Queel
×
サイト内を検索する
  • キックボクシング
  • コラム

KNOCK OUT 1年目の振り返りと2018年の展望とは?キックスロード代表、花澤勇佑に聞く。

2018/02/05 19:03

「キックボクシングの上位概念」をテーマに2016年に旗揚げされたKNOCK OUT。

トレーディングカードゲームの大手であり、新日本プロレスを再興に導いたブシロードと、小野寺力が主宰していた「NO KICK NO LIFE」が手を組み、新たな運営母体である株式会社キックスロードが運営する。

梅野源治、那須川天心を二枚看板に、2016年12月にTDCホールで初回大会を開催すると、そこから1年が経過した2017年12月には両国国技館で大型興行を行い、大会場のチケットがソールドアウトとなる盛況ぶりで、KNOCK OUTの1年の飛躍を象徴する締めくくりとなった。

また格闘技興行は従前より、出場する選手自らがチケットを販売する「手売り」が伝統的に行われているが、KNOCK OUTは旗揚げ時よりこれを行わないことを一つの方針に据えている。さらに12月の両国大会には、レギュラー選手で最も知名度の高い那須川天心が参戦しておらず、世間に広く名前が知られた選手は出場していない。

こうした背景があるにも関わらず、2016年12月に始動したばかりのKNOCK OUTが僅か1年にして両国国技館を満員にしたことは、これまでの常識を覆す出来事だと言っても良い。

決して知名度の高いスター選手を多く抱えるわけではないKNOKC OUTがいかにして飛躍を遂げてきたのか、運営会社キックスロード代表の花澤勇佑へインタビューを申し込み、KNOCK OUTの1年の歩みを振り返ってもらった。

手探りで始まった初回興行

KNOCK OUTの初回興行は2016年12月5日にTOKYO DOME CITYホール(TDCホール)で開催され、満員御礼のスタートになったが、全て手探りで始まったという。当初は梅野源治と那須川天心による二枚看板でスタートしたが、当時は知名度もさほど高くはなく、また平日開催ということで完売になるとは思っていなかったようだ。

「後楽園ホールは取れなくて、たまたまTDCホールが空いていたので、会場もキレイだし旗揚げとしてはインパクトがあるのではないかと。ただ平日で手売りをしないと宣言していたので、満員になるとは思っていませんでした。」

「最初はチケットの販売方法も知らなかったんですけど、まずは『チケットぴあ』さんにガバッと預けて。初物だからというのもあって、1日30枚~40枚といった具合で細々と売れていったんです。」

旗揚げ戦といえば、那須川天心がムエタイ現役王者のワンチャローンを1RKOで破った試合が象徴的だ。このKO勝利によって那須川がキックボクシングという競技の枠を超えてスターダムへと駆け上がり始めることになる。

また日本人選手による躍進と団体の名の通りのKOが連発したことで、初回大会は全6試合のうち5KO。さらに強豪タイ人選手との対戦が4試合あったが、全て日本人選手が勝利するなど、内容面でも上々の船出となった。

そして第2回大会では、那須川が年末にRIZINで2連戦を行ったことに加えて、元ボクシング世界王者のアムナット戦という飛び道具カードによって世間からの関心を得ることに成功する。アムナット・ルエンロンはボクシングで井岡一翔を唯一破った実績があることも大きかったという。

「那須川選手がRIZINさんで活躍したことと、アムナットと対戦するということで一般媒体にも掲載されましたね。『天心vsアムナット』というインパクトが強かったんです。」

初回のTDCホールに続いて、より多くの収容人数を誇る大田区総合体育館を、フル開放ではないとはいえ満員にすることに成功。手探りで始まったKNOCK OUTはトントン拍子で中規模会場を満員にするほどの盛況ぶりとなった。

ワンマッチ興行からストーリーのあるイベントに

満員御礼の大会が続いているKNOCK OUTだが、2017年4月の『KNOCK OUT Vol.2』では大田区総合体育館の客入りは6割程度と空席が目立つことになった。

「『森井vs宮越』というのは大田区総合体育館のメインにするにはチャレンジのカードでしたが、動員は厳しかったですね。(チケットは)2000枚程度といったところだと思います。」

