2017年07月12日作成

マイク・ザンビディスの足跡を紹介。実はギリシャの英雄で、ボクシング世界挑戦者にもパンチで打ち勝ったことも。

RIZINでギャビ・ガルシアと対戦するオクサナ・ガグロエヴァの紹介にて「マイク・ザンビディスをスパーリングで失神させた」との文言が!こんな機会でもないとマイク・ザンビディスについて紹介する機会もないのではということで、ザンビディスの足跡を改めて紹介することにしました。

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「マイク・ザンビディスを失神させた」との触れ込みが!

7月30日に開催される「バンタム級トーナメント 1st ROUND -夏の陣-」にてギャビ・ガルシアと対戦するオクサナ・ガグロエヴァ。

MMAデビュー戦ということで全くの無名選手ですが、この選手の参戦時の触れ込みとして「マイク・ザンビディスをスパーリングで失神KOさせたことがある」というものでした。

ひょんなところから名前が上がることになったマイク・ザンビディスですが、個人的にはこの「スパーリングで失神KOされた」という部分にとんでもない衝撃を受けました。

なぜならザンビディスはかつてダニエル・ドーソンというボクシングで世界挑戦したことのある選手からパンチで攻め立てて判定勝利を収めたこともあるなど、ボクシング技術はキックボクサーとしては世界でも頭一つ抜きん出た選手だからです。

こんな機会でもないとマイク・ザンビディスの名前があがることもないので、せっかくなのでマイク・ザンビディスの足跡について改めて振り返ることにしましょう。

ギリシャでは英雄的な存在

(出典: https://www.facebook.com/ironmikezambidis/?fref=ts)

多くの方はマイク・ザンビディスについて「良い選手だけど体格的なハンデがあるせいでベスト8止まり」というイメージを持っているかもしれません。

それは確かに正しいところもあるのですが、まずザンビディスについて意外と知られていないのはギリシャでは英雄的な扱いを受けている選手だということです。

具体的な指標としてザンビディスのFacebookページのいいね数やフォロワー数を見ると、86万3578いいね、83万7940フォローという膨大な数のいいねがついています。

参考までにジェロム・レ・バンナは約25万いいね、トルコで数万人を動員する人気を誇るグーカン・サキが約27万いいね、ルーマニアのモハメド・アリとも言われるダニエル・ギタが約20万いいねとなっています。

あくまで「いいね数」は参考指標とはいえ、ギリシャの人口は約1100万人と小国であることから、いかにギリシャ国民から高い人気を誇っているかがよく分かる指標として紹介しました。

K-1四大英雄の一角?

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ちなみにK-1選手は一般に思われているよりも、ずっと母国で英雄的な扱いを受けていることが多く、中でも英雄度の高い選手はクイール編集部内では勝手に「K-1四大英雄」としてブアカーオ、グーカン・サキ、ダニエル・ギタ、マイク・ザンビディスを認定しています。

実はこの中でもダントツに英雄なのはブアカーオで、母国タイでは「絶大な人気」というだけでは足りないほどの高い人気を誇っていて、現在はクンルンファイトに参戦していることから中国でも最も人気の高い選手の一人でもあります。

あくまで非公式の意見ですが、中国での人気としては「ブアカーオ > ヨードセングライ > シッティチャイ > ジョムトーン」なんだとか。

それはさておきザンビディスはキックボクサーとしては異例なほど英雄的な地位を築いた選手です。

シャヒッドとの試合はキックボクシング歴代最高試合の一つ

マイク・ザンビディスにとってキャリアのハイライトとも言える試合は2005年に山本KID徳郁をKOした試合や、2003年のK-1デビュー戦でディフェンディングチャンピオンだったアルバート・クラウスを1発でKOした試合などいくつもありますが、その中でもベストと言えるのは2010年のシャヒッドとの試合でしょう。

この試合は海外のキックボクシングコミュニティでは未だに語り草になっている試合で、キックボクシング史上最高の試合だと言われることも少なくありません。

しかしこの試合は皆さんの記憶にはないかもしれません。というのも当時のK-1はテレビでの求心力をかなり失っていて、シャヒッドとの試合が行われた世界大会の開幕戦は今は亡きUstreamで生配信されただけで、地上波で放送されることはなかったからです。

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167センチと一際小柄なザンビディスとさほど身長の変わらないシャヒッドとの試合は、試合開始前のにらみ合いから始まり、試合が始まるや火の出るような打ち合いが展開され、初めにダウンを奪ったのはザンビディスでした。

しかしシャヒッドも膝蹴りを軸に挽回し、左フックでダウンを奪い返します。お互いダウンを奪い合っても決して守りには引かずに互角の展開のまま勝負は延長戦へ。

ちなみに余りの熱戦で延長戦に突入したときには解説席も総立ちで、なぜか実況陣がハイタッチしていたほどです。

(出典: https://www.youtube.com/watch?v=knU8Ik-_h28)

そして延長では終了直前にザンビディスが右フックをヒットさせると、シャヒッドが時間差で前のめりに倒れ、この値千金のダウンでザンビディスが判定勝利を収めています。

K-1ではジョルジオ・ペトロシアンを最も追い詰めた

このシャヒッドとの試合に勝利したマイク・ザンビディスは決勝大会に進出し、1回戦で長島☆自演乙☆雄一郎をKO。そして準決勝で今なおキックボクシングのパウンド・フォー・パウンドとして名高いジョルジオ・ペトロシアンと対戦しました。

結果的にK-1 MAXでは無敗で史上初の連覇を達成したジョルジオ・ペトロシアンですが、ザンビディスとの試合は戦前の予想に反して大苦戦を強いられ、ザンビディスが勝っていたのでは?との声が多く聞かれるほどでした。

