずチャンスは来ると思っています。

ーーその気持の強さはどこからきてるんでしょうか?

わからないですが、幼少期に虐待を受けて長いこと鉄格子と塀の中で過ごしてそのあたりで心が鍛えられたんじゃないかなとは思います。

その辺のストリートチルドレンよりも辛い思いをしていると思うので。僕は誰よりもハングリーですね。

ーーそれはある意味では怒りなんでしょうか。

怒りではないですね。身体に刻み込まれているものなので。本能的に出るというか、今までの経験したことは絶対に忘れないし消化されないので。

憎しみとかそういうことはないですけど、僕の潜在意識にはそういう経験が刻み込まれているので、それが本能的に煮えたぎるものがるというか。

ヤバいと思ったときにはそれがでますね。何なのかわからないですけど、そういうことじゃないですか。

ーー最後に今回の試合に向けて会場に来るファンにメッセージをお願いします。

会場に来て貰えれば絶対に損はさせません。僕の試合を見ておけば間違いないと思っていて、他の試合はどうでもいいです。

僕の試合だけ見ておけば満足する試合をするので、そこは楽しみにしておいて貰いたいですね。

ーー補足で、輪島会長とのエピソードは何かありますか。

僕は義理母から虐待を受けていて、本当の母の記憶がなかったんですよ。物心ついたときから義理母に育てられていたので。

それでプロになって新人王を勝ち上がっていた頃くらいに、ジムで輪島会長から「お前のお母さんは今どうしてるんだ?」って聞かれたんですよ。

それで僕は「いや、会ったこともないですし分からないです」って答えたんですよ。そしたら会長に凄く怒られたんですよ。

「お前のことを思っているのは実のお父さんとお母さんだけだ。お母さんは何があってもお前のことを思っているんだから何がなんでも連絡をとれ」って言われました。

それで僕は輪島会長の事を尊敬しているので、会長が言ったことは100%絶対なので、いろんな情報を辿ってお母さんに手紙を書いたんですよ。

今はボクシングをやっていて、次は何月何日に試合がありますって。それで手紙を読んだ実の母が試合を実際に見に来てくれました。そこで物心ついてから初めて母と再会したというエピソードがあります。

ーー今も交流はあるんですか?

今もあります。タイトルマッチで勝ってからもベルトを持って家にいきましたし、毎試合応援にも来てくれます。

勅使河原のWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座の初防衛戦「vs. ジェイソン・カノイ」は2月8日(木)の『ダイヤモンドグローブ』にて行われる。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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スラッカー
2018/02/04 01:10

応援してます

Ijy2ku20
土屋修平
2018/02/05 21:54

人間の魅力は圧倒的な経験値から生まれる。

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