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アッサン・エンダムのキャリアを紹介。実は5ヶ国語を操るインテリファイターという一面も。

2017/10/20 22:01

10月22日(日)両国国技館にてアッサン・エンダムvs村田諒太によるWBA世界ミドル級タイトルマッチがいよいよ開催されます。前回の試合が物議を醸す内容となり、因縁の再戦となる今回の試合に注目が集まる中、エンダムのキャリアとキャラクターを改めて紹介します。

アッサン・エンダムvs村田諒太の因縁の再戦はもう間もなく

10月22日(日)両国国技館にてアッサン・エンダムvs村田諒太によりWBA世界ミドル級タイトルマッチがいよいよ行われます。

五輪金メダリストとして日本人で初めてプロでも世界王座を獲得するという快挙を狙い、村田は今年5月にエンダムとWBA世界ミドル級王座決定戦で対戦しました。

この試合はフジテレビ地上波ゴールデンタイムで放送され、平均17.8%、瞬間最高23.2%という格闘技では年間最高の視聴率を獲得するなど、世間的にも大きな注目を浴びました。

しかし下馬評で上回る村田が、序盤から有効打で上回りダウンも奪いましたが、アウトボクシングを仕掛け手数で上回ったエンダムが僅差で勝利するという物議を醸す判定決着となります。

この結果には多くの視聴者が納得できず、タイトルを統括するWBAの会長からも判定を非難する声明が発表されるなど大きな問題へと発展していきました。

これによりエンダムには否がないものの、悲劇のヒーローとなった村田の敵役という存在となり日本で広く知られる存在となりました。

しかし外国人選手ということもあり、そのパーソナリティについては知名度ほどは知られていません。そこで今回は村田vsエンダム特集の一環として、エンダムのこれまでキャリアとキャラクターを紹介します。

村田諒太のこれまでのキャリアを振り返った記事もすでに公開していますので、こちらも合わせてご一読ください。

実は超インテリファイターのエンダム

まずはボクシングファンの方には未だにアッサン・エンダムという表記の仕方に違和感を覚える方もいるでしょう。

実はエンダムは村田戦までボクシング媒体などで「ハッサン・ヌダム・ヌジカム」と表記されてきましたが、村田戦の際に「ハッサン→アッサン」「ヌジカム→エンダム」というフランス語の発音に寄せた主催者発表が行われ、それ以降は現在の表記でメディアに登場することとなりました。

世界王者クラスの選手の名前表記が変わるというのは異例で、これには多くのボクシングファンを混乱させていました。

またエンダムはフランスの選手ですが、出身はカメルーンの首都であるヤウンデという都市であり、アフリカ選手権で金メダルを獲得したころもあるアマチュアボクサーとして活躍していました。

さらに2004年のアテネ五輪にはミドル級で出場を果たし、2回戦では後のWBOミドル級王者であるアンディー・リーに勝利。ゲンナジー・ゴロフキンを決勝で破り金メダルを獲得したガイダルベク・ガイダルベコフには敗れたものの、五輪でベスト8という記録を残します。

その後、国籍をフランスに変更しプロボクサーの道を歩む事となるエンダムですが、実は五輪にも出場したアマチュアエリートというキャラクターの他に、超インテリという一面も持ち合わせています。

まずエンダムは大学に進学しアルゴリズムの研究などを行い、計算機科学で修士号を所得しています。

さらにエンダムはカメルーン語とフランス語、さらに英語にさらに2つの言語を加えた5ヶ国語を操るとされています。

実はボクシング界屈指のインテリであり、その掴みどころのないアウトボクシングはエンダムの頭の中で計算され尽くしたスタイルなのかもしれません。

3度も暫定王座を獲得する異色のキャリア

2004年にプロ転向を行ったエンダムはデビュー戦でTKO勝利を上げてから順調にキャリアを構築していきます。

デビューから数年はこれといった強豪選手とは対戦を行わなかったものの、無敗で迎えたデビュー20戦目でマルテロシャンという後に世界挑戦を果たす選手にKO勝利。24戦目にはWBCインターナショナルミドル級王座決定戦で勝利し初タイトルを獲得するなど、ハイペースで試合をこなし欧州のホープという地位を築いていきます。

暫定王座を剥奪されるも、復帰戦で暫定王座を獲得

そして2010年の10月にはついにアフタンディル・クルツィゼとのWBA世界ミドル級暫定王座決定戦に出場するチャンスを得ます。この試合では足を使ったアウトボクシングに終始したエンダムが僅差判定勝利し初の世界タイトルを獲得するも、エンダムが負けていたという声も多く聞こえるような物議を醸す判定決着であり、少し後味の悪い世界王座栄冠となりました。

エンダムはその後に一度タイトルのタイトルの防衛に成功するも、当時のWBAには17階級のうち14階級で暫定王者がいるという異常事態となっており、タイトルの正常化を図るWBAの方針があったのか、エンダムの暫定王者は剥奪され1位に繰り下げられてしまいます。

