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ローマン・ゴンサレスがシーサケットから衝撃のKO負け。敗因はフィジカル差とシーサケットの巧みなポジショニングか。

2017/09/11 00:42

9月10日に行われたWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ「ローマン・ゴンサレスvsシーサケット」。前回キャリア初黒星を喫しているロマゴンが、軽量級最強王者として復権を狙い再戦を挑むも、シーサケットの右フックの前に壮絶なKO負けを喫しています。

”軽量級最強”のロマゴンが時代の終焉を象徴するKO負け

日本時間9月10日にローマン・ゴンサレス(通称・ロマゴン)が、WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチにて王者のシーサケットと対戦しました。

ロマゴンはこれまでキャリア46連勝を収めて、パウンド・フォー・パウンド最強との呼び声が高かったものの、今年3月にシーサケットからまさかの敗戦を喫しています。しかしこの前戦は、クリーンヒットを多く奪ったロマゴンが勝っていたのではないかとされた中での判定負けとなっています。

そこから半年が経過し、井上尚弥やスーパーフライ級トップ選手が集結した興行「SUPERFLY」のメインイベントにて、今後はロマゴンが挑戦者としてシーサケットと対戦。

1度は敗れているものの、前戦の内容からロマゴンが有利と見られていた中、結果は4Rにシーサケットの右フックが炸裂し、ロマゴンはキャリア初のKO負けを喫しています。

時代の終焉を象徴するようなKO劇は日本でも大きな話題となっていますが、このKO劇はなぜ生まれたのか、改めてこの試合を振り返っていきましょう。

衝撃のKO決着は必然の結果か

ロマゴンとシーサケットの体力差

ミニマム級から階級を3つ上げて4階級制覇を達成したロマゴンですが、階級を上げる度にパンチ力やフィジカル面での優位は薄れています。

厳しい減量を経ていたミニマム級時代は体格面で一回り大きく、一発の破壊力が突出していたことから「怪物」と当時から称されていました。そこから階級を上げていきますが、体重の増加にあわせて筋肉量が増えていたわけではなく、特にスーパーフライ級では体が少し緩い状態で試合に臨んでいるようにオーバーウェイト気味なのは傍目からも感じられます。

またフライ級までは相対的にパンチ力が目減りするのに合わせて、コンビネーションの精度を上げることで絶対的な強さが保持されていましたが、スーパーフライ級では3試合全てで苦戦もしくは敗戦しているように、階級を一つまたいでから明確に内容が変化しています。

対するシーサケットもスーパーフライ級では小柄な部類ですが、強みは至ってシンプルで軽量級離れしたパンチ力と、少々クリーンヒットを貰ってもビクともしないタフネスにあります。筆で描くかのように淀みないコンビネーションを放つロマゴンとは対照的に、シーサケットは力を込めて岩のように固いパンチを放ちます。

今回の試合でもロマゴンのパンチがシーサケットを何度か捉える場面があったものの、打たれ強いシーサケットはそれにビクともせず、むしろコンビネーションを貰う度に笑顔を見せて、余裕ぶりをアピールしていました。

本来のロマゴンのスタイルは、動きながら相手を圧力で下がらせ、反撃ができない体勢を一旦作ってから、得意のコンビネーションを起点に相手を追い詰めるところにあります。

しかし今回はシーサケットにロマゴンの圧力が通用せず、ロマゴンが下がらされたことで先手を取られ続け、不本意な形で足を止めての打ち合いを強いられたことが実力を発揮できなかった一因と言えるでしょう。

ロマゴンを下がらせたシーサケットのボディー

今回の試合で最もロマゴンを苦しめたのは、後退した際に要所要所で貰っていたシーサケットのボディーブローです。

圧力をかけて先手を取るシーサケットの踏み込みに、ロマゴンは下がりながら横に回る動きを見せるも、シーサケットはその動きは織り込み済みで、ロマゴンが動く方向へボディーブローを合わせていきます。

実際に大きなダメージとなったわけではありませんが、これによりロマゴンは真っ直ぐ下がらざるを得なくなり、よりシーサケットの強い圧力を正面から受け続けることになります。

またこの試合ではバッティングが序盤から何度か見られており、ロマゴンは前戦でバッティングによる出血に苦しめられたことから、これを過剰に気にする素振りを見せています。このバッティングはロマゴンが真っ直ぐ下がることで懐が浅くなり、そこに前のめりで懐に入ったシーサケットの頭がちょうどぶつかったことで誘発されていたように見受けられます。

