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「19才・職業キックボクサー」老沼隆斗が、REBELS王者決定リーグ戦に登場。次代のREBELSエースが王座獲得に挑む。

2018/02/14 19:25

クイール最後の特集企画として、2月18日(日)に後楽園ホールにて開催される『REBELS.54』出場選手のインタビュー・コラムを投稿する。

『REBELS.54』では梅野源治がキャリアの集大成として臨む、ルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦がメインイベントに行われるが、もう一つの新たな軸として、スーパーフライ級王者を決定するリーグ戦が開幕する。

4人制の総当りリーグ戦では、3戦を行い最も勝ち星の多い選手がREBELESスーパーフライ級王者となる。キックボクシングファンの中でも知名度の高い選手は出場していないが、将来有望な若手選手のみで構成されており、次代のREBELS軽量級を担う王者の誕生が期待されている。

中でも優勝候補筆頭と目されているのが、19才の老沼 隆斗(おいぬま りゅうと)だ。J-NETWORKの新人王に輝くなど既に頭角を現しつつある老沼は、高校卒業後にプロ格闘家として生きていくべく、あえて大学進学を選ばずに、仕事と格闘技を両立させる道を選んでいる。

また老沼は現在では多くの若手ファイターがK-1ルールでの戦いを選択する中、ムエタイ志向を貫き、将来はタイでベルトを獲得することを目標に掲げているという点でも特異だ。今回はインタビューを通じて判明した老沼のパーソナリティを中心に紹介したい。

ドラゴに憧れてキックボクシングを始める

ところで老沼がキックボクシングを始めるキッカケになったのは、K-1 WORLD MAXで活躍したガゴ・ドラゴだったという珍しいエピソードがある。

格闘技好きの両親の影響で、幼少期から空手を始めたという老沼は、父親と二人三脚でミットやランニングを自然と取り組む環境にあったという。そこからキックボクシングに転向する転機となったのは、テレビで見たK-1 MAXだった。

「(キックボクシングを初めた理由は)やっぱりK-1をテレビで見ていたのが大きいですね。幼稚園から小学生の頃だったと思うんですけど。最初にドラゴが出てきた時は衝撃でしたね。入場スタイルとか試合での戦い方を見て自分もやりたいなと思いました。」

K-1 MAXといえば魔裟斗が絶対的なエースとして君臨し、老若男女を問わず人気を博していたため、魔裟斗に憧れてキックボクサーになったという選手は非常に多い。あるいは魔裟斗のライバルとしては佐藤嘉洋、ブアカーオ、クラウスらがいたが、その中でドラゴに憧れてキックボクシングを始めたというのはもしかしたら日本で唯一の事例かもしれない。

(クレジット: By Paulblank (Own work) [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons

当時はテレビで月1ほどの頻度で放送していたK-1だが、やがて日本格闘技の人気低下に伴い、開催数やテレビ中継の頻度が落ちてくる。それを老沼は当時子供ながらにして感じていたという。

「最後のK-1 MAXが70kgのトーナメントだったと思うんですが、ほとんどテレビでやらずに、勢いがなくなって来ちゃったんだなと子供ながらに感じましたね。昔はテレビでやっていたのにという悲しさはありましたね。目指す所がなくなってしまうと…その頃から将来はK-1に出るぞと思っていたので。」

肘ありのムエタイ志向へ

ここまでの経緯を聞くと肘無しルールのK-1を目指すのが自然な流れに感じるが、老沼がキャリアの目標とするのは肘ありルール、さらにいえば国内のキック団体ではなく、本場タイでムエタイのトップ選手になることだ。

「僕が最終的に目指すのは、ムエタイ系の試合を続けていって、タイのタイトルを獲得することですね。国内の大舞台に出たいというのも当然目標ではあるんですけど、最終的な目標はタイでムエタイ最高峰のベルトを巻くことです。」

「それには転機があったんです。というのもYoutubeで試合を見るようになって、K-1ルールでもタイの選手が勝つ試合が多いじゃないですか。

昔はムエタイが一番と言っている選手に、ホントなのかなと思っていた時期もあったんですが、タイの本場の試合を見ているとムエタイが立ち技最高峰のリングだと言われる理由が分かりました。それで肘ありのキックボクシングに行きたいと思ったのがキッカケだったんです。」

ムエタイに魅了された老沼は、肘ありルールでのキャリアアップを図るべく、鈴木秀明が会長を務めるストラッグルへと移籍する。鈴木秀明といえば全日本キックやNJKFで活躍し、打倒ムエタイの急先鋒だったが、老沼は鈴木に師事すべくストラッグルを所属先に選んだという。

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(ストラッグルの会長を務める鈴木秀明)

「実はデビューから3戦は空手道場に所属していたんですが、ヒジ有りルールでやるためにジムを移籍したんです。やっぱりヒジ有りでトップを目指そうと思ったら空手の道場からでは厳しいという思いがありました。それに今の(鈴木秀明)会長は現役時代にタイのトップ選手と戦ってきた一流の選手だったので、自分はこの人に教えて欲しいなと。」