動員で苦しんだ理由について、那須川が出場していなかったためと思われることが多いが、それは要因の一つに過ぎなかったという。

「何が違うのかなと思って分析したことがあるんですよ。一つに2月の『Vol.1』でお客さんの満足度が低かったこと、もう一つに那須川選手がいなかったこと、それと何よりもKNOCK OUTはストーリーがなかったんです。全体がワンマッチ興行になっていて、『2月の後に何があるんだろう』という流れを作れなかった。それが観客動員数に現れたんだと思います。」

一方で4月からライト級トーナメントが新たに始動したことで、ワンマッチ興行だったKNOCK OUTに新たにストーリーが展開され、これが年末の両国大会のメインイベントまで続くことになる。

「会場のキャパシティに見合っていない興行ではありましたが、『森井vs宮越』の試合はその後に何度もVを使うほどの熱戦で、確実にこの試合から流れを生むことができました。」

KNOCK OUTは当初から「本物志向」というコンセプトを貫いて、実力主義のマッチメークが目立ったが、これも軌道修正することになった。

「野球から教わったのですが、観戦する人は試合内容よりも、応援する選手や球団があるから見に行くんです。会場に来る人はハイレベルな試合を見るというよりも、応援している選手がどうなるのかが気になって見に来るので、トーナメントでそのストーリーを作るようにしました。」

「"本物"という言葉を旗揚げの時に掲げましたが、本物の定義が変わりました。"強さこそが本物"という定義はアマチュア競技の言葉であって、イベントに関しては人気も実力もあり、人を惹きつけるものがある者がスターであり、本物だと考えるようになりました。」

6月大会(TDCホール)からライト級トーナメントが本格的にスタートすると、再びKNOCK OUTが活気を取り戻すようになる。とりわけ年間ベストバウトに選ばれたライト級トーナメント1回戦「不可思 vs. 勝次」、また2回戦の「勝次 vs. 前口太尊」での熱狂は凄まじいものがあり、勝次はこの2戦でKNOCK OUTの中心選手となった。

「勝次選手の試合はあんなことが起こるのかと、想像を超えていました。意味が分からなかったです。プロレスでもあそこまで客が総立ちになるのは見たことがないです。」

後楽園ホール大会から変化が起こる

10月4日に行われた後楽園ホール大会では、ライト級トーナメント準決勝「森井洋介 vs. 町田光」が行われたが、レギュラー選手の参戦が最も少ない大会となった。さらに平日開催という条件ながらチケット完売したが、それ以上に大きな変化が見られるようになったという。

「平日でギリギリ当日券も完売しましたし、後楽園大会は良かったなと思いましたね。」

「明確に変わったなということがあって、観客の皆さんが席を立たずに、大会通してずっと見てくれたんです。なんか新日本プロレスと似てきたなと思いました。後楽園ホールだから感じたのかもしれませんが、声が上がるようになってイベントらしくなってきたなと。思い描いていたビジョンが形になってきたのを感じました。」

またKNOCK OUTは「人間の集中力には限界がある」として、1大会あたり6~8試合とコンパクトな構成にしている。試合数が少なければ、選手目当てのチケット購入機会が減るということで、当初はそれを危惧する声もあったが、今となっては良いブランドとして定着し始めているという。

「興行側としては、お客さんにオープニングからメインまで見てもらいたい。目当ての選手というよりも、興行全体を楽しんで欲しいんです。」

チケットの手売りが象徴的なように、格闘技興行は依然として選手の知り合いが観戦に来ることが多いが、KNOCK OUTはそれを行わないことをコンセプトとしたことで、興行全体を楽しむ流れになっていることを実感する節目の大会となった。

飛び道具なしで両国国技館を満員に

そして12月に1年の総決算として、過去最大規模の両国国技館での開催を迎えることになるが、両国大会が決定するまでには一悶着あったという。

「KNOCK OUTを1年間やってきて一つの案としてはTDCホールがありました。でもTDCは元々が舞台用なので格闘技をやる場所としては不向きで、旗揚げ戦ほどのインパクトにはならない。それで色んなルートを辿って両国国技館を抑えることができたんです。ただ出場選手も決定していないのに、両国で開催するなんて無茶だという話も上がりました。」

