2017年10月09日作成

【村田諒太vsエンダム特集】五輪金メダリストがプロで世界王座を獲得するのは規定路線?3大会の結果から調査してみました。

プロ転向を行ったアマチュア五輪金メダリストの多くがプロでも世界王者になってる?ジョシュア、リゴンドー、ロマチェンコなど代表的な世界王者に五輪金メダリストが多いことから、04年のアテネから12年のロンドン大会の金メダリストのプロでの活躍を調べてみました。

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五輪金メダリストのほとんどがプロでも世界王座を獲得している?

10月22日(日)に村田諒太が、アッサン・エンダムの持つWBA世界ミドル級タイトルにダイレクトリマッチとして挑戦します。

前回の対戦では村田が有効打の数で上回り、ダウンを奪うなど試合を優勢に進めるも、物議を醸す判定決着でエンダムが勝利し、連日に渡りワイドショーを騒がせるほどの大きな話題となりました。

エンダム戦の敗戦で悲劇の英雄となった村田の仕切り直しの一戦は、今度こそ村田が勝利し、世界王者に輝くことを普段はボクシングを見ない人々も期待する、まさしく国民的な注目の一戦となっています。

ところで村田といえば2012年に開催されたロンドン五輪でアマチュアボクシング金メダルに輝いたことで知られています。アマチュアボクシングの金メダリストといえばヘビー級王者のアンソニー・ジョシュアや、12月に階級を超えた対戦を行うワシル・ロマチェンコとギジェルモ・リゴンドーなどプロでも世界王者に輝いた選手が数多く存在します。

村田がプロデビューする時にも多くのファンが五輪金メダリストという肩書から、直ぐにでもプロで世界王者を獲得することを期待するような意見もしばしば見受けられました。

五輪金メダリストからプロに転向し世界王座を獲得した選手はたしかに数多く存在しており、個人的にも五輪金メダリスト=プロ転向すれば世界王座獲得は既定路線というイメージも持っています。

果たしてそのイメージは本当なのでしょうか。まだ開催から余り時間が立っていないリオ五輪を除き、2004年のアテネ五輪から2012年のロンドン五輪までの金メダリストの動向を調べ、実際にプロで世界王座を獲得した比率を調べてみました。

五輪金メダリストがプロ転向後に世界王座を獲得する可能性は50%を超える

五輪のアマチュアボクシングではライトフライ級からスーパーヘビー級までの10階級に、2008年の北京五輪後に廃止されるまではフェザー級を加えた11階級で金メダルが争われてきました。今回は上記を対象に計32個の金メダルを獲得した選手のその後を調査してみました。

  • プロ転向が確認出来たのは30人中16人 

まずゾウ・シミンとワシル・ロマチェンコが上記の期間で2度金メダルを獲得しているので、3大会で30名の金メダリストが存在します。その30名を調べたところ、その半数以上がプロへと転向していました。逆に言えば約半数はプロに転向しないことになります。

※アマチュアボクシングを統括する国際ボクシング協会(AIBA)主催のプロ興行は含めていません

転向しなかった選手はウェルター級で金メダルを獲得したカザフスタンの3選手や、ウズベキスタン、ロシアの選手など東欧系の国の選手が多く、それらの選手は指導者になったり政治家に転向する傾向が見られます。これらの地域は既に転向選手が多く、またプロボクシングのファンベースが少ないことで商業的に苦戦が強いられることが要因かもしれません。

  •  プロに転向し世界王座を獲得したのは16人中9人

そしてプロに転向した16人を調べると9人が世界王座を獲得していました。確率でいえば56%という数字となり、五輪金メダリスト=世界王者は規定路線という表現が使えるのかは微妙な結果となっています。

ちなみに世界タイトルを獲得した選手は以下の9名です。

  1. ゾウ・シミン
  2. ユリオルキス・ガンボア

  3. ギジェルモ・リゴンドー
  4. ワシル・ロマチェンコ

  5. ジェームス・デゲール

  6. アンドレ・ウォード

  7. アレクサンデル・ウシク

  8. アレクサンドル・ポペトキン

  9. アンソニー・ジョシュア

パウンド・フォー・パウンドに名を連ねるリゴンドー、ロマチェンコ、ウォードに加え、ヘビー級のスーパースターであるアンソニー・ジョシュアなど錚々たる面々が並びます。

五輪金メダリストに期待感を抱くのは、プロでも飛び抜けた実力を持ち階級でも最強の存在として活躍している選手が多いからなのかもしれません。

  • 世界タイトル挑戦経験者を含めると16人中14人

世界王者は五輪3大会で9名と少ない印象も受けますが、村田のように世界戦に挑戦経験がある選手も5名存在します。

  1. ルーク・キャンベル

  2. フェレックス・ディアス

  3. 村田諒太

  4. オドラニエル・ソリス
  5. ラヒム・チャムキエフ

世界タイトルマッチという条件に絞れば、プロ転向を行った実に87%が世界戦を経験しているという数字が現れています。「五輪金メダリスト=プロでは世界戦を行うのは規定路線」という表現ならばしっくり来る数字と言えます。

また、先日ホルヘ・リナレスに挑戦して敗れたイギリスのルーク・キャンベルや、エンダムに挑戦する村田諒太には世界王座を獲得する期待感が十分にあり、今後も五輪金メダリストからプロでも世界王座を獲得する選手の比率は増えていきそうです。

ちなみにプロ転向後に世界戦を行っていないのはエゴー・メコンチェフとヤン・バルテレミの2名。バルテレミは2015年1月以降試合を行っていないので、今後も世界戦を行うことはないかもしれませんが、メコンチェフは13勝1分という成績を残しており、今後世界戦に出場する可能性を秘めています。

アマチュアボクシングの頂点とも言える五輪金メダリストは、プロボクシングでも世界トップクラスで戦えるという認識は過去3大会を見る限り間違っていないようです。

結果的には村田の世界王座獲得が期待されるが不安な数字も

この結果を見ると村田が世界王者を獲得する可能性は十分となっていますが、実は村田にとっては不気味なデータがいくつか存在します。

ますはアマチュアボクシングが五輪種目として正式採用されて以降、ミドル級で金メダルを獲得した選手でプロでもミドル級の世界王座を獲得したという例は存在しません。

また日本人でアマチュアボクシング五輪金メダリストに輝いたのは桜井孝雄と村田のみで、桜井は世界王座に挑戦するも判定負けを喫しており、日本から五輪金メダルとプロの世界王座を獲得した例も存在しません。

果たして村田はエンダム戦で世界王座を獲得し、この前人未到となっている2つの快挙を同時で獲得することは出来るのでしょうか。

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