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健太インタビュー。勝利至上主義で不可思を倒し、自分の勝利に酔うナルシズム発揮なるか。

2018/02/09 19:45

KNOCK OUTが2年目を迎える2018年の第1弾興行『KNOCK OUT FIRST IMPACT』が大田区総合体育館にて2月12日(月・祝)に開催される。

2017年はライト級トーナメントがKNOCK OUTの軸として盛り上がりを見せたが、今年は新たにスーパーライト級トーナメントが2月大会から開幕し、8月に決勝を迎えることになる。

そして開幕大会から「不可思 vs. 健太」という事実上の決勝戦が実現。同トーナメントの顔ともいえる不可思に対し、健太は主戦場とするウェルター級から一つ階級を落としてトーナメントに臨むことになる。健太にとってスーパーライト級での試合は何と高校生以来、13年ぶりとのことだ。

また階級以上に健太が異質なのは、激闘派が集うトーナメントの中で「勝利至上主義」を貫き、打ち合いを好まずテクニックを駆使してじっくりと相手を攻略して勝利を最優先するスタイルであることだ。激しい打ち合いが続くKNOCK OUTというリングにおいて、対照的な信条を貫く健太はなぜ階級を落としてまで参戦したのか、その真意に迫ってみた。

人を挫折させるプロフェッショナル

ーー健太選手は去年も試合数が多かったですね。

10試合ですね。

ーーその中でも中国で最強と称されるヤン・ジョーと対戦して、判定負けでしたが実際の内容は勝っていたとも言われるほどの試合がありました。

いや、何回試合を見ても引き分けですね。中国はアグレッシブさと言いますか、パンチで勢いよく攻めるのがポイントになるそうなんですよ。でも僕はコツコツだったので。

でも全く負けたとは思わなかったですね。

ーーヤン・ジョー戦は世界のトップ選手が集まったトーナメントの1回戦でしたが、ヤン・ジョーはそのまま優勝しました。世界のトップ選手と対戦した印象は?

ヤン・ジョーが優勝するとは思わなかったですね。あのルールがちょうど合っていたのかもしれないですけど。

あとヤン・ジョーの実績も知らなかったので、僕も当初は1回戦で当ってラッキーと思ってたくらいでしたし。

ーー中国のビッグイベントはどうでしたか?

世界のトップ選手が集まって会場も大きかったですし、そういう意味では自分が満たされる空間でしたね。格闘家としての扱いと言うか。

ーー数年前の中国のイベントはトップ選手でも路上でウォーミングアップをさせられることもあったと聞きますが、最近は違うんですね。

もう中国のイベントはビジネス的にも日本を凌駕している部分もありました。会場に設置されたスクリーンの数も凄かったですし、演出もかつて日本の地上波で放送されていた格闘技イベントと遜色がない感じでした。

ただ会場はスタンドがないフラットなところで、観客数としてはそれほど入らないところでした。ビジネスモデルが観客動員ではなくテレビやネットなど映像配信になってますよね。

自分が出場した大会もアプリでPPV販売されていましたし。

ーークンルンファイトは今年から世界向けのPPV販売が始まりますよね。話は今回の試合に移りますが、健太選手は今回64kg級のトーナメント参戦になりました。かつては66kg以下には落とさないというコメントもありましたが。

多くの選手の減量の意味は自分のベストパフォーマンスをするための減量なんですよ。より試合を有利にするために自分のパフォーマンスがいい体重であったり、身体のサイズを活かせる体重に落とす。それが僕の場合は66kg~67kgだったんですよ。

ですが減量にはもうひとつのパターンがあります。それは「あしたのジョー」の力石徹型と僕は呼んでいる、戦いたい相手がいるから体重を落とすというパターン。力石徹は矢吹ジョーと戦いたいから過酷な減量をして、それは自分がベストパフォーマンスをするためではない。今回の僕はまさしく力石徹型です。

自分が戦っているウェルター級では昨年こそクンルンファイトの世界トーナメントがありましたけど、今年はそういう話もないなと思っていたところにKNOCK OUTのスーパーライト級トーナメントがあったので、そこで力石徹になろうと。

ーーでも力石徹は死んでしまうじゃないですか。

そうですね…まあ、これが57kg契約とかならそれも考えますけど、64kgなら頑張れば落とせるので(笑)。

ーー66kgがベストパフォーマンスということですが、それが64kgではどう変化するのでしょうか?

