2017年10月11日作成

夢は叶うか!?余りにも不遇なアレクサンダー・ウスティノフと、銃撃から復活したマヌエル・チャーによる世界王座決定戦が実現へ

11月25日にドイツでアレクサンダー・ウスティノフvsマヌエル・チャーによるWBA世界王座決定戦が行われることが内定し、近日中に正式発表されると海外メディアが報じています。

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世界一不遇なウスティノフに世界挑戦のチャンスが訪れる

かつてK-1 WGPでの活躍を夢見て欧州の地域予選に出場し、そこで数々の強豪を打ち破り連戦連勝。しかしどれだけ強い選手から勝利すれど何故か全く本戦に出場するチャンスは巡ってくることがなく、不遇のままキックボクシングを引退しボクシングへ転向。

そして13年のボクシングキャリアで34勝(25KO)1敗という戦線を積み重ね、世界ランキングでも上位にランクイン。しかしここでも何度も世界挑戦の話が上がりながらも、その度に実現間近のタイミングで世界挑戦の話が消滅してしまう。

そんな世界一不遇なキャリアを進むのが”悲運の格闘家”アレクサンダー・ウスティノフです。

202cm、130kgというスーパーヘビー級の肉体に加え、しっかりとしたテクニックを持ち合わせリング上では安定した強さを誇るも、常に日陰を歩み続けるというような辛酸をなめるキャリアを積んできました。

そんなウスティノフに、11月25日ドイツのオーバーハウゼンにて世界ランキング4位のマヌエル・チャーとのWBA世界ヘビー級王座決定戦を行うというチャンスが舞い込んで来ています・

キックボクシングでは日陰を歩み続けてきたウスティノフ

アレキクンダー・ウスティノフはそのスーパーヘビー級の身体から”ロシアのビッグベアー”という異名で2000年台前半はキックボクシングのリングで活躍していました。

世界中からヘビー級の選りすぐりのヘビー級ファイターを集めてK-1が世界トーナメントを開催していた時代、ウスティノフはK-1参戦を狙い欧州の地区予選に出場します。

そして2005年にはK-1の地区予選に出場しビヨン・ブレギー、グレゴリー・トニー、フレディ・ケマイヨと欧州の強豪を三タテし優勝したものの、何故か本戦出場のチャンスは訪れませんでした。

この理由としては、ウスティノフが欧州の有力なプロモーターとの関係が悪く干されていたという説と、ウスティノフのキャラクターが地味すぎたからという2つの説が存在します。

実はウスティノフは風貌とキャラクターが地味なのに加え、試合内容も派手さがなく人気のない選手でした。スーパーヘビー級の身体と引き換えに動きはやや鈍重。それでいてテクニックはあり、上手く距離を取りながらリスクを取らず慎重に相手の体力を削りつつけて完封勝利。KO率は低くなかったもののとにかく試合に爽快感がなく、ウスティノフを応援するファンですら地味なのは認めざるを得ませんでした。

そして2005年からボクシング転向を果たす直前の2007年までは1つのノーコンテストを含み18連勝を記録。その中にはK-1の常連選手だったロイド・ヴァン・ダムやポール・スロウィスキーとの試合も含まれているものの、K-1本戦への出場チャンスが訪れることはありませんでした。

ちょうど2005年~2007年と言えば、K-1 WGPでセーム・シュルトが3連覇を達成していた時期であり、もしウスティノフにK-1参戦のチャンスが与えられていたとすればシュルトの一強時代はなかったのかもしれません。

ウスティノフは一部ではそれほどの期待を持たれる”裏最強”のキックボクサーでした。

ボクシングでも不遇は変わらず

日の目を浴びることがなかったキックボクシングキャリアを歩んだウスティノフですが、2005年にボクシングデビューを果たし、2008年にはボクシングに完全転向を果たします。

13年間のキャリアの間に積み重ねた戦績は驚異の34勝(25KO)1敗。2009年にWBAインターナショナルヘビー級王座、2012年にはIBOインターコンチネンタルヘビー級王座と地域タイトルと着実にキャリアを積み、長年世界ランキングの上位をキープしてきました。

いつ世界挑戦のチャンスが回ってきてもおかしくないという状況にあったウスティノフですが、2012年にクブラト・プレフに喫した唯一の敗戦が痛かったのかこれまで世界挑戦は実現してきませんでした。

ただ世界戦の話は、2016年にWBA世界ヘビー級暫定王者のルイス・オルティスに指名挑戦者としての挑戦が決まるも、その時はオルティスが高額なファイトマネーを要求したことで交渉がまとまらず試合が中止。オルティスはウスティノフとの試合を行わなかったことを理由に王座を剥奪されます。

そして2017年にはフェリス・オケンドとシャノン・ブリックスの試合の勝者と、ウスティノフがWBA世界ヘビー級タイトルマッチを行うという指令がWBAから出るも、オケンドvsブリックスの試合が中止となり白紙に。

そして今年の夏には10月2日にオケンドとウスティノフのWBA世界ヘビー級タイトルマッチが内定したという情報が流れるも、正式発表は行われずいつのまにか消滅。

世界戦の話が出ては消えを繰り返し、40歳という年齢を迎えたことからも、ボクシングでも日の目を見ることがなくこのまま引退していまうのではと危惧されていました。

そんな状況の中で、11月25日にWBA世界ヘビー級王座決定戦としてウスティノフと世界ランキング4位のマヌエル・チャーとの対戦が内定し、日本時間10月13日に正式発表が行われると海外メディアが報じています。

17年近くに渡り常に日陰を歩み続けたウスティノフについに世界タイトル挑戦という輝かしい舞台へと出場するチャンスが訪れることになりそうです。

対戦相手は悲劇を乗り越えたマヌエル・チャー

そんなウスティノフの対戦相手として名前が上がっているのが、30勝(17KO)4敗という戦績を持つドイツのマヌエル・チャーです。

192cm、110kgというヘビー級でも大柄なサイズを誇り、豊富な手数で前に出る好戦的なスタイルを持っています。

これまで4敗を記録しているものの、負けた相手はヘビー級世界タイトルマッチとして行われたビタリ・クリチコ戦。さらにマイリス・ブリエディスやアレクサンデル・ポベトキンなど世界王者クラスの相手のみ。

世界王者クラスからは一つ落ちるのは事実ではあるものの、ヘビー級のトップクラスであることは間違いありません。

銃撃で重症を負いながらも奇跡の復活

そしてチャーは一昨年にドイツで食事を行っている時に銃撃事件に巻き込まれ、銃弾で下半身を撃ち抜かれ股関節に人工関節を入れるほどの重症を負っています。

並の選手であればそのまま引退してしまってもおかしくないような悲劇を経験しながらも、チャーは1年ほどのブランクで復帰。2016年6月に行った復帰戦で12勝7敗の戦績を持つベラルーシの選手にTKO勝利を果たします。

そして2016年9月には22勝無敗の戦績を誇ったアルバニアのホープという選手と対戦し判定勝利。完全復活を果たし世界戦のチャンスを掴んでいます。

一般のファンからすればあまり馴染みのない選手同士の地味な世界戦という構図からもしれませんが、その実はいくら勝利を重ねてもチャンスが巡ってこないという不運を乗り越えたウスティノフと、銃撃から奇跡の復活を遂げたチャーによる、まさに涙なしには見られないドラマチックすぎる一戦となります。

この人間ドラマが詰まった世界戦は間もなく正式発表され、11月25日にドイツでWBA世界ヘビー級王座決定戦として行わる運びとなるでしょう。

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