バッティングにアピールを続けていたロマゴンですが、これが集中力を欠かせる要因となったのではないでしょうか。

シーサケットのポジショニングがKOを生んだ

そして4R開始30秒ほどでロマゴンが右ストレートを放ったと同時にシーサケットの右フックが入り、ロマゴンが崩れるようにダウン。前戦でもダウンを喫しているロマゴンですが、ここまで明確にダメージを見せてダウンをするのは生涯初のことです。

そこからシーサケットが猛然とラッシュを仕掛けて、衝撃的なKOシーンが生まれますが、これにはシーサケットのポジショニングが由来しています。

オーソドックスvsサウスポーの場合、相手の外側を取ることで左ストレートが、内側を取ることで右フックがインサイドから入ることになりますが、シーサケットはこのポジション取りを試合中に使い分けています。

離れた間合いでは相手の外側を取り、勇気を持って体ごとぶつけるような左ストレートを、打ち合いの展開では利き手である右の強さを活かすべく、内側にポジションを取って強烈な右フックを見舞います。

2度のダウンシーンではいずれも内側にポジションを取り、ロマゴンの右肩が開く瞬間にシーサケットの右フックがインサイドから入る格好となっており、相打ちのような形で右フックがカウンターでロマゴンを捉えてフィニッシュに至っています。

またロマゴンは従来からその絶対的な強さとは裏腹に、相手の攻撃をある程度貰うことを前提に立ち回るスタイルで、相手に全く触れさせずに勝つというタイプではありません。

それがリスクとして顕在化してこなかったのは、ロマゴンが圧力で相手を下がらせ有利なポジションを作ることで、パンチを貰ってもビッグショットにならないためですが、今回はシーサケットが圧力に下がらず、相打ち覚悟でカウンターを放ったために、過去にはない形での被弾となっています。

ポジショニングが生んだKO劇とは言え、根本的にはやはり両者の体格差が影響していたのは否めないでしょう。

闘争心の欠如が見られるロマゴン

またロマゴン自身の問題として衰えを指摘する声も多く見られます。

淀みのないコンビネーションなど動き自体にはロマゴンらしさを感じられるものの、圧力でそれを潰されてしまい本領を発揮できずに終わっていますが、これが肉体的な衰えから来ているのか、シーサケットが前回以上のパフォーマンスを発揮したのかは判断が難しいところがあります。

これは個人的な見解になりますが、やはりロマゴンはキャリアの上昇局面と比べるとモチベーションの差からか闘争心が薄れてきているように感じます。

シーサケットはムエタイで大成せず、ボクシング転向は「かませ犬」として日本で小銭稼ぎをするところから始まっていますが、そこからフィクション作品のように今ではタイ国民からの期待を一身に受ける存在となっています。

この上なく充実しているシーサケットと、既にスターとしての地位を築き、キャリアの下降局面に入っているロマゴンとでは、モチベーションや闘争心という点で初めから差がついていたのかもしれません。

進退も問われる敗戦に

無敗で世界4階級制覇を達成し、軽量級における強さの象徴であったロマゴンはこの試合で2連敗となり、その内容もまたロマゴン時代の終焉を告げるものでした。

一部のファンからは早い段階で注目されてきたロマゴンですが、軽量級というカテゴリのためアメリカでは当初から評価されたわけではありません。ゴロフキンとのダブルメーンで知名度を高めつつ、自身の強さによって徐々に求心力を得て、今回はアメリカでは異例の軽量級がフィーチャーされた興行の成功に導いています。

しかし立て続けの敗戦はロマゴンが長年かけて得た求心力を失うものであり、またスーパーフライ級が新時代に突入したことを感じさせる興行だけに、なおさらロマゴンの存在感の低下は免れないでしょう。

勝利したシーサケットは、挑戦者決定戦を制したエストラーダとの対戦が決定しており、ロマゴンが井上と対戦する可能性はゼロではないものの、旬を逃したことでこれまでほどの期待感はなくなっています。

ロマゴンにとってはまさに転換点となる敗戦ですが、果たしてこの先どのようなキャリアが待っているのでしょうか。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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この記事へのコメント()

Missing avatar
ncnq
2017/11/26 18:12

パッキァオの超人を再確認

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