それはやってみないとわからないです。スーパーライト級では高校生の頃に2試合やって以来なので、13年ぶりくらいですし。

ーー体つきも変わっているでしょうし未知の戦いですよね。

そうですね。出場を決める前は体重が落ちるのかとか不安でしたけど、決まってしまえば全く問題ないですね。

ーー力石徹という名前が出ましたが、このトーナメントには矢吹ジョーがいるのでしょうか?

特にはいないんですよ。ただ初めての相手と戦っていくのは楽しみです。減量は力石徹型ですけど、スーパーライト級に矢吹ジョーはいねえって感じです。それよりもKNOCK OUTのスーパーライト級という舞台ですね。

ーーKNOCK OUTという舞台ということですが、これまでのKNOCK OUTには打ち合い至上主義という見方もありましたよね。

そうでしたっけ?

ーー健太選手はかつて打ち合い至上主義的な昨今の流れに苦言を呈されたこともありましたが。

あれはただキックボクシング全体の話で、それが自分には破滅的に見えたというだけですよ。それだけが求められるのは違うという自分の一つの意見として。

ーーしかし事実としてKNOCK OUTはこれまで激しい打ち合いの試合が多く、その打ち合いが好評というのはありますよね。テクニカルに戦う健太選手のスタイルとは対極になるのかなというイメージもありますが。

僕の格闘家としてのポリシーは勝利至上主義なんですよ。格闘技とは生きながらえるためだと思っているので。

だからそこはエンターテイメントとしての格闘技との両立は難しい。でも戦場であれば生き残るために相手をやる、自分が生き残るためにジャンケンポンではなくしっかりと生き残る世界がある。

僕は職業格闘家なので、お金を積んでもらえるのなら打ち合います。僕から言わせるとそれは簡単なんです。僕たちはもっと凄いことを見せられるはず。

今のキックボクシングは打ち合うことが凄いと言われていますが、勝つことのほうがよっぽど難しいし価値がある。

ーーその中で今回のスーパーライト級トーナメントは激闘派と称される選手が揃いました。その中で健太選手は少し毛色が違い、外敵とも言えるポジションとも言えるのかもしれません。

それは小野寺プロデューサーに聞いてもらっていいですか?(笑)

まあ、一試合目から「ワー!!」って盛り上がる試合だったらお客さんも疲れてしまうと思うので、こういう試合の仕方もあるのかと一種のスパイスとして見てもらえれば。

ーー昨年のライト級トーナメントは壮絶な試合が連続して盛り上がり、今回のスーパーライト級でもその流れが期待されているように感じますが、ここにアンチテーゼは持っていますか?

そこに関しては完全に漁夫の利作戦です。みんなが激しい試合をして壊れていく。その中で自分がサッとタイトルまでたどり着くのもいいですね。

1回戦の不可思選手も去年はいっぱいダメージを貰ってますし、そろそろ危ないんじゃないでしょうか。僕は去年10試合しましたがダウンもなくダメージも少ないですし。

(対戦相手の不可思はKO率が高い一方で、相手の思わぬ一発を貰う危うさも秘めている)

ーースタイルとしてはダメージ的にもアドバンテージがあると。

そうですね。ライバル達には命を削って盛り上げて貰います。そして「よくぞ餅をついてくれた。俺はその餅を食う」ってコメントを記者会見で仕込んでいたんですけど、空気的に小野寺プロデューサーの前だったんで言えなかったですね(笑)。みんな「俺が爆発させる」って言ってましたし。