両国大会を決定した際には、絶対的エースである那須川の出場が未定であり、また後にスケジュールの都合から出場の見送りが決定する。4月大会で動員で苦しんだ過去があるだけに、両国大会のメインに登場した森井自身も「このカードで両国国技館は大丈夫なのか」と心配していたほどだ。(※森井インタビュー記事より)

そんな中でも両国国技館が満員御礼となったが、それまでにはどんなことがあったのか尋ねてみた。

「発表した直後からチケットは結構動きました。『箱』という期待感もあって、会場に引っ張られるというのは小さなコンテンツだとよくあることなんです。それと元から『会場に比例する』とは言われていて、『両国でやる』という期待感で来た方も多いとは思いますし、ずっと追いかけていた人も含めて届いたのではないかと。」

しかし箱という期待感だけで、飛び道具なしのカードでこれほど動員力を確保するというのは、従来の格闘技の流れを見るほど驚きだ。それでもプロモーション活動において特別なことは何もしていないという。

「本当にプロモーションで特別なことはやっていないんですよ。確かに広告費を少し突っ込みましたが、山手線広告とYouTube広告くらいでそれほど大きな金額にはなっていません。あとはその場しのぎではなく、毎日話題を切らさないようにプロモーション活動をしたというくらいです。」

「なぜここまで売れたのかは小野寺プロデューサーとも考えたけど分からなかった。普通に考えて2000枚から、会場に引っ張られても3000枚くらいのカードでした。とにかく丁寧にずっとプロモーションを続けたとしか言えないですね。」

当初は客入りが心配されることが多かった両国大会だが、前売り券はほぼ完売状態となり、当日券も発売から間もなくして完売に。大会当日には格闘技興行では珍しくダフ屋が出るほどの客入りとなった。

ちなみに両国大会の動員数は5100人札止めとなっており、両国のキャパシティからすると少なく感じるが、これは意図的に満員にするために座席数を減らしたわけではなかったという。

「両国で1万人を収容する場合は全面開放して、枡席(ますせき)に4人座る状態となります。ただ今回は、枡席4人では狭いのでまず枡席を2人にしました。 それで今回は前日に(声優ユニットの)ミルキィホームズのステージがあったので、1面を潰して。ビジョンでの見切れもあるので、席数として売れるのが5000人を越えるくらいだったんです。」

「直前になって問い合わせが多かったので、当日券の流れを見ているともう少し動員できていたと思います。」

KNOCK OUT 2年目の展望

そして最後に2年目となる2018年の展望について尋ねてみた。

「まずは興行面では、一つの目標として大田区総合体育館をフルバージョンで超満員にしたいと思っています。これまではフルバージョンではなかったのですが、フルに開放すると4000人以上の収容人数となります。さらにそれを当日券ではなく前売り券の段階で満員にしたいです。あとは会場が取れるかどうかという問題もありますが、また両国のような大会場でのイベントも行いたいですね。」

なお2018年第1弾興行の『KNOCK OUT FIRST IMPACT』では初めて大田区総合体育館のフルバージョンとなるが、この興行で満員となるかが一つの試金石となるかもしれない。また関西方面などの地方大会の開催も検討しているという。

映像配信は、これまで生中継は『スポナビライブ』、『FIGHTING TV サムライ』、大会終了後にYouTubeに無料配信を行ってきたが、2018年からは配信先をより広げることになるという。

「生配信については色んな話を頂いていて、新しい媒体で配信することになると思います。あとはようやく中国での動画チャンネル開設も終わったので、そこで出し始めるという流れもあります。」

昨年にはライト級トーナメントが行われたが、2018年はまずスーパーライト級トーナメントが始動することになる。

手探り状態で始まったKNOCK OUTは、わずか1年にして両国国技館を満員にするほどの盛況となった。2018年はさらなる飛躍が期待されるが、どのようなストーリーが待ち受けているのか。

2月12日(月・祝)に行われる『KNOCK OUT FIRST IMPACT』から2年目のKNOCK OUTが始動するとともに、不可思、健太らが出場するスーパーライト級トーナメントが開幕する。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
クイールをフォローして
最新情報をチェック!
最新の格闘技ニュースをお届けします