2017年08月12日作成

"オールブラックスのスーパースター"ソニー・ビル・ウィリアムズのボクシング挑戦を振り返りました。

ラグビーの最強軍団オールブラックスのスター選手であるソニー・ビル・ウィリアムズ。この選手はかつて現役バリバリの最中にボクシング挑戦し、フランソワ・ボタとWBAインターナショナル王座を争って勝利したこともあります。しかし華やかな経歴とは裏腹にボクシング挑戦は必ずしも成功とは言えない内容となっています。

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もしもオールブラックスのスター選手がボクシング挑戦したら…

ソニー・ビル・ウィリアムズという選手をご存知でしょうか?

ラグビーのニュージランド代表、通称「オールブラックス」のスター選手でもあり、日本ではパナソニックでプレーをしたことがあるので、ラグビーファンには広く知られています。

ただし日本ではラグビーの枠を越えて知られているというわけではないので、格闘技ファンの方は知らない方が多いかと思います。

ではどうして格闘技メディアであるクイールで唐突にソニー・ビル・ウィリアムズの話が出てくるのかというと、この選手はかつてラグビー選手の現役中にボクシング挑戦を行い、2012年にはあのフランソワ・ボタとWBAインターナショナル王座を争ったこともある、超異色のアスリートだからです。

名前が長くて毎回フルネームで呼ぶと読みづらいと思うので、以降は愛称であるSBWと表記させていただきます。

ちなみにこの記事を書いている筆者はラグビーのニワカファンなので、ラグビーの部分についてはおかしなことを書いているかもしれませんが、その際にはご指摘いただけると幸いです。

ラグビー選手としてのSBW

SBWといえばまずはルックスが良く、「ニュージランドで最もセクシーなラグビー選手」と呼ばれるなど、世界的に女性ファンの多い選手として知られています。そのため実力もさることながら、ルックス、人気も兼ね備えた紛れもないスター選手なのです。

出身はニュージランドのオークランドですが、家系は格闘技では馴染み深いサモア系のようです。もしかしたらサモアの闘争本能が働いてボクシング挑戦をした…のかもしれません。(※ただのこじつけです)

あまり知られていませんが、日本で通常ラグビーというと「ラグビーユニオン」のことを指しますが、13人制で接触が少なくスピーディーな試合がウリの「ラグビーリーグ」という競技もあり、もともとSBWはこのラグビーリーグの人気選手でした。

しかし2008年にラグビーユニオンに転向したことで、Wikipediaの情報によるとバリ爆弾テロ犯であるアムロジ死刑囚を大きく引き離して「最も嫌いな有名人」で1位になるほどのバッシングを受けたそうです。

ラグビーニュージーランド代表でもある「オールブラックス」といえば無敵の最強集団で、ラグビーに詳しくない方でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。このオールブラックスに入ることはラグビー選手としても誉れ高いことであり、SBWがラグビーユニオンに転向したのもこのオールブラックス入りを熱望していたことが要因とされています。

そして念願叶って2010年にはオールブラックス入りを果たして、代表でも活躍。翌年には強豪クラブに入ると、何と2012年には日本のラグビーリーグであるパナソニックに入団します。

パナソニックの年俸は正確な数字は分かりませんでしたが、1億円超とされており、他の競技のトップアスリートと比べると低いものの、十数試合の契約のため、日本のラグビー界では破格とされていました。

その後、再び13人制のラグビーリーグへの転向を経て、2015年のラグビーW杯のニュージーランド代表入りを果たして見事に優勝。ちなみに2015年のW杯は日本の快進撃が大フィーバーとなったあの大会です。

W杯後にはオリンピック種目となっている7人制ラグビーに転向して、こちらもニュージーランド代表入り。しかしオリンピックでは初戦で日本と対戦し、日本に大金星を奪われただけでなく、SBWはアキレス腱の部分断裂によって戦線離脱を余儀なくされています。

どんなプレイをするのか知りたい、という方のためにソニー・ビル・ウィリアムズのハイライト動画はこちらに掲載します。全般的に高い能力を誇りますが、とりわけタックルされながらのパスであるオフロードパスが得意であることでも知られています。

ラグビー選手としてのキャリアだけでも十分すぎるほど鮮やかなSBWですが、もともとは体幹トレーニングの一環としてボクシングに取り組んでいたのが、徐々にのめり込んで、ラグビー選手として活動しながらプロデビューを迎えることになります。

トップアスリートの格闘技転向というだけでも珍しいですが、SBWはどちらも並行してこなした異色のアスリートです。ちなみに先日にはこんなツイートでも話題になっていました。

ヘビー級ボクサーでこんなにスピーディーなパンチを打つ選手は世界にいるだろうか、というほどのスピーディーなパンチはそこそこ話題となったようです。

このツイートだけを見るとオールブラックスの選手が片手間にボクシングをしたらこんな凄いパンチ打つようになっちゃった、というように感じられるかもしれませんが、プロキャリアがあるようにかなり真剣にボクシングに打ちこんでの結果です。