特に2Rにはペトロシアンが膝蹴りを放った際にザンビディスの左フックがヒットして、ダウンのような形で倒すも、スリップの裁定となったのはザンビディスにとっては不運だったかもしれません。

結果的に僅差の判定で敗れていますが、ペトロシアンを終始下がらせて、K-1では最もペトロシアンを追い詰めた試合となっています。

裏最強のダニエル・ドーソンからもパンチで打ち勝っての判定勝利

また個人的に印象深い試合だったのは、2008年に裏最強説の強かったダニエル・ドーソンから勝利したことです。

ダニエル・ドーソンといっても覚えてる人は日本に100人くらいしかいないかもしれませんが、この選手はキックボクサーによるボクシング転向で最も成功した選手の一人で、WBOスーパーウェルター級にて世界ランキング1位まで上り詰め、2010年にはセルゲイ・ジンジラクの持つ世界タイトルに挑戦したこともあるほどです。(ちなみにヴァージル・カラコダとボクシングで2度対戦して1勝1分)

ただ地味な選手で試合もしょっぱいせいかK-1では2戦2勝をあげているものの継続参戦には至りませんでした。

そんな不遇のダニエル・ドーソンとザンビディスの試合は、ドーソンが有利と見られていたものの、ザンビディスがドーソンの鉄壁のガードを切り崩して5R判定勝利を収めています。(と同時にドーソン幻想がひっそりと終了した瞬間でもありました)

当時既に世界ランカーだったドーソンが蹴りを使い、むしろザンビディスがパンチでドーソンから勝利したのはもっと評価されるべきでは?と勝手に思っています。

パンチで10カウントを聞いたことは1度もない

ボクシングの上位ランカーだったドーソンすらパンチで圧倒してしまうほどボクシング技術が抜きん出ていたザンビディスですが、キャリアの中でおそらくパンチで失神させられたり、10カウントを聞いたことは一度もありません。

K-1でKO負けを喫したのは2回のみで、そのうちの1回はアルバート・クラウスの膝蹴りでまぶたを切られてのドクターストップ、そして完全にKOされたのは2008年のアンディ・サワーからハイキックで倒された1度のみです。

さらにパンチでダウンを奪われたのは2005年の魔裟斗戦、2010年のシャヒッド戦のみで、K-1では1度もパンチでKOされたことはおろか、ボクシングの攻防で劣勢を強いられたことすらなかったかもしれません。

またパンチでKOされたのは178戦にも及ぶキャリアの中で2011年のジョン・ウェイン・パーとの試合だけです。

この試合は1Rに3度のダウンを喫してTKO負けとなっていますが、未だかつてパンチで失神させられたり10カウントを聞いたことは一度もないはず…でした。(過去形)

まさかのオクサナがザンビディスを失神させた!?

ここで冒頭のRIZINに参戦するオクサナ・ガグロエヴァに話を戻すと、このオクサナはRIZINの公式ホームページではこのように紹介されています。

K-1 MAXでも剛腕を振るって活躍したマイク・ザンビディスを、スパーリング中に打撃で失神させたという、恐るべき逸話も持っている。

(出典: オクサナ・ガグロエヴァ)

さてここまで読んで頂けた方は、ボクシング世界ランク1位まで上り詰めたダニエル・ドーソンですら劣勢を強いられ、世界のトップ選手と10年来に渡って鎬を削り、ただの1度もパンチで10カウントを聞いていないザンビディスが、体重差があるとは言え女子選手に失神KOさせられたという衝撃がいかほどのものか分かって頂けたでしょうか?

これがどの時期なのか、またどのようなシチュエーションなのか詳細は不明ですが、このエピソードは私の中では今年ナンバーワン級の衝撃でした。

オクサナはロシアボクシング王者2回、ギリシャボクシング王者4回というキャリアを持っているそうですが、まだその実力はベールに包まれており、7月30日にRIZINでギャビ・ガルシアと対峙する瞬間が非常に楽しみです。

ザンビディスにとっておそらく生涯初の失神KOという屈辱を味あわせたオクサナのパンチとはどれほどのものなのでしょうか…。

ザンビディスは2015年に惜しまれながら引退

FEG体制でのK-1 MAXが活動休止を迎えた後も、クンルンファイト70kgトーナメントで準優勝したエンリコ・ゴコーヒアや、"元祖チンギスハン"のシャバル・アスケロフから勝利するなど活躍を続けてきました。

決して負けが混んでいたわけではありませんが、2015年に地元ギリシャで、自身のニックネーム「アイアン」が入った大会であるアイアン・チャレンジにて引退試合を行い、見事勝利して有終の美を飾っています。

欧州でGLORYに次ぐ団体であるスーパーコンバットで王者となったものの、K-1のような世界的なタイトルは獲得することなく引退を迎えましたが、もし当時からフェザー級に光が当てられていたら、間違いなく世界最強の一角として数えられていたでしょう。

"すしざんまい" ザンビディス

地元ギリシャでは雑誌の表紙を飾ったり、イベントを開催したりと精力的に活動しており、現役を退いた後は太ってしまうファイターも少ない中、引退から2年が経過した今も現役時代と変わらぬ体型を維持しており、今でもキレキレの動きを見せてくれています。

一点気になることとしては、ザンビディスはこの「すしざんまい」のようなポーズが気に入っているのか度々「すしざんまいポーズ」を取っています。

寿司が好きかどうかまではリサーチできていませんが、最近のザンビディスをウォッチしていると妙にすしざんまいがチラついてしまうのですが、そろそろ紹介するネタもなくなってきたのでこの辺りで終了させていただきます。

皆さんにとってザンビディスに共感できるポイントが一つでも見つかれば幸いです。

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コメント 1件

  • もうキックボクシングだけ記事にしろよ

    1. あ5ヶ月前