ーーやはり外敵っぽくないですか(笑)。その中で1回戦は優勝候補対決となる不可思選手に決まりました。

もしかしたら事実上の決勝戦と言えるのかもしれません。

ーーここで当たるのもったいない無い感じがしますよね。

でも美味しいですよ。不可思選手が顔だと思っているので。

ーー顔は健太選手じゃないんですね。

イベント的にそうじゃないですか(笑)。でもその選手を叩けるんだったらありがたいです。

ーーライト級トーナメント1回戦の「森井vs宮越」の構図に近い印象も受けます。

まあ、不可思選手が森井選手なのか宮越君なのかはわからないですけど。

ーー会見ではどちらの試合の方が面白いかという掛け合いが不可思選手とありました。

不可思選手の試合を見返したことがないんですよ。学ぶべきところがないと言いますか。

でも「試合の面白さを決めるのは最終的にはファンだ」って不可思選手が言っていましたけど、それが仰る通りなんですよ。

最大多数の最大幸福じゃないですけど、大多数のためのものがイベントとしては大事にされると思う。でも民主主義はマイノリティも尊重される社会なんですよ。

会場の8割の人は打ち合いを見に来ている。それはいいと思うんですよ。ただコアな2割の人は玄人受けする試合も見たい。みんな満たされるものが必要だと思うんですよ。

僕は「健太!そこでそうディフェンスするか!」って楽しみ方をしてもらえるような良いスパイスになるんじゃないですか?自分は逆の提案をしたい。

ーー健太選手はそういう視点で今回の試合を考えていたんですね。

でもわからないですよ。僕が序盤から打ち合いで勝っちゃうかもしれないですよ(笑)。

ーー第三者からの視点ではなく、ナルシスト健太選手として自分の試合は好きですか?

好きですよ。自分の試合ばっかり見ています。

こうすれば良かった、ああすれば良かったとかいう勉強が一番ですけど。

ーーそこは自分に酔うとかではないんですね。

酔うこともありますよ。ただ逆のほうが多いです。でもいいんですよ。僕は現状に満足しているナルシストとは違うんですよ。好きな自分になるために努力して自分に酔う。

それが自分のナルシス…ん、なんだっけ。ナルシススピリットなんですよ。僕が提唱している。

ーー健太選手のスタイルは昔から変わっていないんですか?

そうですね。お客さんに魅せることを一番にしたことはないです。それだけだと負ける可能性の高い未熟なスタイルとも言えるんですよね。

僕はデビューの頃から勝ちたいというのが一番でスタイルも考え方も変わってません。強さを求めてきたので。

ーー話が変わりますが、今回の会見はいつもの短パンではありませんでしたし、ちょっと大人しかったですよね。

短パンを履いていこうと思ったんですけど会見があったのは1月ですよ?僕はあの格好をするときはだいたい風邪を引いてるんです。

30になって身体をいたわるのが正直…

(健太と言えば会見で極端に短いパンツを履いているのがおなじみだったが…)

ーー体重を落として64kgに参戦してくるので、そこは決意の現れかなとも思ったんですが…

そこは色とともに丸くなってしまったのかもしれないですね。

ーー試合数も70戦を超えてきましたし、落ち着きが出てきたのかもしれません。

75戦か76戦くらいだったかな。ちょっと覚えてないです。

ーータイ人みたいですね(笑)。ちなみに最高に自分に酔えた試合というのはいつだったんですか?

佐藤嘉洋さんとの試合ですね。あれはもうその場で号泣しちゃうくらいでした。

僕はキックボクシング以外で嬉し泣きなんてしたことがないんですよ。だから辞められないんですよね。

ーーKNOCK OUTのトーナメントで優勝できてばそれを超える酔い方はできるのでしょうか?

どうなんでしょうね。俺は酔えるのか。酔えんのか?

ーー何か大晦日風ですね(笑)。このトーナメントは健太選手にとって、どんな価値があるものとして捉えているんですか?

キックボクシング日本一。それだけは言えますよね。

ただ昔との違いは、自分の立ち位置で、僕はウェルター級で日本トップとして試合をしてきた自信があるので、僕がスーパーライト級で優勝しても皆さんは驚きますか?

ーー優勝候補なのは間違いないですね。

それもあって僕は酔えるのかっていうのもテーマですよね。KNOCK OUTという注目が集まる舞台は僕の承認要求を満たしてくれると思うので、そこで優勝した僕はどうなっているのか。

その答えは優勝した後にお答えします。

ーー最近の試合では酔えていないんですか?

そうかもしれないですね。クンルンファイトのトーナメントはそこを満たしてくれるかもしれなかったトーナメントだったんですが、1回戦で負けてしまいましたし。

でも内容的には負けたとも思えない試合で、結果的にはその相手選手が優勝したので世界も変わらないなとは感じました。

ーー話は変わりますが、今日も健太選手は白いですね。もう褐色の肌には戻らないんですか?

もうないですね。

ーーキックキャリアのほぼすべてを褐色で過ごされてきたと思うんですが。

そうですね。高校三年生からずっと褐色だったので11年間。

ーーなぜ褐色を捨てたんですか?