「ムエタイ系のジムって少なくはないじゃないですか。でも会長のスタイルはタイ人選手を崩すセオリーを持っているので、その技術とテクニックを教わりたいなと。自分は尊敬できる人に教えてもらいたいと思っていました。」

あえて大学進学を選ばず、仕事と格闘技を両立させる

高校在学中にプロのキックボクサーとしてデビューした老沼だが、昨年に高校卒業を迎えている。そのまま大学に進学してキックボクサーとして活動するのが自然な進路ではあるが、あえてアルバイトという道を選択。

車とバイクが好きだったということで、現在は車のディーラー補助のアルバイトを行っている。朝早くに起きて走り、昼にアルバイト、夜にジムで練習というサイクルで生活しており、週6日で練習、休養日も仕事という忙しい毎日を送っている。19歳という青春真っ只中でこの生活は辛くないかと尋ねたところ…

「結構(笑)。仕事で朝は6時半くらいに起きないといけないんですけど、夜の練習は終わる時間が23時半くらいになることが多いので。大抵のプロ選手は昼間に仕事をして夜に集まって練習をするという感じになっています。だからあまり寝る時間も(取れないです)。」

「高校生の頃は学校と練習で働ける時間がなくて、日払いで引っ越しバイトくらいしかしていなかったので、固定で働くのは初めての経験でした。」

「働くのって大変ですね。でもちょっとだけ大人になったかなと思います(笑)。今は少し慣れてきたかなという感じです。でもほとんどのプロ選手は仕事と両立してやっているので、自分も頑張らなきゃなとは思います。」

朝早くに走り、練習終わりは深夜という多忙を極める日々を送っているが、大学進学ならばもっと時間に余裕があったはず。それでもあえて仕事を選んだ理由について尋ねてみた。

「最初は大学に通いながらキックボクシングをしようと考えていたのですが、本気でキックボクシングに打ち込みたいのだったら行かないほうがいいかなと。大学に行くと誘惑とかも多いじゃないですか。そういうのを断りきれる性格だったら大丈夫なんですけど、流されてしまう自分もいるかなって。」

「(ーどんな誘惑がある?)友達と遊び呆けそうな事とかですかね(笑)。高校生の頃は練習メインでありながら、周りに誘われると遊ぶことも多かったのですが、大学だとその機会が多くなりそうじゃないですか。人間の輪も広がるし、それだとちょっと危ないかなって。」

試合に出るのが生きがい

朝6時半に起きて、練習終わりが23時半。これを自分が大学生の時にできたかと言われれば間違いなくできないと断言できるが、老沼はなぜ自分に厳しい環境を課してまでキックボクシングに打ち込むことを決めたのか。

「リング上にはやっぱり惹かれるものがあるんですよね。興行を見に行って、梅野選手とかの試合を観戦すると、トップレベルのタイ人選手にもテクニックで圧倒したりとか本当に凄いなと思うんですよ。それを見て、自分も人に憧れられるようなチャンピオンになりたいなという気持ちがずっとあったからですかね。」

(REBELSのエースとして活躍する梅野は、同大会のメインイベントでルンピニー王座決定戦に臨む)

「試合に出るのが生きがいですね。本当に楽しいなって。(ーどの部分で一番感じる?)入場の時ですかね。友達の応援も多いですし、そういうのはやる気になりますし嬉しいですね。普通に生活していたら、こういう体験って味わえないじゃないですか。それにどっぷりハマっている感じです。」

「試合をする前に『怖くない』と言うとウソになってしまうんですが、リングに上がると楽しくなっちゃいますね。試合で気持ちが入ると怖くないですし、打ち合いは面白いです。自分はムエタイスタイルなので割りと距離をとって戦うスタイルだと思われがちですが、意外に打ち合いでも自信はあります。」

REBELSタイトルを獲得して、真のスタートへ

老沼の現在のプロ戦績は、8戦6勝(4KO)2敗。パーフェクトレコードではないが、昨年にはJ-NETWORKのスーパーライト級新人王に輝き、今回のREBELSスーパーフライ級王座決定リーグ戦では優勝候補筆頭に挙げられている。

それでも老沼にとってはまだ道半ばどころか、タイトルを獲得してからがスタートだという。

「試合会場では少しは声をかけて頂けるようになりましたけど、まだまだですね。自分が目指しているのはもっと先なので。」

「今の知名度だとファイトマネーもそれほど高くはないですし、今は下積みなので仕事も試合も頑張らないといけないと思っています。チャンピオンベルトを取ってからがスタートだと思っているので、そこまでは下積みです。」

老沼は王座決定リーグ緒戦で、かつてサッカーで長野県選抜に選ばれたことがあり、ナジーム・ハメドに憧れるハードパンチャーの蓮沼拓矢と対戦する。

果たして優勝候補との前評判通り、しっかりと勝利して初のタイトル戴冠へ幸先良いスタートを切ることができるのか。次代のREBELSを担う老沼の王座獲得への道が始まる。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

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Toshitaka Kato
2018/02/14 22:04

正道空手の基礎がしっかりしていて、移籍前から非常に殺傷力が高い攻撃の持ち主です。
ただでさえ強力な空手のベースにムエタイの技術を融合させ、どんどん強くなっていくのが楽しみな選手です。

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