Queel
×
サイト内を検索する
  • ボクシング
  • コラム

サウル・"カネロ"・アルバレスのキャリアを紹介。ゴロフキンを破って名実ともにスーパースターの座を狙う。

2017/09/14 17:38

日本時間9月17日にいよいよゲンナジー・ゴロフキンとミドル級頂上決戦を行うサウル・カネロ・アルバレス。現在のボクシングを象徴するスーパースターのカネロにとってゴロフキン戦は、パッキャオやメイウェザーといった歴代のレジェンドに肩を並べるための歴史的な大一番となっています。

「ゴロフキン vs カネロ」がいよいよ開催!

日本時間9月17日に今年最大となるボクシングのビッグマッチ「ゲンナジー・ゴロフキン vs サウロ・アルバレス」の試合が開催されます。

この試合はWBC・IBF世界ミドル級王座およびWBAスーパー王座のベルトがかけられたミドル級の頂上決戦です。さらにこの試合は2010年以降のボクシングシーンにおいても最高の試合と称され、世界的に非常に高い注目を浴びています。

A post shared by Saul Alvarez (@canelo) on

この試合は日本でもWOWOWで生中継され、「メイウェザー vs パッキャオに匹敵する試合」と2015年にレジェンド同士が行ったビッグマッチを引き合いに出したプロモーションが行われています。

しかしカネロとゴロフキンは、メイウェザー、パッキャオのように日本の一般メディアで盛んに報道されてはおらず、ボクシングファン以外にはなかなか関心が広まっていないのが現状です。

普段ボクシングを観戦しない方は、実力者であることは認識していてもキャリアやパーソナルが分からず、この試合がどう凄いのかがイマイチ伝わっていないと感じているかもしれません。

そこで日曜日に行なわれる試合に向けて、連日この一戦の特集記事を掲載し、普段あまりボクシングを見ないという方も含めて楽しんでいただけるよう情報を発信していきます。

ボクシング界最大のスーパースターとなるカネロ

サウル・アルバレスはフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオという2大スターの後を継ぐ、ボクシング界を象徴するスーパースターです。

A post shared by Saul Alvarez (@canelo) on

メキシコのスーパーホープとして10代の頃から活躍を始め、27歳という年齢ながらすでに51試合を経験。これまでスーパーウェルター級を中心に、シェーン・モズリーやミゲール・コット、アミール・カーンといったスター選手に勝利してその地位を確立してきました。

メキシコでは老若男女から人気のある国民的英雄であり、アメリカでもヒスパニック系の住民を中心に絶大な人気を誇っています。

2013年に行ったフロイド・メイウェザー戦のPPV販売数は220万件を突破。さらに2017年に行ったチャベス・ジュニアとの試合でもPPV販売数は100万件を突破というように、商業的な成功がその人気の高さを証明しています。

しかしカネロが階級を上げてミドル級にチャレンジを始めてからは、その絶大な人気の裏腹に常に実力ではゴロフキンのほうが上であり、カネロはプロテクトされたスター選手だという批判が付きまといました。

ミドル級に挑戦したものの、中々ミドル級にあった身体を作れず一度はスーパーウェルター級に落としたりと、批判を浴びながらもじっくりと肉体改造を実施。しっかりと準備を重ねてついにゴロフキンとの頂上決戦が決定しました。

ゴロフキン戦はすでにスーパースターという地位に就くカネロが、ついに真の最強を証明する舞台となります。

13歳でボクシングを始め、僅か2年でメキシコジュニア選手権で優勝

A post shared by Saul Alvarez (@canelo) on

カネロはメキシコの ハリスコ州グアダラハラで、牧場を営む両親の元に生を受け、8人兄弟の末っ子として幼少期を育っています。

子供時代の趣味は牧場の子供ということもあり乗馬。メキシコの地方都市で裕福な幼少時代を過ごしていたようです。

ボクシングを始めたのは13歳のときで、その同じ年に兄のリコベルト・アルバレスがプロデビューを飾っていることから、アルバレスがボクシングを始めたのは兄の影響とみられます。

兄のリコベルトは石田順裕からタイトルを奪ったことでも知られるボクシング世界王者です。

実はリコベルトは元ボクシング世界王者のウリセス・ソリスに頬骨骨折という重症を負わす暴行事件を後に起こしたという事でも知られています。その暴行の理由はソリスがカネロの彼女にちょっかいを出したことが理由とされていて、それに激高した兄のリコベルトが暴行を働き書類送検されるというある意味兄弟愛を感じさせるというエピーソードを残しています。

話を戻し、13歳でボクシングを初めたカネロは直ぐに頭角を現し、なんと14歳でメキシコジュニア選手権で2位となり、さらに15歳では優勝を果たしています。

そしてアルバレスはこの時期にボクシングに専念するために中学校を中退。ボクシングで生計を立てていくことを早くから決意しています。

ニックネームの「カネロ」はシナモンが語源

ここまでサウル・アルバレスのことを「カネロ」と呼んできたので、もしかすると何を意味しているのか分からない方もいるかもしれません。

これはアルバレスの愛称であり、スペイン語圏ではポピュラーなニックネームです。

「カネロ」はスペイン語でシナモンを意味しており、シナモンの赤みを帯びた色とアルバレスの赤毛が似ていることからメディアでこのニックネームが使われることになったとされます。