肌が黒くてはいけないということで日焼けサロンをやめたんですが、最初は肌を焼きたいという禁断症状が出ていました。でもそれを乗り越えたときに、日焼けサロンに行かなくていいのは楽だなっていうのに気づいたんですよ。

これまでは練習して疲れたところから1時間半かけて肌を焼いていたので。紫外線を浴びて目も覚めてしまいますし、深い眠りにも付けなかったというのもありました。

それが無くなると凄く楽でコンディションも楽になっていったんですよ。特に試合前には最後の10日間で8回くらい通っていたので、そこから開放されるとめちゃくちゃ楽で、調子も良くなっちゃって(笑)。

ーーナルシストとしての美意識の問題としては問題ないんでしょうか?

全然OKです。僕は見た目のナルシストではなくて、勝って「どうだ!凄いだろ俺?カッコイイじゃん」ということに一番酔えるタイプのナルシストなので、試合に勝つことが一番です。

逆に今までは苦しい状況に自分を追い込んでしまっていた状態だったんです。

今まで黒いベールに包まれていた、僕の真の実力が開放されようとしているのが今なんですよ!

ーーそれがスーパーライト級トーナメントになると。

黒いベールに包まれていた健太が真の姿を見せる。ダーン、ダーン、ダッダーンって感じですよ。(※映画「2001年宇宙の旅」のテーマ)

ーーどこかで聞いたような…

ボブ・サップの入場みたいな感じで。パーンって生まれ変わった健太が登場します。

白サップ健太です。

ーー話は戻りますが、今回のトーナメントで山場は一回戦ですか?

山場はやってみないとわからないですね。「山の高さは登ってみないとわからない」とバガボンドに書いていました。

ーー武蔵が高い山の頂上に登るも、そこから見渡せばもっと高い山がいくつもあったシーンですね。

そうです。僕はまだ登ろうとしている段階なので。不可思を超えたらもっと高い山がそびえ立っているかもしれない!逆に不可思を超えたら周りを見下ろせるかもしれない!!

はい、そんな感じです。そこは8月の決勝が終わってからです。

ーー高い山には登れそうですか?

果たして高いのかな!?(笑)

ーー最後に不可思戦に向けてのメッセージを貰えますか?

ああいうギラギラしたプライドの高そうな人が挫折する瞬間というのは世の中の人みんなが見たがっていると思っているので、今回は僕がその仕事をキッチリします。

それでNHKのプロフェッショナルに出たいですね。「人を挫折させるプロフェッショナルがいる」みたいな感じで。

ーーそれでは一回戦は不可思選手を挫折させて…

そうですね。挫折させて満たされる。すっげえ嫌な奴ですけどね(笑)。

自己陶酔のプロフェッショナルシストじゃなくてジェラシスト。ジェラシーを抱く人、「プロフェッショナルジェラシスト」みたいな新しい言葉です。

ーー長い上に語呂が悪い!やっぱり今回はヒールじゃないですか。

でも不可思選手もヒーローではないですし、むしろヒールじゃないですか。少なくとも大多数の人が「ワー」って応援するタイプではないと思う。ギラギラしてオラオラして。

なので僕はむしろみんなの思いを引き受けるヒーロー、仕事人。そこを皆さん期待してください。

健太プロフィール

1987年6月26日生まれ、30才。

高校生の時よりキックボクシングを始め、17歳でNJKFにてプロデビュー。20才でNJKFウェルター級王座を、22才でスーパーウェルター級王座を獲得して2階級制覇を達成。

2011年にはKrushの初代-70kg王者となったほか、K-1 WORLD MAXやKrushで佐藤嘉洋や城戸康裕にも勝利。

その後はウェルター級の肘ありルールを主戦場とし、国内ウェルター級のトップレベルの座を守り続けており、今回は高校生以来ぶりというスーパーライト級に階級を落としてトーナメント優勝を狙う。

KNOCK OUT参戦当初は、こんがりと焼けた肉体と勝利後に筋肉アピールをすることから「褐色のナルシスト」と呼ばれていたが、永久脱毛を機に日焼けサロンを卒業したことで、色白の肌と飽くなき勝利への拘りから「プロフェッショナルシスト」と呼ばれるようになる。

上の画像は健太が現在売り出し中のポーズで、桐谷美玲の真似らしく、いつの日か桐谷美玲に「私の真似をしてる格闘家がいる」と気づいてもらうことが目標とのこと。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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黒猫
2018/02/10 10:58

4回笑いましたw
クイールさんのインタビューは相手を引きだせてて面白いですね^^

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