それではこのソニー・ビル・ウィリアムズがプロボクシングでどんなキャリアを歩んだのか紹介していきましょう。

スター街道を歩まされたボクシングキャリア

SBWのボクシング挑戦は例えるなら、W杯後に大フィーバー状態となっていた五郎丸歩がいきなりプロボクシングに転向するようなものかもしれません。

まだパナソニックに入団する前の2009年3月にヘビー級でプロデビューすると、同じくデビュー戦の相手から2RTKO勝利を収めています。

この時にはキャリアが浅いせいか、まだ動きは少しぎこちなく見えます。ファイトスタイルはラグビー選手ということで、ボブ・サップのような突進系をイメージされるかもしれませんが、意外にも相手との接触を避けるアウトボクシングをキャリアを通じて行うことになります。

続く2戦目もデビュー戦の相手からTKO勝利を収めると、3戦目には早くもメインイベントに抜擢されます。対戦相手は3勝4敗の選手ですが、6Rで大差の判定勝利。

4戦目はクライストチャーチ市の震災チャリティーマッチとして行われ、この試合に勝利したSBWは10万ニュージーランドドル(約800万円)を寄付をしており、アスリートとしては最大の金額だったそうです。ただし対戦相手は6連敗中で、やはりスター選手だけあってプロテクトされている感が強くなっています。

5戦目は空位となっていたニュージーランドヘビー級王座がかかった試合に臨んでいます。キャリアで始めて勝ち越している相手との対戦は見事に1RTKO勝利で初のタイトルを戴冠。

そして2013年に迎えた6戦目には、日本ではK-1のリングでおなじみの、あのフランソワ・ボタとWBAインターナショナル王座をかけて対戦。そしてこの試合はSBWにとってのボクシングキャリアを象徴する試合となります。

ボタとの試合は結果から言うと、10Rを戦って2者が8ポイント差をつける大差の判定勝利を収めていますが、何かといわくつきの試合となっており、この試合で「ソニー・ビル幻想」は完全に終焉してしまいます。

WBAインターナショナル王座は世界タイトルではないものの、国際タイトルがかけられた試合なので12R制で行われ、事前に12ラウンドで行なわれると発表されていました。しかしコミッションいわく両者の合意があったとのことで10R制に変更されており、それがほとんど周知されないまま試合が行われ、さらにボタ陣営はそれを知らされていないと主張しています。

試合は43才を迎えて衰えが顕著に出るボタに対して、運動能力で勝るSBWがアウトボクシングで試合を優勢に進めますが、明確なダメージを与えることはなく、さほど大きな山場はないまま終盤戦に突入します。

9Rに入るとSBWの動きが鈍り、逆にボタの動きが冴えてきて形勢が少し傾いてくると、最終10Rにはボタのクロスカウンターがヒットするなど、SBWはダメージを隠せず、ただボタの猛攻を凌ぐだけの展開に。幸い10R制に変更されていたので、10R目を凌ぎ切ったところで判定に入り、それまでのリードで勝利を収めますが、本来なら12Rで行われていた試合だけに後味の悪さを残しました。

非常に議論を呼んだこの試合ですが、さらにボタは試合後に15万オーストラリアドル(約1300万円)で意図的に負けるよう、八百長を提案されていたことを暴露するなど、SBWのスター性があらぬ試合を産んでしまう結果となりました。

この試合が終わるとラグビーW杯に専念するために休養期間を取り、2年後の2015年に復帰し、ここでは藤本京太郎と対戦したことのあるチャウンシー・ウエリバーから判定勝利。ちなみにチャウンシー・ウエリバーと京太郎との対戦は、SBWがパナソニックに在籍していた時期の試合なので、リングサイドで観戦していたそうです。

結果的にこの試合が現在までのラストファイトとなっており、ボクシング戦績は7戦7勝3KO。

ラグビー選手と平行して行いながら、ボクシングでも全勝でWBAインターナショナル王座を獲得したことから、メディアでは「超人的な2刀流選手」として紹介されるものの、その実ボクシングキャリアは問題のボタ戦でケチがついてしまい、結果的には期待値ほどの活躍を残すことはできませんでした。

またファイトスタイルもラグビー選手ならではの突進力は発揮されることなく、少々ぎこちないアウトボクシングに終始していたことも評価が上がらない要因だったのかもしれません。

トップアスリートの格闘技挑戦

もしかしたら苦い記憶となってしまったボクシング挑戦ですが、格闘技の歴史から見ればかなり意義のある挑戦だったのではないでしょうか。

SBWクラスのトップアスリートが、現役バリバリの状態で格闘技に挑戦するという機会は今度いつ訪れるのかというレベルの逸話であり、必ずしもトップアスリートが格闘技に取り組んだからといって世界レベルで戦えるわけではないという一つの材料になっています。

まだボクシングから明確に引退したわけではなく、今後復帰する可能性もありますが、このSBWのボクシング挑戦の歴史を皆さんの格闘技観に加えていただければ幸いです。

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