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”神の子”アンドレ・ウォードのキャリアの一部始終を紹介。批判の声を押しのけ、パウンド・フォー・パウンド1位のまま退いた天才ボクサー。
Andre Ward - CC BY-SA 2.0, via Flickr
スーパーミドル級とライトヘビー級で最強を証明し、パウンド・フォー・パウンドでも1位に輝いたアンドレ・ウォードが引退。キャリアの絶頂期で現役を退いた”神の子”と言われた無敗の天才ボクサーとはどんな存在だったのか。足跡を振り返り詳しく紹介します。
アンドレ・ウォードが突然の引退
WBA・IBF・WBO世界ライトヘビー級スーパー王者のアンドレ・ウォードが、日本時間9月22日に自身のSNSとウェブサイトで突然引退を表明。
キャリアの絶頂期を迎える中での引退表明には世界のボクシングファンに大きな衝撃を与えました。
スーパーミドル級とライトヘビー級で最強を証明し真の2階級制覇を達成。リング誌が定めるパウンド・フォー・パウンドのランキングでも1位になるなど、最強ボクサーと言っても過言ではありませんでした。
圧倒的なスピードとテクニックに加え、攻防一体のクリンチワークを武器に、32戦32勝という成績を積み重ねて2階級で複数団体の世界王座を獲得するなど絶対的な地位を築きました。
アマチュアでは五輪金メダルを獲得し世界王者に辿り着いた順風満帆のように見えるキャリアですが、スーパーシックス参戦時には前評判が低いながらも優勝するなど、キャリアの合間でステップアップを果たしたことでスター選手の地位を獲得しています。
こうした印象的なキャリアをこの機会にぜひ振り返ってみましょう。
五輪で金メダルを獲得したアマチュアエリート
ウォードがボクシングを始めたのは9歳の頃で、アマチュアボクサーだった父親の影響でボクシングジムに通い始めました。
この時にウォードはバージル・ハンターと運命的な出会いを果たします。ハンターはウォードがキャリアを終えるまで22年間を共にすることになるトレーナーです。ウォードは19歳を迎える2002年に父親を亡くしていますが、その後はハンターが父親的存在になるなど非常に信頼の厚い師弟関係が結ばれることになっていきます。
ウォードは当初からボクシングの才能に恵まれており、10代の頃にはアマチュアの試合に出場するようになり勝利を積み重ねていきます。負けることは殆どなく、なんと13歳の頃に最後に負けて以来はプロアマ含めて生涯負けなしという、驚くべき記録を打ち立てることとなります。
またウォードは身体能力にも恵まれており、高校時代にはボクシングと平行してアメフトの試合にも出場していました。ポジションはランニングバックとセーフティーという足の速さを求められる役割。ボクシングでは対戦相手を置き去りにする高速のフットワークを武器のひとつとしていましたが、その基礎はもしかするとアメフトで培われてきたのかもしれません。
そしてアマチュアボクシングでは若干18歳にして2002年の全米選手権のミドル級で優勝。ボクシング大国のアメリカで10代の頃から目覚ましい成績を収め五輪の金メダル候補として大きな期待を浴びます。
親友に階級を譲りながら五輪で金メダルを獲得
そしてアテネ五輪が行われる2004年に、ウォードはライトヘビー級に階級を上げて選考会に登場します。
これまでミドル級で活躍してきたウォードでしたが、なんとこの選考会では同じ階級で戦う親友にミドル級を譲り、一つ上のライトヘビー級で選考会に出場しました。
そして無事に選考会を親友と共に制し五輪出場の切符を獲得します。親友のために進んで厳しい道を選択し、それでもきっちりと結果を出したのはウォードの人情味のある人間性と並外れた実力の高さを象徴するエピソードでした。
実はこの親友は後にIBF世界スーパーミドル級暫定王者となるアンドレ・ディレルであり、ディレルは五輪でも銅メダルを獲得しています。
一つ階級が重いライトヘビー級での五輪出場となったウォードでしたが、階級の壁を一切感じさせることなく圧勝の連続で金メダルを獲得。ボクシング大国でありながら前回大会は金メダルを取れなかったアメリカに、2大会ぶりの金メダルをもたらします。
高速のフットワークと抜群の距離感の良さで相手のパンチを貰わず、上下に揺さぶってボディーストレートでペースを握ったりと、4Rを通じて試合を支配するプロ寄りのスタイルでの金メダル獲得でした。
10代で父親に
ウォードの人間性を知る豆知識として、ウォードは日曜日には家族全員で教会に通う敬虔なキリスト教徒で知られています。
そして10代のころにずっと付き合っていた幼馴染との間に第一子を儲け、2009年には入籍。現在は4人の子供を持つ父親としての顔を持っていて、家族を優先する良き父親という人物像を持っています。
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コバレフ2戦目はTKOでは?
> ひろさん
ご指摘のとおりでございます。申し訳ございません。
こちら修正させて頂きました。
2戦目は金的っぽいですが(笑)まぁそれでも世界トップなのには間違いありません。
1戦目はコバレフの勝ちでした、自分の採点では。