しかしエンダムはこの剥奪直後の試合で、今度はWBO世界ミドル級暫定王座決定戦に出場します。再び訪れた暫定王座戦で序盤からスピードで対戦相手を圧倒し、後半は老獪なアウトボクシングで打ち合いを避けポイントで勝利。2つ目の暫定王座を獲得します。

ちなみにWBOの世界タイトルは王者であったディミトリー・ピログの復帰が遅れたことから、その後に正規の世界王者に格上げとなります。

その後はアメリカに主戦場を移すようになり、当時はアメリカのスーパーホープだったピーター・クイリンと対戦し6度のダウンを奪われて判定負け。

さらには豪快な打ち合いが人気のデイビッド・レミューと対戦し4度のダウンを奪われて判定負けを喫します。

この2戦だけで10度のダウンを奪われているエンダムですが、どちらもダウンを取られたラウンド以外は驚異の回復力でペースを取り戻し、敗れはしたもののポイントを取るなど意地を見せています。

エンダムは跳ねるようなフットワークを用いますが、足が揃った所にパンチを貰うと簡単にダウンを奪われてしまうという欠点を持っています。村田との対戦でもダウンを奪われたシーンが印象的ですが、キャリアを通じてKO負けの経験はなく打たれ強さと回復力には定評があります。

元世界王者として五輪に出場し、プロで復帰した試合で暫定王座を獲得

そしてエンダムは2016年のリオ五輪にて、プロ選手でもアマチュアボクシングで五輪に出場できるという規定変更を受けて世界最終予選に出場。そこで準優勝という成績を残し12年ぶりに五輪に出場します。

結果は1回戦敗退に終わりましたが、アムナット・ルエンロンと共にプロの元世界王者として五輪に出場という歴史的な1ページを刻みます。

五輪出場から僅か3ヶ月でプロに復帰したエンダムでしたが、驚くことにその復帰戦はまたもWBA世界ミドル級暫定タイトルマッチ。エンダムはキャリア3度目の暫定王座戦に臨むことになりました。

正規のタイトルマッチよりも暫定王座戦のほうが多く経験しているエンダムですが、暫定王者であるアルフォンソ・フランコに挑戦したこの試合ではESPNが年間ベストKOに選出するほどの衝撃KO勝利を記録します。

これはビンタのような形で放った右の打ち下ろしによる一撃でエンダムが衝撃のKO勝利を飾りました。これまでの世界戦に限れば勝っても負けてもすべて判定決着というエンダムにとって、この一瞬のひらめきで放ったパンチでのKO勝利が世界戦唯一のKO勝利となっています。

ポーカーのリアリティーショーにも出演

五輪出場や世界暫定王座獲得など2016年は多忙な年を迎えていたエンダムですが、ボクシング以外の活動としてフランスのポーカーのリアリティーショーに出演を果たしています。

この番組はテキサスポーカーで出演者が対決し、勝ち上がった人間が次のステージに進むことができ、優勝すれば賞金10万ユーロとスポンサーを獲得できるというものでした。

エンダムはこのリアリティーショーに出演し途中敗退を喫しています。

ポーカーは確率のゲームだと言われますが、計算機科学で修士号を持つエンダムはポーカーの腕もプロレベルなのかもしれません。

因縁の村田戦はもう間もなく

そして2017年5月にエンダムは初来日を果たし村田とのWBA世界ミドル級王座決定戦に出場。

ここからはご存知の通り、エンダムが村田の有効打を浴びダウンを奪われる劣勢な展開となるも、老獪なアウトボクシングから要所でパンチをまとめポイントを奪い返し逆転勝利を収めます。

エンダムは足を使ってアウトボクシングを徹底し、中盤までは手数を増やして終盤は徹底して打ち合いを避けて流す。稀にアウトボクシングの中にダメージングブローを挟みものの、強豪相手にはKOパターンを持っておらずエキサイティングとはいえないファイトスタイルとなっていることから、キャリアでも物議を醸す判定決着となることが多くなっています。

ちなみにこの試合はエンダムの母国フランスのテレビ放送でも、エンダムの8ポイント負けと解説者に点数を付けられていたほど。

この結果を受けWBAの会長がSNS上で判定を謝罪し、ジャッチが処分されるなどの異例の事態となりました。

その結果、白黒をはっきりとつける為に5ヶ月という期間を明けてのダイレクトリマッチが決定。10月22日に因縁の再戦を迎える運びとなりました。

今回も下馬評では大きく劣勢となっているエンダムですが、10月20日に行われた調印式では「今回の試合の為にしっかりとした準備をしてきた。前回は私が負けていたという意見もあるが、今回はより強い姿を見せて村田に勝利する」と強気のコメントをしています。

村田の挑戦を世界王者のして受ける立場となったエンダムですが、果たして前回苦しんだ村田の圧力に対策を立て、得意のポイントゲームで正規王者として初めての防衛を成功させることができるのでしょうか。

ちなみにエンダムは世界戦の後にフィアンセと、カメルーンとフランス、そしてアメリカで3度の結婚式を予定しているそうです。

クイール編集部 ◯文 text by Queel
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