15歳でプロデビューし、ハイペースで試合をこなす

アマチュアでジュニア選手権を制覇したカネロは15歳でプロに転向。 デビューから3年となる2008年までに23試合を行うというハイペースで試合を行っていきます。

デビュー初期は格下相手の経験を積むための試合が中心だったものの、3戦目には後にIBF世界ライト級王者となるミゲル・バスケスに僅差判定勝利。5戦目にはホルヘ・スアレスを相手にキャリア唯一のドローを記録するなど、際どい試合も経験していきます。

この短い期間での連戦を行うことでカネロの技術は洗練されていきます。相手の攻撃を最小限の動きでかわし、矢継ぎ早にコンビネーションブローをカウンターで叩き込むスタイルは、すでに18歳で完成されていたとされています。

このときからカネロはメキシコ国内で活躍するスーパーホープとして注目を浴び始めます。

ちみみにカネロは16歳のときにガールフレンドが妊娠し、いわゆる「できちゃった結婚」をしています。プロになって短期間で連戦をおこなったのは生活費としてお金がいるからという理由もあったのかもしれません。

地域タイトルを複数獲得し、世界のスーパーホープへ

メキシコで活躍したカネロは2009年頃から戦う舞台を世界へと移します。それまではメキシコ人選手を相手にローカルファイトを行ってきましたが、この時期から対戦相手を世界ランカークラスの選手に絞るようになっていきます。

  • WBAフェデセントロ
  • NABF北米
  • WBOラテンアメリカ
  • WBC世界ユース
  • WBC世界シルバー

世界ランカークラスとの対戦をこなすカネロはなんと2008年からの2年間で5つのタイトルを獲得し、自身の世界ランクを上昇させると共に、メキシコ国内のスーパーホープから、世界のスーパーホープへと成長を遂げていきます。

特に評価が高いのは35戦目に対戦したカルロス・バルドミールとの対戦です。バルトミールは過去にザブ・ジュダーからタイトルを奪った元世界王者で、16年間KO負けがないタフネスを誇っていました。しかしその試合でカネロは序盤こそ苦戦を強いられるも、中盤から盛り返し最後は失神させてのKO勝利。次世代のスター候補としての存在を大きく世界に知らしめました。

この頃にはメキシコの伝説的ボクサーであるフリオ・セサール・チャベスの息子であるフリオ・セサール・チャベス・ジュニアと並び、メキシコの次世代を担うスーパースター候補として絶大な人気を得るようになります。

前代未聞の形式で世界タイトルを獲得

カネロの人気に目をつけたゴールデンボーイ・プロモーションが2010年にカネロと契約を結びます。

ゴールデンボーイ・プロモーションといえばオスカー・デラホーヤが立ち上げたプロモーションであり、当時はトップランクに続くナンバー2の勢力を誇っていました。このプロモーションとの契約により、カネロの試合はより大規模なプロモーションが行われるようになり、ボクシング界のメインストリームに進出していきます。

すでに人気者のカネロにとって必要なのは実績だけ。そんな状況の中、37戦目についにマシュー・ハットンとのWBC世界スーパーウェルター級王座決定戦というチャンスを得ます。

この試合は元々はカネロの持つWBCシルバーの防衛戦として組まれたものでしたが、急遽世界王者決定戦として格上げされる形での開催。これだけでも異例ではありましたが、なんとこの試合は世界戦でありながら試合体重はキャッチウェイトでの試合であり、さらに減量に失敗したカネロが罰金を払っての出場となりました。

このカネロの人気とプローションの力があるから許されたとも言える異例のタイトルマッチで勝利し、カネロはついに世界王者に輝いています。

メイウェザーに敗戦もスーパーウェルター級NO.1に

A post shared by Saul Alvarez (@canelo) on

異例の形で世界王者となったカネロでしたが、その後は王者として相応しい活躍を見せていきます。

まずは3度目の防衛戦で元世界王者のカーミット・シントロンをTKO勝利で下すと、4度目の防衛戦にはスター選手のシェーン・モズリーを寄せ付けず大差判定勝利を収めています。このモズリーとの試合はメイウェザーvsミゲール・コットの前座試合であり、メイウェザーと体重の近かったカネロは、将来の対戦候補として注目を浴びます。

6度目の防衛戦ではオースティン・トラウトとのWBA・WBCのスーパーウェルター級王座統一戦に登場。この試合は当時カネロと互角とされたトラウトに苦戦を強いられるも、トラウトのパンチをシャットアウトし、ボディーを効かせて接戦で判定勝利。同格の対戦相手を破りスーパーウェルター級で屈指の実力を証明してみせます。

メイウェザーとの対戦

そして7度目の防衛戦でついにボクシング界最大のスター選手だったフロイド・メイウェザーとの対戦を迎えます。

試合は体格でカネロが大きく上回っていたものの、メイウェザーの圧力をかけて丁寧にジャブをつく戦いに終始ペースを握られて判定負け。ポイント的には0-2という僅差でしたが、実力差を見せつけられての完敗でした。

この試合はカネロにとって初のPPVマッチであり、なんとPPVの売上数は220万件を記録します。これは当時の歴代ランキングで2位となる販売数で、この結果からカネロも商業面で大きな収益を上げることが出来る稼げる存在であると分かります。

スーパーウェルター級を象徴する存在に

メイウェザーには敗れたカネロでしたが、復帰戦でアルフレド・アングロをTKOで下すと、2戦目には当時スーパーウェルター級最強と称されていたエリスランディ・ララと対戦。

スーパーウェルター級で戦っていた時期のカネロは、一部で最強のララから逃げているという批判もありましたが、だったら試合をさせろとカネロが直訴しての対戦の運びとなりました。

このスーパーウェルター級頂上決戦とも言える試合でカネロは接戦ながらもララのパンチを外し、カウンターで素早いコンビネーションをまとめ判定勝利。

さらに次の試合でララと同じく、評価の高いジェームス・カークランドを相手に正面からの打ち合いを行い、リング誌が年間最高KOに選出したほどの衝撃KO勝利をあげます。

この2試合でカネロはスーパーウェルター級No.1の座をものとしています。

ミドル級に階級を上げるも、155ポンド王者と揶揄される

元々あった人気に加えスーパーウェルター級最強の存在となり、ボクシング界のメインストリームを走るスーパースターとなったカネロでしたが、その地位に留まらず挑戦を続けます。

階級をひとつ上げWBC世界ミドル級王者のミゲール・コットへの挑戦を行いました。

先月、亀海喜寛に勝利したことが記憶に新しいコットを相手に、カネロは上手く圧力をかけながらの戦いで圧勝し、世界二階級制覇を達成します。

しかし実はこの試合はスーパーウェルター級から僅か1ポンドだけ重い155ポンドで試合が行われており、カネロはミドル級王者ではなく155ポンド級王者だといった批判が聞かれました。

さらに初防衛戦もミドル級から2階級下となるウェルター級で試合を行っていたアミール・カーンと対戦。スピードのある相手を圧力で徐々に追い込み、パワーに頼らずにテクニックで上手くKOしたものの、カネロはこの試合の後に「ミドル級の身体ができていない」として階級をスーパーウェルター級に落とします。

この頃、ミドル級にはゴロフキンが最強の存在としてすでに世界最強として君臨しており、有力な対戦相手がいないという状況が続いていました。そんな背景もあり、ゴロフキンにもし勝てる選手がいるとすればカネロしかいないという期待も高く、階級を落としてもなおゴロフキンとのビッグマッチ実現が望まれていました。

チャベス・ジュニアとのメキシコの英雄対決を制す

A post shared by Saul Alvarez (@canelo) on

肉体改造を行うために一旦スーパーウェルター級に戻したカネロは、リアム・スミスを相手にWBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチを行いボディーブローでKO勝利。僅か1試合で世界王者に返り咲いています。

そして2017年5月にはミドル級よりも重いスーパーミドル級で、先に紹介したとおり昔からカネロと並びメキシコを代表するスター選手として活躍してきたチャベス・ジュニアとのメキシコの英雄対決が実現します。

この試合はメキシカン対決でありながら、アメリカのPPVの販売数でも100万件を突破する異例の売れ行きに。さらにメキシコでのテレビ放送の視聴率は40%以上を記録しています。

このメキシコの英雄対決は、体格で大きく上回るチャベスを相手にカネロが圧力をかけて圧倒。常にチャベスを下がらせ続けカネロが盤石の内容で判定勝利を飾っています。

この試合でカネロはついにミドル級で戦える身体が完成し、いよいよゴロフキン戦への準備が整ったと論評されました。

スーパースターのカネロが伝説に名を刻む大一番

A post shared by Saul Alvarez (@canelo) on

スーパーウェルター級で数々の名選手を退け現在のボクシング界を象徴するスーパースターの地位を確立したカネロ。

そのカネロがミドル級に乗り込み、ミドル級を象徴する絶対王者であるゴロフキンに挑戦するという大一番がいよいよ行われます。

かつてパッキャオやメイウェザーがそうしてきたように、適正階級で敵がいないがゆえに階級を上げてでも対戦相手を追い求めていくのがスーパースターの宿命か。

カネロにとっては実力No.1のゴロフキンを倒すことで名実ともに完全無欠のスーパースターとなる戦いであり、歴史に名を残すレジェンドへと成長するための避けては通れない、キャリアのハイライトとも言える大一番となります。

2015年のミゲール・コット戦から、ここまでのカネロのキャリアはゴロフキン戦の準備であったとすら思えるような運命的な一戦で、カネロは伝説に名を刻むことができるのでしょうか。

両者にとって得るものが大きく、失うものも余りに多い、勝者と敗者のコントラストがハッキリと分かれるボクシングの醍醐味が詰まった好勝負が期待されます。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
Queel icon
クイール編集部
格闘技メディア

格闘技メディア「クイール」編集部

クイールをフォローして
最新情報をチェック!
最新の格闘技ニュースをお届けします
関連する記事